にゃんこのいけにえ

両目洞窟人間さんが色々と書き殴ってるブログです。

短編小説『ニドマキは喋るのをやめない』

「結局さ、竹本さんは最後まで俺のことが好きだったと思うのよ。でも、あえて俺のことを思って振ったんだよ。そうだよ。絶対」と言いながらニドマキは俺の家の冷蔵庫から勝手に取った卵を割って、かちゃかちゃと箸でかき混ぜる。

 ニドマキのこの勝手な振る舞いも三日目にして、もうあきらめの境地に達したというか、指摘するだけ無駄だと諦めた俺はベッドに寝転びながら、奴のどうでもいい持論を延々と聞き続けている。

 


 三日前、ニドマキは突然俺の家にやってきて「フラれたから泊めてくれない」と勝手な理由で上がり込み、それから三日間は奴の独壇場だ。

 ニドマキは口を開けば、竹本さんという奴の元カノがいかに素晴らしい人間であったかを語り、そして時に怒りで感情のミキサーが狂い、竹本さんがいかに酷い人間だったかを語ったと思うと、ごめんごめんごめんと何度も謝りながら泣いたりするのだった。

 俺は最初こそ頷いていたが、20分もすればどうでもよくなってきて、部屋にある読みまくった漫画をまた最初から読み直したり、スマホでどうでもいい天気の情報や、Twitterの最新トレンドを漁ったり、そんなことでニドマキの演説を聞き流すことに終始したのだった。

 ニドマキは「なあ、アラタはどう思うんだよ」と俺に意見を求めるが、知ったこっちゃない。そもそも俺は竹本さんなんて女性を知らないし、なんならニドマキと友達になった覚えもない。

 

 

 

 ニドマキと再会したのは1週間前、近所のスーパーで俺が粗挽きミンチ肉を買いに行ったときのことだった。

 「おい!アラタ!アラタじゃん!」と突然、大きな声で叫ばれた。振り向くと、そこには金髪と黒髪のバランスが見事なプリンになった汚らしい男がいた。

 「俺だよ!俺!覚えてねえの!?」

 「誰?」

 「俺!ニドマキ!高校が一緒だったニドマキ!」

 そう言われても全くピンと来なかった。いぶかしげにニドマキと名乗る男を見つめていたら「え!覚えてねえの!3年の時、よく顔会わしてたじゃん!」

 まだわからなかった。

 「3年の時、俺、2組で、アラタは1組だったじゃん!俺、鳥屋の友達だったから、よく1組に顔出してたじゃん!」

 とか言い始めてやっと思い出した。元バスケ部かなんかの調子者の男。

 バスケ部を引退か、首になった後、鳥屋とかいう無口な男とよくつるんでいた奴だ。

 でも、こいつと話したことは一度もないはずだった。

 「俺、お前と話したことないよな」

 「え!まじで!?」

 ニドマキは信じられないような表情をした。

 「喋ったことあるって!」

 「どこで」

 「あれだよ。ノート1回借りたじゃん」

 ノート?

 「国語のノート!まじで単位やべえってなった時に、俺が必死こいて頼んだら、貸してくれたじゃん!」

 「はあ」

 国語のノートの貸し借りの話をし始めたけども、俺たちの年齢はもう28歳になっていた。10年前のことだ。今更貸し借りしたノートのことを覚えている28歳がどれだけいるだろう?

 「え!アラタってこの辺住んでんの?」

 めんどくさいことになったと思った俺は、なんとか話をずらそうとした。

 しかしこのニドマキって人間のめんどくささと記憶力の高さはどうかしていた。

 俺の全く覚えていない俺の話を延々とし、そして自分が今、パチンコで生計を立てているって話まで一気呵成に繰り出し、そして気がついた頃には。

 「アラタの家行っていい?」

 くそ野郎が。

 


 その日は、ニドマキを家にあげることは絶対にしなかった。「仕事がある」とか言ってごまかした。でも、家の前まではついてこられた。外からどこの部屋か丸見えなアパートに戻る姿もニドマキは目撃していたはずだ。あげなかったけども、俺がどこの部屋に住んでいるかは覚えたはずだ。10年前のことを昨日のことのように覚えている奴だ。こんなこと覚えるの造作もないだろう。

 そして俺は1つ嘘をついた。「仕事」なんてなかった。俺は無職だった。6年勤めた会社を俺はその時辞めていた。理由は特になかった。ただ辞めたかった。一度会社勤めというものから解放されたかったのだ。だから仕事なんてなかった。それでもニドマキを家にあげなかったのは面倒なことになるなと思ったからだった。そしてその予感は的中した。

 


 その日、その時、俺はちょうど白シャツにアイロンを当てていた。6年間やってきた習慣はもはや精神安定剤へと変わり果てていた。丁寧に、そして力を均等にかけ、白シャツを伸ばしていたその瞬間、奴はやってきた。そして泣きながら「もう駄目だ!」と叫び、先ほどのような理由を口にしながら部屋にあがりこんだ。俺の精神安定は一瞬にして崩れ去った。それから三日経った。

 ニドマキは部屋から出ようともせず、延々と喋り続けた。延々と喋り続けるのを聞いたせいで「竹本さん」は俺の夢にまで出てきた。

 「竹本さん」は黒髪ロングヘアーの身長がすらっとした女性で、くしゃっとした笑顔をし、そして何をするにしても肯定するような人間だったそうだ。

 俺の夢の中に出てきた「竹本さん」は俺が無職を選んだことも肯定してくれた。そしてくしゃっとした笑顔でこういうのだった。「私が頑張るから、アラタくんはゆっくり休んでいいよ」。

 そんな都合のよすぎる人間がこの世にいるはずがない。そんな童貞の妄想のような人間がこの世にいるはずが。

 

 

 

 俺は三日間の間、ずっと疑念を抱いていた。ニドマキの語る「竹本さん」というのは実像とかけ離れているのではないかということを。ニドマキは自分にとって都合のいい「竹本さん」を作り出しているのではないかということを。ニドマキは「なんでフラれたんだ」と時折叫んでいたが、それこそが答えで、何をするにも肯定していたわけではないのだ。彼女はもう疲れ果てていたのだろう。出て行ったこと、それが答えだ。そもそも28歳にもなってパチンコばっかりやってる人間のことを肯定する女性がこの世のどこにいる?

 ニドマキは「竹本さん」を曲解していたのだろう。ニドマキの中で都合のいい「竹本さん」がふくれあがり、めちゃくちゃ失礼なことをしまくっていたのだろう。今の俺にしているみたいなことを。

 結果、そのズレが最大限に広がった時、ニドマキはフラれたのだ。ざまあみやがれ。そして「竹本さん」こんな男と離れて正解だよ。この世にはもっといい男が沢山いる。頭をプリンにしたパチンコばかりやって自分の話ばかりしまくる男なんかじゃなく、もっとましな男が。

 


 味付けも何もしていないプレーンオムレツを作りながらニドマキは「竹本さんは俺のこと好きだったはずなんだ」と言い続けていた。そして「アラタはどう思う?」と時折付け加えた。

 何にも思わないよ。なんて言うと、こいつは泣き始める。1日目に嫌というほど味わった。だから俺は言う。

 「竹本さんはお前のこと最後まで好きだったと思うよ」

 そう言うとニドマキは満面の笑みになって「やっぱそうだよな!!」と喜んだ。

 どうでもいい。

 そしてもう限界だと思った。

 もう今日こそはこの家から出よう。ニドマキの話を聞き続けていたらこっちの精神がどうにかなる。

 俺はアイロンをかけてある白シャツを一枚選ぶ。

 「あれ!どっか行くの?」

 「散歩に行ってくる」

 「俺もついていっていいかな?」

 ふざけんなよ。お前から離れるために散歩するんだよ。

 「ってかさ、アラタ、仕事はどうしたの?」

 三日も居座って自分の話をし続けたニドマキもそろそろ気がつき始めたようだ。

 もし、俺が無職だとばれたら、ニドマキはどう思うだろう。

 ニドマキのことだ。「仕事に行かなくていいなら俺の話を聞いてくれよ!」と喜ぶだろう。くっそ。全部ニドマキが来てから、おかしくなっていく。

 俺は静かにただ暮らしたかっただけなんだ。仕事から離れてただ静かに暮らしたかっただけなのに。

 


 その時、インターフォンが鳴った。

 「はーい!」とニドマキが叫ぶ。なんでお前が叫ぶんだよ。俺はため息を付きながらドアを開く。

 するとそこには黒髪ロングヘアーですらっとした女性が立っていた。

 間違いない。

 「竹本さん」だ。

 いや、なんでここに?

 「すいません。ニドマキがここに来ていないですか?」と竹本さんが言い終わるか、言い終わらないかのタイミングでニドマキは「竹本さああああん!!!」と叫んでいた。

 ニドマキは泣き崩れていた。

 はあ?

 


 気がついた頃には、ニドマキと竹本さんと俺はテーブルを囲んでいた。竹本さんはニドマキが話していた人物よりも、とても知性的で理知的で落ち着きのある人物だった。

 しかし困ったことにこの女性はニドマキのことがどうやらとてつもなく好きなようだった。なんで?疑問は広がり続ける。しかしその答えを提示する前に話は前に進み続ける。おいおい、せっかくなんだゆっくりやろうぜ。そう思うが竹本さんも、どうやら自分勝手に話を進める性質らしい。

 竹本さんはパチンコばかりするニドマキを一度懲らしめてやろうと「別れる」と言って、家を飛び出したそうだ。と言っても、元々竹本さんは別に家を借りていたらしく、そこに戻っていただけだった。なんでそっちに行かなかったんだ?と尋ねると「考えが及ばなかった」とニドマキはくしゃっと笑いながら答えていた。馬鹿が。

 少し懲らしめるつもりで、家を離れ、昨日戻ってみたらニドマキはおらず、最初はパチンコにでも行ってるのかと思いきや、全く帰ってこなくて、今朝になって竹本さんの不安は最高潮。あちこち探しに出かけたそうだ。竹本さんはそりゃ走り回り、そして泣き崩れ、それでも立ち上がり、そしてふと思い出したそうだ。「あのアパートに俺の友人のアラタが住んでるんだ」と言っていたことを。

 馬鹿野郎。友人でもなんでもねえぞ。と言いたかったが、竹本さんは話しながら涙ぐむし、ニドマキは「俺のために・・・なんて馬鹿なんだ俺は・・・ッ!!」と泣きながら太ももを叩くし、なんだこれ。

 もう付き合ってられねえと、俺は「まあ、見つかったんだったらいいじゃないですか」と言うと竹本さんは「ありがとうございました!!!」とお辞儀を何度も繰り返し、ニドマキも「本当ありがとう!!!」と叫ぶ。何をありがとうと言われているのかさっぱりだ。

 ニドマキは「俺、もう、パチンコばっかりしねえ。ちゃんと働くから!竹本さんの貯めに働くから!!」といい、竹本さんは「うん!うん!」とウソ800を飲んだドラえもんのようにうなずき続け、俺は帰った帰ったと気持ちを押し殺しながら、二人を玄関先まで誘導。

 「アラタ!本当ありがとうな!また遊ぼうな!!」と言って、ニドマキはドアをしめた。遊んでいたつもりだったのか。あの野郎は。こっちの生活を三日間めちゃくちゃにしたことをただ遊んでいたと言いやがった。くそ野郎め。

 


 そして静寂が訪れた。

 はぁ。やっと静かになった。やっと一人になれた。

 俺は三日間のノイズからやっと解放された。ニドマキがいなくなった部屋はこんなに静かなのかと驚いた。静かすぎて耳が痛いほどだった。

 自由になんでもできる。ただニドマキがこの部屋に残していった惨状をまずは片付けないといけない。

 ふとフライパンの上を見ると、そこにはニドマキが作っていた味付けのしていないプレーンオムレツが残っていた。

 俺は舌打ちをする。そして、ため息をついて、そのオムレツを皿に移し、食べることにした。

 一口食べる。味付けを何もしていないので、文字通り味気が全くなかった。

 くっそ。ニドマキめ。最後の最後までうるさい奴だった。

 三日ぶりに訪れた静寂はとても心地がよく、俺は背伸びをする。

 しかし、どこか居心地が悪く、妙に寂しい。寂しい?馬鹿な。俺はその考えをかき消す。ただ居心地が悪いのは確かだ。

 そしてニドマキが残していった味気のないプレーンオムレツがその居心地の悪さを更に加速させる。

 俺は居心地の悪さをかき消すように、冷蔵庫からケチャップを取り出し、プレーンオムレツに大量のケチャップをかけた。

 そうして食べたオムレツは、もはやただのケチャップで、俺はどうしようもない気持ちになり、残り半分はゴミ箱に捨てたのだった。

短編小説『くまくんとしゃけくん』

くまくんとしゃけくん

両目洞窟人間

 

くまくんはげんきなおとこのこ。きょうもあそびにでかけています。

「よーし、きょうはしゃけくんとあそぼう」

くまくんはさかなのしゃけくんにあいにかわへやってきました。

「しゃけくん。しゃけくん。あそびましょー」

くまくんがかわにむかってそうあいさつします。

「あ!くまくん!!あそぼう!あそぼう!」

しゃけくんがくまくんにこたえました。

「しゃけくんきょうはなにしてあそぶ?」

「いっしょにおよごうよ!」

「わー!たのしそうだねー!」

くまくんとしゃけくんはいっしょにおよぎはじめました。

すーいすい。すーいすい。

くまくんはしゃけくんのせなかをみておよいでいます。

「わー。しゃけくんおよぐのはやいなあ」

「えっへん。いっぱいれんしゅしてるからね」

しゃけくんはすいすーいとおよいでいきます。

くまくんはそんなしゃけくんをみながらおもいました。ぼくもしゃけくんのよういすいすいとおよぎたいなあ。

しゃけくんのおよぎかたをまねようとしてみますが、うまくいきません

「あははは。くまくん。それだとくまくんはおよげないよ」

「しゃけくん。どうしてなの」

「ぼくはこのひれをつかっておよいでるのさ。くまくんにはないだろう?」

くまくんはじっとてをみました。

くまくんにはひれがありません。

くまくんはかなしくなりました。

「ぼくにもひれがあったらなあ。ぼくもしゃけくんみたいにさかなになりたかった」

「さかなはたのしいよ。ねんじゅうみずのなかだし。でもぼくはくまくんのようにきにのぼりたかったなあ」

「しゃけくんもぼくみたいになりたかったの」

「うん。ぼくもくまくんにあこがれてるんだよ」

くまくんはおどろきました。

しゃけくんもだれかになりたいなんておもうことあるんだ。

くまくんはしゃけくんをみます。

すいすーいとたのしそうにおよぐしゃけくんもきにのぼりたいとおもうんだな

 

 

喰らえ。

 

 

えっ。いまのはなんだったのでしょう。

くまくんはおどろいてまわりをみわたします。

このかわにはくまくんとしゃけくんしかいません。

おかしいなあ。だれのこえだったんだろう。

くまくんはまたしゃけくんとおよぎはじめました。

「よーしくまくん。あのかわぎしまできょうそうだ!」

「まけないぞしゃけくん!」

ふたりはおよぎはじめました。さすがしゃけくんすいすいとおよいでいきます。

くまくんはしゃけくんのうしろすがたをみるばかりです

「さすがしゃけくん。はやいや」

 

 

喰らいつけ。奴の生き血を啜り飲め。

 

 

「だれー!?」

またこえがしたのでくまくんはよびかけてみます。でもだれからもへんとうはありません。

へんだな。なんだろう。

またおよぎはじめました。

「おいついてみなよくまくん」

「はやいよしゃけくん!」

くまくんはしゃけくんにひっしにおいつこうとします。

でもしゃけくんはそのさをひろげるばかりです。

くまくんはそんなしゃけくんをみていました。

さゆうにふれるからだ。ひかるひふ。てきどなにくづき。

くまくんはしゃけくんのいままできにならなかったからだつきをじっくりみていました。

どうしたんだろうぼく。

しゃけくんをみているとなんでかむねがどきどきしてきました。

 

 

喰らえ。その歯で奴の頭蓋骨を砕き壊せ。

 

 

 

「やったー!いちばんだー!」

しゃけくんがどうやらゴールについたようです。

「えっへっへ。やっぱりおよぎはぼくのほうがつよいようだねーくまくん」

くまくんはゆっくりゆっくりしゃけくんにちかづいてきました。

くまくんはじっとしゃけくんをみています。

ひとこともしゃべらず。じっと。

「くまくん。じっとだまってどうしたの。くやしいのかい?」

くまくんはしゃべりません。はのすきまからあらいいきづかいがきこえます。

しゃけくんは、くまくんのかおをみました。

あれ。くまくんこんなにこわいかおしてたっけ。

「しゃけくん。ごめんね」

しゃけくんがえっ?とききかえそうとしましたが、そのぎもんがこえになるまえにしゃけくんのからだはういていました。

くまくんはしゃけくんのからだをそのちからづよいうででなぎはらいました。

なんで。

しゃけくんの脳がその疑問でいっぱいになるころにはしゃけくんの体は石がひしめく川岸に叩き付けられていた。

しゃけくんの体内から枝が割れるときのような音が聞こえた。骨が折れたのだろう。

人生で味わったことのない痛みがしゃけくんを襲った。

叫ぼうとした。しかし、声が出ない。叩き付けられたときに喉をやってしまったのか。

息苦しい。息ができない。しゃけくんは無意識にえらをびたびたと痙攣するように動かしていた。水の中ではないからそんなことをしても無駄であることはわかっていた。びたびたびたびた。

しゃけくんは泣いていた。

なんでこんな目にあうんだ。さっきまで遊んでいたのに。くまくん、なんで。

しゃけくんは振動を感じた。

くまくんがこちらに近づいている。

くまくん、冗談ならやめて、もう助けて。また一緒に遊ぼうよ。

しゃけくんは願った。

しゃけくんの視界が大きな影で覆われる。

くまくんの体だ。

その時、しゃけくんは気が付いた。

もう彼が友達のくまくんではないことに。

彼が野生に目覚めた熊になってしまったことに。

ごりっ。

くまくんはしゃけくんの首筋に噛みつき、そこでしゃけくんの意識はフェードアウトした。

くまくんはしゃけくんを貪り喰った。しゃけくんの血潮を、肉を、その骨を貪り喰った。

喰らい終わるとくまくんは叫んだ。その咆哮に森の木々に休んでいた鳥たちが一斉に飛び去った。

 


カシャ。

 


その森から小さな音が聞こえた。

森から人間の男がカメラをくまくんに向けていた。

男はくまくんがしゃけくんを喰らう一連の行為をすべて写真に収めていた。

男の名前は田中正嗣。

世界中の自然をカメラに収めてきたカメラマンである。

鮭を喰らう熊の写真。

田中がこのカナダで撮ったこの写真は大きな反響を生むことになった。

 

「まさか、あんな反響があるんなんて想像もしませんでしたよ」

田中が現在68歳。今もなお現役のカメラマンである。

「まだあの頃は大学を卒業したばかりで、カメラマンとしては正直二流三流でした。くやしかったですよ。何枚写真をとっても、目の前に広がる世界の美しさを切り取ることができなかったんですから」

そんな田中にとってブレイクスルーのきっかけになったのがあの写真である。

「確か25歳のころです。もともとはカナダの森に取材に行くのが目的だったんです。森でキャンプをしていた時、遠くの川辺に熊がいるのに気が付きました。正直、怖かったですよ。でもあの時、生命の危機なんかよりも、写真を撮らなければならない、そんな衝動に襲われたんです。まあ若かったんですよ」

田中はカメラを夢中で向けた。シャッターを何枚も切った。初めて手ごたえを感じた。

「何枚もシャッターを切りながら、私は興奮していました。カメラを持ってから初めての興奮でした。今、俺は写真を撮っているんだ。これまで何千枚と写真は撮ってきたはずでしたが、そのとき私はそう思いました。その感覚は正しかった。写真家としての一枚目はあの瞬間だったのですから」

数か月後、その写真がネイチャー雑誌の表紙を飾ることになる。

熊が鮭に噛みついている写真。

弱肉強食がグラフィカルかつスタイリッシュに切り取られたその写真はたちまち大反響を呼んだ。

「もともとはネイチャー雑誌の表紙ですからね。まあ、評判になるといってもそれほどかなって思いましたが、違いましたね。次々と依頼が来ました。写真を撮る依頼ももちろんですが、それだけじゃなく私自身にも。まあ一番驚いたのは教科書に載せていいか?って話でしたけども。もう私はすぐに言いましたよ、ぜひぜひ!って」

田中の写真は小学生の国語の教科書に掲載された。田中が撮った鮭を喰らう熊の写真は老若男女が知るものになっていた。そして田中はあるとき旅先で思いもよらないものに遭遇することになる。

「北海道に取材に行ったときですね。お土産屋に寄ったら、木彫り人形がずらーと並べてあってへーと見てたらね、鮭を食べてる熊の木彫りがあったのよ。店員さんがこれ人気なんですよーって話しかけてきたんだけども、これ僕の写真だよって!」

田中の写真は一人歩きしはじめていた。各地で田中の写真をもとに作られた木彫りの鮭を喰らう熊がお土産になっていた。

「最初はショックでしたけども、今じゃ各地のお土産見て回るのが楽しみですよ。知ってますか?この木彫りの熊って海外のお土産屋でも作られているんですよ」

そう話す田中の背後にはたくさんの木彫りの熊の人形が飾ってあった。その熊たちの口には一様に鮭が咥えられていた。

「私もこの熊のファンなんですよ」

そう笑う田中は今も世界中を飛び回り続けている。

「世界にはまだ誰も見たことない美しいもので溢れている。それを撮るのが私の仕事です」

しかし田中は御年68歳になる。体力は持つのであろうか。

「昔に比べると無茶はできません。だからこそ、自分で行う体調管理が大切です」

田中は何か特別なことをやっているのだろうか?

「実はね、これを飲んでいるんですよ。青汁カプセル。毎日これを1錠飲むだけで身体がみるみるうちに元気になっていくんですよ」

もともと健康食品には疑いを持っていたという田中。青汁なんてのはもってのほかだったそう。

「青汁なんてね。飲みづらいと思ってたからね。でもね。この青汁カプセルは飲みやすい」

60歳の時に実は病気になった田中。だからこそ健康には人一倍気を遣うようになったとか。

「60で倒れた時に、あーまだ世界を僕は見てないなって思ったの。で、僕は運よく助かったからね。より長い時間この仕事をしたいと思ったの。でいろんな健康法を探してるときに出会ったのがこの青汁カプセルだったの。今は出会えて本当よかったと思ってる」

田中正嗣68歳。職業カメラマン。まだまだ現役。その気持ちと体を支えるのは青汁カプセル。

青汁カプセル通常60粒入りで3500円のところ、今ならなんともう2パックつけて3500円。

一人でも多くの人を健康にしたい。その思いからの大サービスです。

「青汁カプセル。あなたもはじめませんか?」

 

進捗日記 2019年5月5日

後輩の家で11時半まで寝てしまう。酒を入れたらよく眠れる。とはいえ、酒を飲むと自我が壊れる。そう思うとあんまり飲むべきではない。飲むと眠れる。飲むと壊れる。そう思うと、眠れなくてもいい気がする。

 

祖父母宅へ行く。

祖父母宅の庭の手入れの手伝いを1時間ほどした。

いい孫をやった。いい孫をやるといい気持ちになる。いい孫であること、それはまた良き人になるということなのだ。いい孫であることは私の目指すべき人間に近づくということなのだ。

 

草野腹々の『これは学園ラブコメです。』を読み終わった。

めちゃくちゃ面白かった!!

これは感想を書こう。でもどうやって書いたらいいかわかんないんだよなー。

とりあえず今年読んだ中だとかなり上位にくる食い込むくらいは面白かったです。

 

ご飯を食べて『いだてん』を見る。

すげーおもしろーい。

話のスピードの速さ、錯綜具合、情報量過多な感じ、クドカンのドラマだ!となる。

これまでちゃんと見てなかったのを後悔する。

でも再放送無理っぽいから、脚本集を出してほしいなと思った。なるべく早急に出してほしいー!

 

脚本、少し思いつく。

まだ少しのアイデアだけだ。

帽子いっぱいのジョークさえあれば脚本がかかるといったのは中島らもだったっけな。

とりあえず帽子いっぱいのなにかを考えなきゃいけない。

書き始めようと思う。

 

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進捗日記 2019年5月4日

寝坊。

昨日、飛んだら跳ねたりしていたら、大きく寝坊。

高校時代の友人を1時間半待たせる愚行。

 

友人のたぬせんと「さて何をやるか」となりバッティングセンターに行ってみよかと、行ってみたら満員で諦める。めちゃくちゃ待ってまで球を棒で打ちたくない。

ボードゲームカフェに行って、いくつかボードゲームをする。

最終的にパンデミックをやり、世界救ったろかい!と意気込むも、めちゃくちゃパンデミック発生。先行き完全暗黒になったところで、カフェの退店時間が来て終了。

またパンデミック再トライしたい。

 

そのあと、カラオケに行き、ラジオでもすっかと、Twitterのライブで配信をしながら、平成に忘れ去られたものを話し合う。

ヨーカイザーやらテクテクエンジェルやら、ゲームボーイのゲームの話やら、プレステのゲーム「ヴィジランテ8」や「俺の料理」の話やらをした。

 

それから知らない曲カラオケをした。1番は知らない方が知らないなりに歌って、2番は知ってる方が歌って答えあわせをするというやつだ。凄く楽しかった。知らない曲を歌うと最終的にラップになるという知見が得られた。

 

夜、後輩の家でだらだらと喋った。

ストロングゼロを入れた結果、感情がぐちゃぐちゃになってしまい、泣き言を言ったり、ぼんやりしたことを言った。

ストロングゼロはよくない。人間性が壊れる。

もう飲まない。

 

 

進捗日記 2019年5月3日(ピクニックをしました)

朝方、目が覚めて『ディファレンス・エンジン』を読み終える。といいつつ、下巻の後半は結構終始ぽかんとしてしまった。込み入った陰謀劇ってのもそうだったけども、最後の章がいまいち把握できず。解説を読むと「あ、そういうことだったのか……」と己の読解力の無さを痛感。

歴史改変ものってことで、その辺の知識がなかったのも辛かったかもしれない。ということで巻末に付いている辞典を読み込んで、またいつかチャレンジしたいと思う。

 

万博公園で大学時代のサークルの人々とピクニックをしてきました。

これで4回目。元はといえば社会人になって研修中に狂いそうになり「ピクニックしたい…」と思ったことが始まりなのですから、結構長く続いてきたものです。

朝10時に集合して、買い出しをして、いざピクニック!

揚げ物ばかりの食べ物にはしゃいだり、シャボン玉が次々と飛び出す銃にはしゃいだり、フリスビーにはしゃいだり、アベンジャーズエンドゲームの話をしたり、くだらない話をしたり…と一日中とにかく笑いぱなしでした。

いい日でした。

 

脚本を書く話になる。

せっかくなら面白いもの書きたい。

 

同期の友人に「おれ、真人間になるからー」と言ったので頑張らねば。いつだって頑張らなきゃいけないことでいっぱいだ。

 

 

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無駄な跳躍でフリスビーをキャッチしようとする僕です。

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