にゃんこのいけにえ

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映画『ウィーアーリトルゾンビーズ』を見た!

ウィーアーリトルゾンビーズを見たぞ!遂に見たぞ!!!

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最初に書いておかなきゃいけないのは、とにかくもう冷静じゃないってことです。私はこの映画に完全にノックアウト状態で、そして見終わった10時間後の今ですら、熱に浮かされたようにふわふわしています。

だって開始5分で泣いてしまったのだ!それも泣くようなシーンじゃないところ、具体的に言えば「ドッキリカメラ」が入ってくるところで泣いてしまったのだ!

見た人も何でそこで…と思うでしょうが、私はその時点で「うわー!これは自分がやりたかったことだー!」と思ってしまったのです。

映画の感想なのに自分語りを入れてしまうのは、何か違うと思うけども、それでも書かせてください。ちょうど一つ前にこのブログにアップした『向き合うために逃避する』という自作戯曲があるのですけども、本当なんていうか…自分では好きなんですけども、それも色んなことを詰め込もうとした作品だったのです。うまくいってるかどうかはわからないけども。

で、この映画で見せられたのはこの世界には同じように色々なギミックをとにかく詰め込みまくって、その情報量の中から浮かび上がらせようとしている人がいる!という嬉しさと、自分がやりたかったことを10000倍うまくやっている人がいる!という悔しさでした。

それを見た瞬間にぶわー!と泣いてしまったのです。嬉しくて、そんで悔しくて、でもめちゃくちゃに嬉しくて。

それは自分だけじゃないって嬉しさだったのかもしれませんし、そんなことを言うとおこがましいのかもしれません。

でも、本当に嬉しかった。

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この物語は火葬場から始まります。親を亡くしても泣かなかった子供達がなんやあってバンドを組んで…という話です。

それを全編まるでRPGゲームのように表現されていきます。

鳴り響く8ビットの音楽。狂ったカメラワーク。異常に多いカット数。そして切れ味のあるセリフの数々。とにかくとにかく情報量が凄いことになっていて、見る人によっては怒ってしまうかもしれないです。

とここまで書いて「怒ってしまう人がいる」なんてことを思ってしまう自分に嫌になってしまう。

自分は今年29歳になる、もうおじさんじゃん!って年齢で、大人になるのは嫌だーとかいいつつ、社会人経験もあるし、そんで年金も払ってたし(今は無職なので免除してもらおうとなんとか頑張ってる)クソみたいなこともたくさん見たし、クソみたいなこともたくさんしてしまった。

映画を見ている時も腕組みして見ている自分がどこかにいて、それは着実に嫌な大人になっているということなのかもしれない。

そしてその大人な部分が「これ怒る人いるかもなー」とか言うとるわけです。

その部分に絶望しています。

でも、この映画を見ていたら何度か気がついた時にはぼろぼろと泣いていました。

そしてなんで泣いたかを10時間経った今でも説明ができないのです。

 

大人になるのは嫌だーとかいいつつ、身体は確実に老けていって、同時に大人にならなきゃなあと思うことも多い日々です。

社会の空気だってクソだって思いつつ、それでも従ってしまう自分もいます。

生きてるか死んでるかわかんない生活も送ってます。

大人にもなりきれなかったし、子供でもいられない。そんな感じになった僕に、この映画は刺さりました。いや、この映画は刺しに来たのです。

 

色んな理由で死んでいった子供達の親たち。それでも泣かなかった子供達。

「なんで泣かないの?」と責められる子供。

葬式の場では泣くというのが、普通であり、それが正常なのだという空気。

いじめが平然と行われている教室に貼られた夢と希望という習字。

いや、またすげー自分語りになっちゃうけども、中学の時、放送委員でレディオヘッドを流して教室に帰ったら「洋楽流しやがって」みたいなこと言われて「洋楽好きとか気が狂ってるんじゃない?」みたいなことを言われたんですよ。

でも、あいつら多分今平然と洋楽きいてると思うんですよね。多分。で、家族なんて持っちゃって、未だに地元で集まったりしてるんじゃないすかね。

なんつうか、それは彼らにとっては幸せかもひんねえけども、俺はそんな中学の頃のどうでもいい1シーンが未だに引っかかってて、でも復讐する相手も、大人になっちゃってるからもはやいなくて、じゃあどうすりゃいいんだよ!って叫びそうになるけども、なんていうかそれを思い出した。映画と関係ないようだけども、これも関係あることなんですよ。多分。

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要するに大多数の空気みたいなのに、このウィーアーリトルゾンビーズは中指を立てていくような映画なんですよ。

バンドを組んで成功しても、そこがフィーチャーされることはない。いくら成功しても彼らの心が救われることはない。

生きてるか死んでるかわかんないような日々の先に、また破綻があって、もう地獄のような日々に戻りそうになった時、「改札」という毎日見るものを飛び越え、そして走り抜ける!!

「今、今、今!」と今を駆け抜けていく。

これ見ていない人にはなんのこっちゃな文章になってますね。というか見た人にも「なんだよこれ」ってなってる。

わかってるよ!でもぐちゃぐちゃな感情を整理できないんだよ!

とにかく子供達は走り続けるわけです。あくまでローテンションで、「エモいとか古い」「絶望とかダサっ」と言いながら。

 

クライマックスである選択肢が出る。

その選択肢を選んだ瞬間、「いいことがあるとは限んないけどね」というセリフが発せられた瞬間、またもや涙腺が決壊。

そうなんだよ。

人生は良いことがあるかどうかなんてわかんない。

そもそも人生ってクソで、世界とかクソで、色々なものもクソで、わー!ってなるけども、それでもクソみたいな人生でも一瞬だけでも色がついて見える瞬間がある。

それは火の前で舞う仲間の姿だったりするかもしれない。

それだけでも、駆け抜ける理由になるかもしれない。

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ラストシーン。草原を歩いていく。映画はここで終わりだという。

ラストシーンなのに何にも思わないねーという。

彼らの「映画」になる冒険はここで終わりなのだ。でも、彼らはこれから日常に戻っていく。映画にならない日常に戻っていく。

クソみたいな日常に、どうしようもない人生に。

それでも鳴り響く音楽のタイトルは「zombies but alive」

ウィーアーゾンビーズバットアライブ!

ゾンビだけども生きてる。

そして「目的なんか後できめるし」「生きてるか死んでるかどうでもいいし」と呟く。

夢なんてなくたっていい。

目標や目的もなくたっていい。

とりあえずそれでも生きていこう。

後ろ向きでも、だらだらしていても、それでも生きていこう。

 

長久允監督の前作『そうして私たちはプールに金魚を、』がクソみたいな人生をそれでも生きていかなきゃいけないという絶望を描いたものだったけども、そこから一歩進んで、その絶望は描きつつ、それでもそれでもそれでも生きていくという力強さのようなもの感じたりした。

 

どのシーンも「どうやって撮ってるんだ!」という驚きがあったり、1カットのMV的演出に高揚したり、ビースティーボーイズの映画を思い出すシーンもあったり、音響の使い方も凝ってるし、隙が一切ないレベルで作り込まれてて超やばい。

見ている最中にちょっとだけ頭がぼーっとしたのも事実。でも、作るならこれくらい隙のないもの作りたいよなー!

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4人の子供達の素晴らしさもめっちゃ語りたいんですけども、みんなが言ってるように中島セナはこれ一本で青春映画史に名前を刻んだと思うし、ボギーさんの息子さんのモンドくんのかっこよさったらってのもあるし、色々、本当色々あるんだけども、書ききれないです。

 

破綻したこの感想で言いたかったのはただ一つだけ、「とにかく凄い映画だから見てくれ!」ってこと。

上映館が凄い勢いで減っているらしい。

それが凄く悔しい。

何故なら届くべき人にまだ届いてないだろうから。

多分、あなたや、あなたや、あなたには届くはずなのだ。

合わなかったら「くそがよー!」と怒ったらいいじゃないですか。

でも合う人には一生忘れられないような映画になると思います。

 

というわけで3000字も書けて、この映画については何にも書けなかった。ただ熱に浮かされたことを書いてしまった。まるで風邪ひいた時の夢みたいなふわふわした感想。

でも、それでも書き記したかった。

この感情は今だけだし、そして冷静になって書くのなんてこの映画に失礼だと思った。

とにかく僕はこの映画にやられてしまったのです。

なあ、人生がクソだなって思ったことある?

じゃあさ、一緒に2時間この映画を見ようよ。

そしたら1人じゃないって思えるかとしれないし。

1人じゃないからどうしたって思うけども、この世界はクソだと思いつつも、こんなにユーモアたっぷりに、ギミックたっぷりに、それでも駆け抜けることを肯定的に描いたこの映画を見たら、どこか救われる気がするのです。

多分、それを仲間とかいうんだと思うんですけども、そんなことを言ったら「ダサっ!」と言われちゃうんだろうなー!

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