にゃんこのいけにえ

両目洞窟人間さんが色々と書き殴ってるブログです。

虚構日記2020年9月10日(木曜日) "スタンダード・ウォール・ペーパー"

水曜日に外出ーーー図書館に本を返しに行っただけーーーしたせいで、体調が悪いのが手にとるように自覚する。

肉体の疲れから体調が悪い時は大抵喉の渇きがひどくなっている。いくら水を飲んでも喉の渇きが改善されない。

喉の奥に砂漠があって、そこにいくら雨が降ろうが灼けた金色の砂が水を吸い取って、しばらくするとまた灼けた金色の砂に戻ってしまうのだ。

しばらくはそれでもやらなきゃいけないことがいくつかあるのでなんとか身体と頭を動かそうとしたけども、喉の渇きだけではなくおでこからも絶えず汗が溢れ出て、日常の動作がままならない。

 

なので自律神経を治す外科に行く。

外科に行って「自律神経が壊れているんです」というと「じゃあ、診断するね」って、私の背中にあるUSBポートに医者の先生が持ってるパソコンのケーブルがジャックイン。

 

 

 

目が覚めると、青空が見える。雲一つない、まるでペイントでバケツのアイコンを押して一面青で塗りつぶしたような空。

身体を起こすと、自分が芝生に寝転んでいたことに気がつく。

さっきまで自律神経外科に行っていたはずなのに、と混乱していると目の前には丘が見える。

その丘には木は一本も生えてなくて、今まで寝転んでいた芝生が延々と続いていった結果丘になってしまった、そんな印象すら抱くような丘だった。

私はここを知っている。

その一方でここに来たことは一度もない、と脳の記憶部位が訴えている。

これはデジャヴか?

違う。

デジャヴじゃない。

来たことはないが嫌となる程見たことある風景。

私はこの風景がなんだったのかを思い出す。

その瞬間、身体が宙に浮く。

いや、空に吸い込まれている。違う、空がこの世界の消失点となっていて、私の身体も芝生も丘も空も吸い込まれるように消失していっている。

もがくこともないまま、私の身体とそして私が今までいた場所ーーーWindowsの初期設定壁紙ーーーは消失点に飛ばされ、そして消えていった。

 

 

再び気がつくと私は自律神経外科にいた。

「定期的なソフトウェアアップデートしておいた方がいいよ」

先生はノートパソコンを閉じながらそう言った。

 

 

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