にゃんこのいけにえ

両目洞窟人間さんが色々と書き殴ってるブログです。

TRUE DETECTIVEを見た!

ドラマ『TRUE DETECTIVE』全8話を見終えた。
めちゃくちゃ面白かった…もう一回言うとめ!ちゃ!く!ちゃ!!面白かったーー!
ルイジアナの田舎町で起こった殺人事件を17年かけて捜査する二人の刑事の話なんですけどもそんなあらすじよりもまずはオープニング映像を見てくれや一生一緒にいてくれや。

True Detective - Opening song (HD) (The Handsome Family - Far From Any Road)

これで「うおおお」と高ぶっちゃった人はこんな場末のブログなんて見てる場合じゃねえ。今すぐにHuluに入って鑑賞or最寄りのTSUTAYAに駆け込み女と駆出し男。
えげつないくらいに必見ってのはこのドラマのことじゃねえか!
もうね、今まで見逃してたのが悔しい。私悔しい。すごい面白いものを数年放置してたことが悔しい。
最初は「ツイン・ピークス」な刑事ものやーって思ってたらね、だんだん哲学や宗教的な話になり、どんどんおぞましいサイコホラー的な展開もあるかと思えば、ドラマ史どころか映画史に残るような眼を見張るアクションもありでもうその盛りだくさんっぷりに心の預金口座がパンパンになっちゃう…となってるところに最後は人生というより宇宙的な光と闇の闘いになり俺はそのスケールの大きさと確実にあるその希望に涙が溢れて仕方なかったんですよ。
と書いてた何言ってるんだとなりますが、本当そんな話でした。気が狂ったわけじゃない。本当にそうなんだ。まじで宇宙に行っちゃうんだ。
とここで宇宙?ってなった人もgood nightだからとりあえずDVD借りて…。
全編通して詩的かつ禍々しい雰囲気と何度も噛み砕きたくなる会話と入り組んだ構成が魅力的。
とりあえず監督のキャリー・ジョージ・フクナガ作品と脚本のニック・ピゾラット作品は追っていきたい。
キャリー・ジョージ・フクナガはNetflixで監督作『ビーストオブノーネーション』が配信されているし、ニック・ピゾラットは『マグニフィセント・セブン』の脚本を書いたみたいだから近いうちに観に行きたい。
とまあ、過去作最新作をこれ一作品で追いかけたくなるような作品だったわけですよ。
凄いのよ。本当。
主演のマシューマコノヒーとウディ・ハレルソンも最高すぎ。特にマシューマコノヒーは凄い凄いと思っていたとはいえこんなえげつない俳優さんだとは思ってなかった。肉体改造的な意味合いもだし、目がまじというか向こう側に行ってしまったひとの目をしながらずっと演技をしているというか。というか途中から俳優さんってことを完全に忘れてたよ。終わってメイキングをちらっと見て、あっ演技かって気がついたくらいだよ。
俺はそういい加減なんだ。
ということで凄くおすすめしたい。
南部ゴシックという世界も知ることが出来たし。アメリカの南部というあんまりゴシック要素がない土地に思えるのに、このドラマが終わる頃にはこんなに呪術的な文化が似合う土地もねえ…って震えたくらい。自然に沼地にそこに生える木に、どれもまがまがしく見える。
猟奇殺人、悪魔信仰、子供殺し、近親相姦、暴力、セックス、イエローキング、カルコサ。ありとあらゆる凄まじい地獄巡りのはてに二人の刑事が見るものは。
私は人生観が揺さぶれるほどに感動した。
このドラマがこんな禍々しい内容なのに今なお支持され続ける理由はこの全8話を駆け抜けた先の希望の描写なんじゃないかと。
世界は確かにクソだ。
欲と暴力とクソにまみれてる。
それでも、俺たちは戦うことができるんじゃねえのか。
この世界をちょっとでもよくできるんじゃねえのか!
ということでこれまでただのビジネスパーソン程度であった主人公たち二人の関係が徐々に変わっていき、唯一無二の相棒に昇華し、そしてこの二人がもたらすクライマックスには涙。そしてタイトルの意味がわかって「あー!」となった。
完璧なドラマやんけ!
最初の2話は退屈に思えるけども、終わってみるとその退屈に思えた描写にすら全て意味があったことに気がついて鳥肌ファッサー。一秒たりとも見逃せない、ながら見厳禁のドラマ。
複雑な人間関係に交錯する時間軸と頭に??が何度も出るドラマかもしれない。
それでも見続けてほしい。
それだけの価値はある素晴らしいドラマだと思います。
超おすすめ。
本当心から超おすすめ。

即興小説『ぬるぬるローション階段』

即興小説
時間は15分
お題は『地獄の階段』

『ぬるぬるローション階段』

 「じゃあ、ローションを流していきまーす」
 ADの気の抜けた大声がスタジオに響き、お湯で伸ばされたローションが大階段を一段一段滑り落ちていく。
 年末の大型特番バラエティの1コーナー「栄光を勝ち取れ!ヌルヌルローション大階段!!」のリハーサルは進んでいく。ローションで滑りやすくなった階段を駆け上がっていって頂上にあるボタンを押すことが出来たら勝ちというルールだが、そんなルールなんてどうだっていい。
 視聴者やスタッフが見たいのは俺たちが必死にその階段を駆け上がろうとする様と足を滑らせて無残に転げ落ちる様だ。
 ローションが階段の最下段まで行き渡る。
 「ローション大丈夫っすか?」
 ADの声にプロデューサーが最下段のローションを触って伸ばす。
 「こんなんじゃだめ。もっと垂らして。もっとローションを。もっと滑らせて」
 「はーうっす」
 ADが更にローションを垂らしていく。
 階段は何段あるのだろう。
 階段の頂上にいるADまで50段以上は有る気がする。
 俺はこの芸人という仕事が好きだった。頭で考えたネタで客が笑ってくれるのも、なんてことない日常を自分の話術で笑いに変えるのも。
 でも、体を張るのは苦手だった。
 偉大なレジェンド芸人達の体の貼り方に比べれば、俺のはまだまだカッコつけている部分があって、それが足かせになって全く笑いに繋がらなかった。
 「もっと馬鹿になったほうがいい」
 以前の収録でレジェンド芸人がシャワーでローションを落としながら俺に言ってくれた。
 俺は不甲斐なさから涙を落とし、ローションも落とした。
 今日の収録こそ結果を残さないといけない。
 俺はこの階段の頂上からみんなが求めるような馬鹿らしく滑り落ちないといけない。
 「じゃあ、斎藤降りてきてー」
 プロデューサーがADの斎藤を呼ぶ。
 「うっす」
 ADの斎藤が気の抜けた大声で返事をした。
 その次の瞬間「あわわわわあああああああああ」と絶叫が聞こえた。
 ADの斎藤が階段を正座で滑り落ちていた。
 あれには絶対にかなわない。
 今日もだめだろうな。

即興小説『紅葉狩り』

即興小説
時間は15分
お題は『秋の復讐』


紅葉狩り


「あなたは狩られた紅葉の気持ちがわかってない」
 気軽な気持ちで紅葉狩りに行こうと彼女に提案したら、こんな言葉だけが返ってきて以降は音信不通。
 紅葉狩りって言っても実際には紅葉を狩るわけではない。彼女は僕が槍を片手に紅葉を追い回す姿でも想像したのだろうか。
 いやそんなことはないだろう。
 彼女はこの国に生まれ育った人間だったから、紅葉狩りを決してそんなウォーリアーなイベントだと勘違いする余地なんで無いはずだった。
 でも、そうではなかったらしい。
 「今、紅葉狩り用の討伐道具が大流行!」
 朝の情報番組で甲高い声を流暢に出すことだけが得意のアナウンサーがそう叫んでいるのを聞いて、僕はしばし固まってしまった。
 コメンテーターは「私もね、紅葉狩りだって言ってるのに、実際には紅葉を狩るわけではないでしょ?それがね、おかしいと思ってたんですよ。だってやってることって紅葉見物でしょ。狩りって言うくらいなら狩りなさいよ」なんてまくしたてる。
 youtubeでは「紅葉を実際に狩ってみた」みたいなタイトルの動画が溢れ、その内容はどれも鎌やハサミ等の刃物から始まりチェーンソーや火炎放射機等の物騒なもので紅葉を狩るというものだった。
 馬鹿げてる。
 そうこうしているうちに「紅葉狩り」のシーズンはも紅葉を実際に狩るのが定番となってしまった。
 後押ししたのはセブンイレブン紅葉狩り用のグッズを売り始めたからだった。
 セブン&アイグループ恵方巻きで培ったノウハウを投入した。あの地方のイベントを全国の風物詩にした手腕を今度は紅葉に発揮したのだった。
 そうこうしているうちに、毎年秋になると武器が山ほど売れた。日経新聞では今年はこんな武器が売れる!と特集を組み、にこにこした家族達が紅葉を狩っていった。それも普通の光景だった。

 「ねえ、久しぶり」
 彼女から電話がかかってきた。あの日以来だから何年ぶりだろうか。
 僕は就職もして結婚もしたよ、なんてことを言う前に彼女はまくしたてた
「この国は紅葉の復讐を受けるべきなのよ。今度は狩られる番になるの」
 何を言っているかわからなかった。
 電話は途中で切れた。
 そんな時だった。紅葉狩りに言った人々が山火事に巻き込まれたというニュースを聞いたのは。
 狩られる番か。
 僕は思った。僕はただ純粋にあの娘と狩らない方の紅葉狩りに行きたかっただけだったのだ。

即興小説「蛇口をひねるとファンタグレープが」

 風邪を引いて暇なので即興小説サイトで書いた小説をここに載せておく。
時間は15分
お題は奇妙な水


蛇口をひねるとファンタグレープが


 蛇口を捻るとファンタグレープのような色をした水が出てきた。
 あららららと水道管が腐ったのかと思い、暮らし安心クラシアンに連絡すると14分で業者がやってきて「あーこれはファンタグレープですねー」と言い始めた。
 水道管が混線してるのか?だからファンタグレープが流れるのか?と聞くと「いやいや、野生のファンタグレープですよ」と業者。
 野生のファンタグレープ?
 「あ、知らないんですか?ファンタって、野生なんですよ。自然由来」
 知らなかった。
 「液体っぽい形なんですけども、動物で。生きてて」
 はあ。生きてるんですか。
 「結構、捕まえんの大変なんですよ。その大変さゆえに結構海外だとスポーツにもなってて」
 スポーツ?
 「はい。レッドブル主催でやってたりすんですよ。お客さんテレビあんま見ないタイプですか?」
 私の家のテレビは殆どBlu-ray再生機だ。
 「この前、テレビでやってましたよ。日本人の半分以上が知らない事実つって。まあ知らねーって感じっすけども。」
 彼は流れるファンタグレープをバケツに貯めていく。
 心なしか、ファンタグレープはうごめいて見える。
 「でも、お客さんが普段飲んでるやつってのはもう養殖なんですけどね。近大が養殖に成功したんすよ。やべえっすよね。」
 彼はそのバケツを私に差し出した。
 「なんで、まじ自然の珍しいんで、飼ったらどうっすか?」
 それ以来私はファンタグレープを飼い始めた。
 しかし餌もわからないし、相変わらず蛇口からはファンタグレープが流れ続けるし、手はべたべたするしであんまりいいことはない。
 結局水道からは水道水が流れるのが一番なのだ。

ジャッジ・ドレッドを見た

木曜日の夜9時くらいって既に休日に片足突っ込んでるようなもん。例え明日仕事があって、全然終わってない資料づくりが頭をよぎったとしても。

ということで片足休日に突っ込んでいるという甘えが、俺に映画を見ろと囁く。メンズナックル的な啓示が俺に降ってきたので映画を見ることにした。

見たのは『ジャッジ・ドレッド』(2012)。スタローンの方ではなく、カール・アーバンの方。カール・アーバンってあれらしいよ、スタートレックのお医者さんの人らしいよ。wikiで知った。現代人にとってwikiは外部記憶装置。

監督が『バンテージ・ポイント』のピート・トラヴィスで脚本は『28日後…』や『エクスマキナ』のアレックス・ガーランド

なんかージャッジ・ドレッドってー英国の漫画らしいんだけどー、そういうことは全く知らないっす。

とりあえず映画を見ました。

面白かったです!

たまに人の命がごみくずみたいに扱われている映画って見たくなるじゃないですか。どれだけ日常生活で人のことを労わり慈しんでも、フィクションの中での人の命はごみくず以下になってるものが見たい日がある。

そんな気分の時にめちゃぴったりな映画でした。人の気持ちがごみくず以下。ほこりの方がまだ愛おしく思われてるくらい人の命がごみくず以下。

いやー素晴らしかった。

僕の大好きな映画『ザ・レイド』と同じく、警官が犯罪の捜査でビルに突入したら逆に閉じ込められた上に住人がめちゃめちゃ殺しにかかってきたよ!ってやつです。

今作ではそのビルが超高層で、200階建てで、地上1000メートルで、7万人くらい住んでて、中は九龍城っぽさがあるって最高かよ!

そんなビルの最上階に陣取るのがママと呼ばれる元娼婦のえげつないほど悪い女ー。

そんなママの売ってるドラッグが吸うと世界がスローに見えるスローモーって呼ばれるドラッグ。

スローになって世界が輝きはじめるんですわ。

スローの中、銃撃戦で、頬を撃ち抜かれたり頭吹き飛ばされるのもスローできらきらしてて。あー夢見心地にぐろーいというアウシュビッツ収容所を模したレゴを見た時と同じような気持ちになれたよ。

今作、ゴア表現が結構たっぷりなんだけども、僕が思わず手を上げてやったー!って言っちゃったのは頭を至近距離で顎下からマシンガンで撃たれてぼこぼこぼこ!って穴が空いちゃうやつね。嫌な死に方だったね。逆にテンションあがって手を挙げちゃったねー。やったー!

あと本作の白眉だとガトリング乱射シーン。

なんの関係もない善良な市民が銃撃戦に巻き込まれるの好きな人にはたまんないシーンではないでしょうか。

ここのシーンの人のごみくず以下っぷりといったら!

動くもの皆死んでいく!

うわー、この場に絶対いたくねえーって思っちゃう映画はやっぱ本当にいい映画ですね。

つうことでだいぶ満足した。

なので寝る。なぜなら明日はまた仕事だから。まだ資料作り終わってない。考えたくない。会社からのジャッジを食らいたくない。がんばろう。がんばろう。がんばろう。