にゃんこのいけにえ

両目洞窟人間さんが色々と書き殴ってるブログです。

短編小説『世界を鉄の藻屑にかえてやる』

 塚本晋也監督の『鉄男』を見た私は感動のあまり椅子から立ち上がれなくなってしまった。椅子と言っても、 映画館の椅子なんかじゃなくて、勉強机を買ったときに付いてくる 固い椅子。私はまだ実家の子ども部屋にいる。

 というか引きこもっている。会社にいけなくなってしまった私はほとんど引きこもっている。
 ゴミためのように沢山の思い出に囲まれた自室に私は引きこもっている。
 教科書、テスト用紙、プリント、漫画、CD、雑誌、服、よくわからないもの、それに囲まれて私は引きこもっている。
 で、引きこもっている最中にNetflixでたまたま見た鉄男に強く感動してしまった。「俺たちの愛でこの地球を鉄の藻屑にして やろうじゃないか。やりまくるぞー!!」 と叫ぶラストに私の気持ちは高ぶり、私も「やりまくるぞー!!」 と思う。
 この世界を鉄の藻屑にしてやる!!
 しかし、とはいえ私は鉄でも男でもないので、どうしようかと思う 。鉄男ならば、この世界を宇宙の藻屑ってやつにできるのかもしれ ないけども、ただの人間である私にはどうすることもできない。
 そもそも引きこもっている私はNetflixで鉄男も見ているだ けのただのパンピー。破壊衝動から一番遠い場所に生きている。
 では、どうするべきか。と思った私はとりあえず外に出ることにした。

 

 5日ぶりの外だった。外はすっかり春めいていて寒いのか暖かいのか全くわからない。
 昼の1時に高校生の頃のジャージに身を包んで、この時間に外をぶ らついている私はどう考えても不審者で、それだけで嫌になるが、 家に居ても世界を鉄の藻屑にすることはできない。
 そうだ。世界を鉄の藻屑にするためには外に出なきゃいけないのだ 。
 そう外に出てみてはいいものの、どこか行く場所もない。
 というかどこにも行けないから私は引きこもっているわけで、どこにも行けないのはある意味正しい。
 私は一つ一つに納得と失望をしながら、家の近くの公園までやってきた。
 そこには壊れたビニール傘が落ちていた。骨がばきばきに折れているビニール傘。
 私はそれをつかみ取って、引きこもり先の家に持って帰る。
 家のリビングでは母がいて「あら、外に出ていたの?」と聞いてくる。
 「うん。今は調子良くて」
 「そう。そんな日が増えたらいいね」
 「うん」
 となんとも優しい言葉。世界を鉄の藻屑に変えると言うことは母も鉄の藻屑にしなければいけないのか。こんな引きこもっている娘に優しい言葉を投げかける母も鉄の藻屑にしなければいけないのか。 

 それは嫌だなと思う。
 しかし、手に持った折れたビニール傘を見て、気持ちを改める。
 世界を鉄の藻屑に変える。そのためにはこのビニール傘が必要なのだ。
 「その汚いビニール傘なに?」
 「これ?拾った」
 「あ、そう」
 「うん。じゃあ、部屋に戻るね」
 と母の追求もうまくすり抜けて、部屋に戻って、子どもの頃から使っている勉強机に折れたビニール傘を置く。
 私はこれを使って身体を鉄に変容させて、それで世界を鉄の藻屑に変える。
 というわけで、きたないビニールを剥がして、骨組みだけにして、その折れた骨を一本一本採取する。
 その一本の骨を私はセロテープで身体にくくりつけて完成。
 『鉄男』では鉄のボトルを足に埋め込んでいたけども、私も同じことをしている。ビニール傘の骨を身体に埋め込んだ私は鉄に一歩近づいたはずだ。
 うぃーん。うぃーん。と腕を動かす度に、自分の声で唸らせてみる 。

 なにやってるんだろう。

 これが、世界を鉄の藻屑にするということにつながるのだろうか。

 つながるわけがない。
 私は、セロテープを引きはがして、骨をまた勉強机に置いて、それからリビングへ行く。
 「あ、さちこ」
 と母に呼ばれる。
 「何?」
 「今度、産業医さんと話す日っていつだっけ」
 「今週の金曜日だよ」
 「明後日ね」
 「なんで」
 「なんとなく気になってね」
 「うん」
 「今日、カレー作るから手伝って」
 「わかった」
 そうして会話は止まって、私と母はテレビを見た。テレビでは相撲中継が流れている。肉でぶよぶよの人々がぶつかり合っては人々が歓声をあげていた。


 「さちこさん。最近の調子はどうですか?」と会社の近くの喫茶店 で私は産業医さんと面談。
 「調子ですか。相変わらず悪いです」
 「そうですか」
 「・・・長いですよね」
 私が会社に行けなくなってからそろそろ一年が経とうとしていた。

 「いえいえ。大丈夫ですよ。焦らずです」
 「はい」
 「さちこさん。最近は何か目標みたいなものはできましたか?」
 世界を鉄の藻屑に変えることです。なんてことはいえない。
 「週五で外に出ることです」
 「素晴らしい」
 「でも、全然外にでることができなくて、引きこもってばかりです 」
 「大丈夫ですよ。最初に比べたら良くなってますから頑張りましょうね」
 「はい」


 そつがなく面談は終わって、産業医さんと別れて、私はどうすることもまたできなくなる時間が訪れる。とりあえず私は会社を遠くか ら眺めることにした。
 世界を鉄の藻屑にするならばここを中心点にすべきだと思ったのだ 。なぜなら会社=世界であったわけなので世界を鉄の藻屑に変える ならばここが中心点だと思ったからだ。
 しかし、私は特に会社に対して恨みがあるわけではなかった。
 会社に行けなくなったのも、引きこもりになったのも、トリガーは この場所だけども、だからといってあそこに居た人を全員鉄の藻屑にするのは何か違う気がする。
 私は、私で悩む。
 あれ、私が恨んでいるのは世界だけども、人を恨んでいないとすると、私が恨んでいるのは何になるんだ?
 漠然とした世界というものを恨んでいるが、具体的に恨んでいるものがあまりにもないことに気がついてしまって、私は困惑する。
 すると「あ、さちこさん」と同期の鈴山くんに出会ってしまって、 私は動悸がとまらなくなってしまって、逃げる。
 「逃げないでさちこさん」
 「私は今、休職中なので、鈴山くんに合わせる顔がないのです」と 一気にまくし立てると鈴山くんは笑って近づく。
 「大丈夫です。僕も今サボっている最中なのでー」
 「大丈夫?」
 「うん。もうちょっとサボらせてよー」
 と、鈴山くんとさっきまで産業医さんと面談に使っていた喫茶店に また入って喋ることにする。

 「さちこさん。なんで会社の近くにいたの?」
 「今日、ここで産業医さんと面談があって」
 「ここで?」
 「うん」
 「あーじゃあ、ごめんねー」
 「いいよいいよいいよいいよ」と短時間にいいよを繰り返していい ってことを私は強調する。
 「他の同期は元気にしてる?」私は聞く。
 「軸谷さんはやめたよ。太宰府さんもやめたし」
 「あら」
 「今残ってるのはさちこさんと僕だけだよ」
 「でも、私も今は引きこもってるし」
 「だからもう辛いよー」と鈴山くんはのんきに話す。
 その姿を見て、鈴山くんを鉄の藻屑に変えるのはやめておいたほう がいい気がする。鉄の藻屑に変えるには惜しい人材だ。こんな人間 を鉄の藻屑にするとバチが当たる気がする。
 「さちこさんは最近は何しているの」
 「私は、何もしてないです。ずっと家に引きこもってる」
 「そうなんだ。なんかやりたいこととかあるの?」
 「えーと」
 世界の鉄の藻屑に変えてやりたい。
 なんてことはやっぱり言えない。
 でも言ったらわかってくれるかな。
 わかってほしいな。
 でも、馬鹿にされるだろうな。
 「・・・」
 「まあ、おいおい見つかるよー」鈴山くんはのんきにそう言ってくれる。いや、あるのだ。本当はあるのだ。でも、言うと馬鹿にされるから嫌なのだ。鈴山くんもろとも鉄の藻屑に変 えてやりたいなんてそんなこと言えない。 キチガイだって思われてしまう。
 そもそも、もう私はキチガイなのか?そんなことを考えている時点で、だめなのかもしれない。でも、思ってしまったんだから仕方ないんだ。
 「・・・ありがとう」と形式的に答える。
 「僕は最近、つらくてねー」
 「そうなんだ」
 「なんか、生きづらくてしかたないよー」
 間が生まれてしまった。
 でも、鈴山くんも生きづらいのかと思った。あののんきそうな鈴山 くんでも生きづらいのか。私はすこし感動している。少し、だけ世 界が広がった気持ちがした。だから言う。 
 「・・・鉄男」
 「うん?」
 「鉄男って映画があって、それを見たらいいと思う。昔の映画だけども、なんか今の鈴山くんにはぴったりだと思う。変な映画だけど も、でも生きづらい人にはとてもおすすめ」
 「鉄男?鉄に男?」
 「うん」
 「そっかー。見てみよかなー」
 「うん」
 「さちこさんって映画好きだったんだね。知らなかったー」
 「うん」
 私はそういえば、同期であるということくらいしか鈴山くんに自分 のことを解放していなかった。初めて鈴山くんに自分を少しさらけ出した瞬間だった。


 鈴山くんとの会話も終わって、私たちは別れて、それから私は駅に 向かわず、駅の近くに流れる川を延々と見ている。
 鈴山くんが鉄男を見たらあのラストシーンで感動してくれるかな。

 「さちこさん。僕もこの世界を鉄の藻屑に変えてやりたいと思った よー」って言ってくれるだろうか。
 そんなことはないだろう。
 他人とはわかり合えないものだ。私はこれまでの人生でそれを痛いほどわかっているはずじゃないか。
 でも、それでも、同じ感情をもし持ってくれたら。
 鉄男のラストのように、鉄男の二人が合体して、この世界を鉄の藻 屑に変えてやると宣言するシーンのように、私と鈴山くんでこの世 界を鉄の藻屑に変えてやるのだ。
 私と鈴山くんで?
 鈴山くんと二人っきりで?いやいや、それはない。変なことを考え てしまった。
 しばらく父と母と産業医しか喋ってなかったせいで、変な感情が生まれてしまった。よくない。これはよくないことだ。
 私は川を見つめながら思う。流れゆくこの川も鉄さびに変える能力 があれば、うまくやれたのかなと思う。
 私は自尊心がなくて、私はうまくやれることができなくて、私は何の能力もなくて、私は好きな物があんまりなくて、私は人の顔色ば かりを見ていて、私はどうしようもないから、私は私になってしま った。
 だから、何か一つでも秀でたものがあれば、うまくやれたのかもと思う。
 鉄さびに変える能力があるんだと思っていたら、私は力強くなれていたのかな。
 わからない。
 私はポケットから煙草を取り出して、吸うことにした。
 川沿いは風が強くてなかなか火が付かなかった。


 家に帰って自室に戻ると、あのビニール傘の骨がそのままになって いた。
 私はもう一度腕に取り付けてみる。うぃーん。うぃーん。喉を唸らせる。それで思う。この部屋をまず鉄さびに変わる瞬間を。
 勉強机が鉄さびに変わる。置きっ放しの教科書が鉄さびに変わる。 卒業アルバムが鉄さびに変わる。私の嫌な思い出が全部鉄さびに変 わる。
 全てを鉄の藻屑にする。
 この世界を鉄の藻屑にするならばまずは私の部屋からだ。
 中心点は会社じゃない。
 世界=会社じゃない。
 中心点はあくまでここだ。この部屋だ。
 私の世界の中心点はここだ。
 世界=私の部屋だ。
 ここを変えなきゃいけない。
 だから、私は捨て始める。
 ゴミ袋を母に貰って、自室のいらないものを捨て始める。
 10年以上前の教科書を捨てる。テスト用紙を捨てる。ノートを捨 てる。いらないCDを捨てる。いらない漫画を捨てる。いらない雑 誌をすてる。いらない服を捨てる。よくわからないものを捨てる。 捨てる。捨てる。捨てる。捨てる。捨てる。捨てる。
 ビニール傘を捨てる。
 捨てることで、この物達を鉄さびに変えてやる。
 私には世界を鉄の藻屑に変える能力なんてない。
 でも、捨てることで鉄さびに、藻屑にかえることはできる。
 だから、捨てる。捨てる。捨てる。捨てる。


 部屋の半分を捨てきったところで、私は涙が止まらなくなる。うぉんうぉんうぉんと涙が止まらない。うーわーと涙が止まらなくなる 。私は思い出を捨てるということに耐えられなくなってしまった。 鉄さびに変えるのだ。なんとか世界を変えるのだ。
 と思って、なんとか進めようとするけども、無理だ。
 私は手が動かなくなって、涙がとまらない。
 なので涙が止まらないまま、リビングに行く。
 母が、相撲中継を見ていた。
 「あら、泣いてるの」
 「うん」
 「なんで」
 「鉄さびに変えてたらなんか涙が止まらなくなった」
 「何言ってるの」
 「何言ってるんだろう」
 「とりあえず、ロールケーキ買ったけども食べる」
 「食べる」
 鉄さびに変えるのはやめてロールケーキを食べることにした。ロー ルケーキはとても甘かった。
 テレビでは今日も相撲中継が流れていた肉と肉がぶつかり合って人 々が歓声をあげている。


 世界を鉄の藻屑に変えるのは難しい。
 鉄男には「本気で世界を鉄の藻屑に変えてやろう」という気持ちが 封じ込められているけども、それは物語の中でだ。
 これは30年も前の映画だけども、それから世界が鉄の藻屑になったわけではない。
 現実には簡単には変えれない。現実には簡単に敵わない。
 だから、世界の中心点をまず自力で変えることが必要だ。
 私はそれから鉄男を何度も見返す。
 そして、そのたびに「世界を鉄の藻屑に変えてやろう」と思う。
 でも、そんなことは絶対にできない。
 だから中心点である私の部屋をまずは捨てさる。
 沢山の物を捨てる。
 私は私の能力で沢山の物を捨てることに成功する。
 泣きながら沢山の物を捨てる。
 世界を鉄の藻屑に変えていく。


 数日後、鈴山くんからLINEが飛んでくる。
 「鉄男を見たよ」
 「どうだった」
 「変な映画だねー。わけわかんなかった」
 「ああー」
 「でも、最後の世界を鉄の藻屑に変えてやるってところ、感動した 」
 「本当!?」
 「うん。僕も世界を鉄の藻屑に変えてやりたいなーって思っちゃっ たよー」

 世界を鉄の藻屑に変えてやりたいと思ったのは私1人じゃなかった。そもそもは塚本晋也監督がこの世界を鉄の藻屑に変えてやりた いと思って作ったわけで、そして、その映画を流れ流れて私が見て「世界を鉄の藻屑に変えてやりたい 」と思って、私に勧められて見た鈴山くんも同じことを思った。
 世界は変えられる。
 鉄の藻屑に変えられる。
 そのためには思うことが必要で、一緒に思ってくれる人が必要で、 そして出来る範囲から鉄の藻屑に変えていかなきゃいけない。
 そうすれば、世界は必ず変えられるはずだ。
 絶対にできるはずだ。


 でも私はまた涙がとまらなくなって、リビングに行く。
 リビングでは母が掃除をしていた。
 なんでと聞くと、「さちこが掃除をしていたから、私もしようと思って」と帰ってきた。
 徐々に変わりつつある。
 行動をすれば、何かが変わる。
 それが「この世界を鉄の藻屑に変える」ということなのだ。
 でもそれは私1人じゃ無理だ。
 多くの人の協力が必要だ。
 世界を変えるには1人でも多くの人の協力が必要だ。
 私のことをわかって貰う人の力が必要だ。
 そのためには私は私であることをもっと外に出すべきなのだ。
 好きな物を人に伝えることが必要なのだ。
 私が何を考えているかを伝えるのが必要なのだ。
 「お母さん」
 「何?」
 「世界を鉄の藻屑に変えてやりたいって思ったことある?」
 「無いに決まってるじゃない」
 「そうだよね」
 そうなのだ。そりゃそうだ。みんながみんな思ってるわけじゃ無い 。
 でも、それでも捨て去っている。世界を変え始めている。
 だから、100%私に同意できなくてもいい。
 世界が変わるならそれでいい。
 「私も掃除手伝う」
 「あら、ありがとう。じゃあ、そっちの本の整理手伝って」
 私は手伝いながら、テレビをちらちら見る。
 テレビでは相撲中継が流れていた。
 私はもしこの人達の身体が鉄になって、鉄力士になって、ぶつかり あったらもっと面白いのになあと思った。
 鉄の藻屑になった場所で鉄力士が戦い合う。そんな日がやってくる のを夢見て、私は私の世界をちょっとずつでも変えていく。
 その夢を今度鈴山くんに言ってみようと思う。
 多分、なんでって言われるかもだけども、それでも、言わないよりはましだ。
 世界を徐々に変えていくことが鉄の藻屑に変えることの最大の近道なのだ。

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どてらねこのまち子さん「素直なにゃんこ」

 どてらねこのまち子さん

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素直なにゃんこ。

 

 「素直なにゃんこですー。素直なにゃんこですー!」

 とどてらを着た二足歩行で喋るねこのまち子さんが街角で叫んでいた。

 どうしたのだろうと思って、私は近づいてみた。

 「どうしたんですか?まち子さん」

 「あ、山本さん。こんにちは。」

 「私は岸本です」

 「あ、岸本さん。すいません。いつも間違えちゃって」

 「いえいえ」

 「素直なにゃんこですー。素直なにゃんこです-!」

 「その素直なにゃんこってのはなんですか?」

 「あ、これです」

 とまち子さんが見せてくれたのは銀色の猫型ロボットだった。

 「これは?」

 「猫型ロボット“素直なにゃんこ”です」

 「素直なにゃんこ」

 「はい。猫ってあまのじゃくでしょう。そんな猫への不満を解消するために作られた猫型ロボット“素直なにゃんこ”です」

 「まち子さんが作ったんですか」

 「はい」

 えっへんと言わんばかりに腰に手を当ててまち子さんは胸をはる。

 「まち子さんってロボット作れるんですね」

 「喋って二足歩行する猫ですからね。無理なことなんてないんですよ」

 「まち子さん凄い」

 「うにゃにゃにゃにゃ」

 とまち子さんは顔をほころばせて喜ぶ。

 「しかし、素直なにゃんこって名前は伝わりづらいですね」

 「そうなんです。なかなか、ロボットってことわかってもらえなくて」

 「うーむ」

 私は考える。

 そうだ。

 「素直なにゃんこをこの場で実際に動かしてみてはどうですか?」

 「なるほど!」

 

 


 素直なにゃんこは全身メタリック。可動する度にぎぃぎぃっと歯車の音が聞こえる。

 しかしそれ以外は猫そのものの動きをしていた。

 つまりは4足歩行で、喋りはしない。まち子さんとは真逆の構造。

 「喋る猫ってそういえばなかなか見かけませんね」

 「どこかには居るみたいなんですけどもね」

 「へえ」

 「なかなか出会えないんですよ」

 「素直なにゃんこは喋る猫にしなかったのですか」

 「うむむむむ・・・その観点はなかったです・・・」

 うーみゃ。と素直なにゃんこが鳴く。にゃーご。

 確かに普通の猫に比べたら過度になついているように思える。

 「素直なにゃんこでしょう」

 「素直かどうかはわかりませんが、確かに人によくなついている気がします」

 「あと、機能としては芸ができるんですよ」

 「へえ」

 「いけっ素直なにゃんこ!バク転宙返りだ!」

 とまち子さんが命令すると素直なにゃんこはぎぎぎぎと歯車の音を立てながら、バク転を始めた。

 そのまま素直なにゃんこはバク転をしすぎて、道路に出てしまった。

 「あっ」とまち子さんが呟いた瞬間、素直なにゃんこは8トントラックにひかれて粉々になってしまった。

  

短編小説『ロマンティック消滅』

 私のロマンティックは数年前に死んでしまった。音もなく死んでいったから、当分の間は気がつかなかった。私は気がつかぬ間にロマンティック未亡人になっていた。ロマンティックは私の元から去ったのだ。

  「井上さん、彼氏いないんですか?」はいはいはいーきたよこの手の質問。と、会社の後輩の高木さんから言われた時も「うん。まあねー」と受け流す。ロマンティックが死んでしまった私には彼氏なんていない。というかそもそもいない。

 好きな人は昔いた。笑い声がロバート・デ・ニーロそっくりだったデ・ニーロくんのことが好きだった。大学時代のことだ。後輩の男の子だった。私はデ・ニーロくんのことが好きだったけども、デ・ニーロくんは私のことが好きではなかった。

 「井上さんは違うんです。お姉さんって感じなんです。彼女じゃないです」と二、三回抱かれた後に言われた。じゃあお姉さんを抱くんじゃねえよ。何、タブー侵してんだよ。神に背いてんじゃねえよって思ったけども、あっはい、わかりましたーって引き下がってしまった。

 だってデ・ニーロくんのことが好きだったので、好きな人のことは一番優先したかった。それが、私のことが嫌いというのが一番優先すべきことなら、そうしましょう。はい、しましょう。ってことで、私はデ・ニーロくんから身を引いた。

 あの頃まではまだロマンティックは生きていた。でも、あのらへんから、ロマンティックはだんだん息しなくなっていって、就活を経た頃には完全に心肺停止。

 そして、就職してからは消えてしまった。

 宇宙の藻屑になった私のロマンティック。

 ロマンティックが完全消滅して早数年。私はロマンティック無しでも生きてはいける。

 

 

 

 高木さんに彼氏がいないということを伝えると、高木さんは「えー!もったいないー」と勝手に損得を図られて、絶対作った方がいいですよー!とわいわいやられて、気がついた頃には合コンの頭数に入れられていて、私はつぎの土曜日には合コンに向かっている。

 嫌だなあ。という思いが浮かぶ。

 でも、断らなかったのは、私だってロマンティックを生き返らせたいという気持ちがあったからだ。

 ロマンティックが消えてから、それでも生きていけたけども、それはなんとか一人でやっていけてるって意味で、本当は私だってロマンティックでドラマティックな世界に浸りたいのだ。

 私の今の生活はロマンティックでもドラマティックでもない。

 何にもない生活。 

 空気。

 生活というより空気。

 それを楽しむのには限界があった。

  だから、あわよくばって気持ちがあった。誰かにロマンティックを蘇生してもらいたい。

 誰かとドラマティックな日々を作り上げたい。

 


 「杉山先生知ってる?そう。ハイゾーーンの。アニメ見てた!?詳しいねえー!えっ、ファン?まじで!?俺さ、杉山先生の編集で。そうまじで。ハイゾーーンの1話から関わっててさ。杉山先生とは、もう編集者と作家って関係を超えて、友人、いや、親友かな?もうそんな関係なの。杉山先生がいい話が書けた時は俺も嬉しいし、杉山先生が煮詰まってる時は俺も悲しい。だから、俺って、もはや杉山先生なの。うん、同化しちゃってんだよね。ははは」

 と目の前で週刊マンガ雑誌の編集者だという男は早口で話し続ける。私はずっと引きつった笑いを浮かべながら、聴き続ける。

 高木さんともう一人の一緒に来た女の子はずっと「すごーーい!」「えー!本当ーー?」と相槌をタイミングよく入れ続ける。

 そのタイミングがあまりにリズミカルなので、編集者の話は熱気を帯びていく。

 ぶわわわわわわわ。

 ぶわわわわわわわ。

 昔、羽の綺麗な鳥はその羽を広げてメスの鳥に求婚すると聞いた。

 じゃあ、編集者にとって綺麗な羽は「ハイゾーーン」と「杉山先生」なのだ。

ぶわわわわわわわ。

ぶわわわわわわわ。

 私たちは今、求婚されている。

 編集者はちらりと私を見る。

 品定めをするような目。

 しばらくして、彼は私を見なくなる。

 私は彼のように綺麗な羽を持っていないので話す事もない。だからただただ彼の綺麗な羽を見続けた。そしてそれからはみんなの綺麗な羽を。

 どこかへ行った旅行の話。過去にやった凄い出来事。こんな人が友人にいて。凄い景色。遠い夢。こんなことを思ってる。渾身のジョーク。

 全てが私の向こうを通り過ぎていく。

 私はどの話もできなくて、ひたすら聴き続けた。私は透明人間になった気分だった。

 この場にいる誰もが私のことなんて必要なくて、この場にいる誰も私のことなんて気にしてなくて。

 いてもいなくてもおんなじだ。

 形式的に連絡先だけ交換して、形式的に挨拶だけやってきたけども、でも、何も起こらない。

 私のロマンティックは蘇生されることない。

 

 

 

 


 次の日、高木さんが昨日の合コンの感想戦を私に話しかける。あの人はああでしたよね。こうでしたよね。あの編集者の人、暑苦しかったですよね。

 沢山溢れ出る他人への評価の数々に私は気圧されてる。

 他人のことをどう思っているかのグラデーションが高木さんは細かいなと思った。

 私はそんな風に思えないから、高木さんは凄い。

  高木さんはロマンティックが死んでなさそうだ。どうやったら死なずにすんだんだろう、私のロマンティック。

 


 

 それから相変わらずロマンティックが死んだ日々が続いて、それでも生活は続いていた頃に突然デ・ニーロくんから連絡があって「久しぶりに会いませんか」なんてきて、私は悩むがそれでもかつて好きだった人だったから私は再び会うことにする。

「お久しぶりです」

 デ・ニーロくん。かつて私が好きだった人。

 


  久しぶりに会ったデ・ニーロくんは相変わらずのロバート・デ・ニーロみたいな笑い方をして、相変わらず私のことをちゃんと見て話してくれる。

 私はそれが楽しい。私は透明人間になってない。

 自分の羽を見せびらかすような話をしないから、デ・ニーロくんの話が好きだったことを私は思い直す。 かつて好きだった人。

 だから私はこの前の合コンの話をする。

 デ・ニーロくんなら、わかってもらえると思ったからだった。

 一通りの愚痴を言う。

 後輩の女の子に誘われて行ったこと。

 でも羽の見せびらかし合いに疲れ果てたこと。

 私のロマンティックは死んだままだということ。

 

 


 「井上さん。それはどこかで選り好みしてるんじゃないですか?」

 一通り話を聞いた後のデ・ニーロくんからの強いパンチに私はよろめく。ロマンティックが死んだなんて言って、私はただ選り好みをしていただけだったの?私は選ばれる立場だってことを忘れて選り好みしていただけ?

 ロマンティックが死んだ、それでもドラマティックな日々を過ごしたいとか言いながら、本当に遠ざけていたのは私自身だったの?

 はあ?え?わけわかんない。え?理解できない。

 


 落ち込み混乱する私の手をデ・ニーロくんが繋いでくる。無言で私を見つめるデ・ニーロくん。

 「井上さん…」とデ・ニーロくんは私を見つめて呟く。

 

 あ、気持ち悪い。

 デ・ニーロくんが気持ち悪い。

 手を離してほしい。

 かつて好きだったデ・ニーロくん。

 でもそんな人に手を繋がれても、もう気持ち悪いとしか思えない。

 これも選り好みしているの?

 違う。

 単純に気持ち悪い。

 このタイミングで手を繋いできたデ・ニーロくんが気持ち悪い。

 手を繋がれてもロマンティックは復活しない。蘇生しない。

 かつて好きだった人は、"かつて好きだった人"に本当になってしまった。この瞬間なってしまった。

 私は「あー、だめだ」と言って、手を離して、立ち上がってお金を置いて立ち去る。

 後ろからデ・ニーロくんの呼び止める声が聞こえるけども無視をする。走り去る。

 私は逃げ去る。

 ロマンティックなんてどうでもいい。

 とにかく気持ち悪いから逃げる。逃げる。逃げ去る。

 


 

 「昨日はすいませんでした。」ってLINEがデ・ニーロくんから入ってるのを既読スルーして、私は私の生活に戻る。

 もうロマンティックは蘇生しないんだ。って私はさとる。

 私のロマンティックはどこかで死んだのだ。本当に死んでしまってたんだ。

 そしてそのロマンティックは誰かによって復活するとかそういうことじゃないのだ。

 選り好みでロマンティックが復活しないのなら、もうそれはそれでいい。

 私は見知らぬ誰かによってロマンティックを蘇生させなきゃいけないほど、ロマンティックに困っているわけじゃない。

 羽の見せびらかしも、かつての好きな人も、私には必要ない。

 

だから、生きてる。まだ生きてる。ロマンティックがなくても生きてる。

私にはロマンティックは必要ない。

ありがとうロマンティック。

かつての私の生活をドラマティックにしてくれて。

 でも、今はさようなら。

 復活することはあるのかな。

 多分ないでしょう。

 誰かに復活してもらえるのを待つなんて、それはとても悲しいことだ。

 私はロマンティックなんて、もう追い求めずに生きていく。

 ロマンティックもドラマティックもない世界を生きていく。

それがなくても生きてやる。

私は私で幸せになる。

もしその過程で、ロマンティックが復活したらその時はこころよく受け入れよう。

でも、それまではさようなら。

 もう二度と帰ってこなくてもさびしくない。

 私のロマンティックは消滅してしまった。

 私はロマンティック消滅以降の時間を、生きている。

 さようなら。さようなら。

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短編小説『愛なき世界』

 私は私の地獄を生きている。という言葉を思いついてほえほえほえとなった私は、布団の中から動きたくなくて、布団というドリームホームから動きたくなくて、それでも朝はやってくるので動き出さなきゃいけない。
 目覚めた45分後には電車に乗っている。イヤホンを耳にぶっさして大音量でマイ・ブラッディ・バレンタインのラブレスを聞いている。があああああああとギターの音がまるで夢の続きのようで心地よい。つり革を持ちながらでももう一度眠れそうだ。がああああああああ。
 さらにその45分後には私は会社のデスクに座っていて、パソコンを開いている。頭の中ではまだマイ・ブラッディ・バレンタインのギターの音色ががあああああああって鳴っているけども、私はそんな顔を一つ見せずにメールチェック。
 おはようございます、だの、ありがとうございます、だのをうまく使いこなして、発注業務をいちにさんしと朝からこなす。
 もう3年もやっていれば、ちょいちょいちょいとできるのだ。頭の中でラブレスを流すことだってたやすい。お気に入りの曲はsometimesって曲。がああああああってギター。クローズマイアイズ。フィールミーナウ。がああああああああ。
 すると、隣の席の杉山さんがいつまで経ってもやってこない。
 私は私の仕事で夢中になっていたから、というかラブレスに夢中になっていたから気がつかなかったけども杉山さんがやってこない。 すると、突然、上司各位がざわつきはじめる。
 そして私の元に山野さんがやってきて「杉山さん、飛び降りたんだって」って連絡がはいる。ほえ。となって、さすがにラブレスを流すのをやめる。


 まさか自殺するなんて、とか、あんないい人が、とかおきまりの言葉をみんな並び立てる。
 山野さんも「なんで、杉山さんがなんで」と今にも泣き出しそうに私に言う。
 私にはわからない。
 私も杉山さんが死んで悲しい。
 しかしまさか自殺するなんて、なんてそんなのどうして言えるんだって思う。
 私はラブレスを頭の中でがあああああって流しているから耐えることが出来ているけども、ラブレスを聞いたこと無い人が、どうやってこの時間を耐えているのか私にはわからない。
 だから杉山さんが飛び降りたことに私は全く疑問を持たない。
 私は私の地獄を生きている。杉山さんも杉山さんの地獄を生きていたのだ。多分そうだろう。そうに違いない。


 私はいつも通り昼ご飯を食べている。
 でも山野さんは全く食べる気がしないという。「だって杉山さんが亡くなったんだよ」と言う。杉山さんの死と山野さんの食欲に何の相関関係もないはずだ。だから食べたらいいのにと思う。
 でも、山野さんは食べない。だって杉山さんが亡くなったから。
 みんなの顔も暗い。その顔を、杉山さんが生きているときに向けておけば良かったのにと思う。
 私は、杉山さんと隣の席だから喋るくらいで、仲がよかったわけではない。杉山さんが死んだのは悲しい。とても悲しい。
 でも杉山さんが死んだからって、自分の心の一部が死んだように振る舞うのはどうかしている。
 それはエゴだ。エゴダンス。エゴ踊り。えらやっちゃえらやっちゃよいよいよいよい。と私は私のエゴを踊る。

 その日、一日、社内は葬式みたいな空気が流れていて、電話の音はその空気を引き裂く。後は笑っちゃだめな空気が延々と流れている。
 息苦しい。
 私はトイレに入って、個室の中で、目一杯の笑顔を作る。
 不思議なもので、笑顔を作ると心が軽くなる。
 そのことにきがついたのは浪人生の頃で、私は意味も無く勉強中ずっと笑っていた。
 そうじゃないとやっていけなかったし、そうすることで心の負担を減らしていたし、あの予備校の空気に対抗するにはこうするしかなかった。
 そうだ、あのときの予備校の空気もこんな風だった。
 だから、私は目一杯笑う。杉山さん見てる?私、今目一杯笑ってるよー。


 定時がやってきて、それから30分ほど残業をして私は帰る。
 外に出るとちょうど夕日が沈みかけていた。
 私は今日も私の地獄を生きた。地獄を生き抜いた。
 杉山さんは自宅のマンションから飛び降りたそうだった。
 もう、耐えれなくなったとか。
 山野さん経由でいろいろ聞いた。どこから情報を仕入れてくるかわかんなかったけども、山野さんは杉山さんの死について興味があるようで、たくさんのことを私に話した。
 でも、そんなのはどうでもよかった。
 私は業務を終えて、外にでて、夕日を見ながら、今日も生き抜いた。
 イヤホンを耳にぶっさして、ラブレスを流す。
 再びやっとラブレスが頭の中で鳴り響く。
 がああああああああああ。
 杉山さんにはラブレスがなかったのだな。
 杉山さん、ラブレスを探そうよ。
 愛無き世界だとか言うけれども、同じ邦題がついた音楽はこんなにも美しい。
 「死ななくてもよかったのに」
 私は気がつけば呟いている。
 死ななくてもよかった。
 そう。何にも死ななくてもよかった。
 杉山さんは死ななくても良かったし、山野さんは杉山さんの死について興味を持つべきじゃ無かったし、みんなは悲しんでいる様子を過度に見せなくてもよかった。
 なんでも、やりすぎだ。
 深く、深く、のめりこみすぎた。
 私は、私の地獄を生きている。
 もし、ラブレスがなかったら、私も死んじゃうのだろうか。
 死ぬのは嫌だな。痛そうだし。でも痛みって一瞬なのかな。そしたら死ねるのかな。なんて考えている。


 朝が来る。また地獄が始まる。私は布団から抜け出したくないななんてまた考えている。マイスイートホーム。行きたくないななんて思って。ああ、この瞬間を杉山さんは耐えることができなかったんだなって思い当たる。
 それから私は45分後には、電車に乗るはずだけども、まだ布団の中にいる。
 それからさらに45分後には会社についているはずだけどもまだ布団の中にいる。
 それから、3時間後には山野さんと昼ご飯を食べているはずだけども、布団の中にいる。
 それから、それから、たくさんのそれからを過ぎ去っていって、私はずっとずっと布団の中にいた。
 私はその間ずっと頭の中でラブレスを流していて、私は私の地獄を生きていて、杉山さんずるいなあと思いながら、それからを通りすぎていって、私は会社に行けなくなって、私は休職することになって、私は死を何度か考えて、私はそれでも生きねばと決意したりして、それからそれからをずっと通り過ぎていく。


 私はずっと地獄を生きていることに気がついていたけども、ラブレスを流すことでなんとか耐え抜いてきたはずだった。
 でも、だめなようでした。布団の中でがああああああって鳴り続けていても何の効果もありませんでした。
 杉山さんのことでみんな騒ぎすぎだなんて言っていたけども、私が一番、一番ダメージを受けていたみたいだった。
 なんで、先に降りちゃったんだろう。
 杉山さんずるくないですか。
 それじゃ、ラブレスを頭の中で流しながら頑張ってる私が馬鹿みたいじゃないですか。
 そうだ馬鹿だ。私は馬鹿なんだ。
 馬鹿だから杉山さんが死んだ日も平然を装うふりをした。馬鹿だもの。
 馬鹿だから私は達観できていると勘違いしていた。馬鹿だもの。
 馬鹿だ。馬鹿。馬鹿。
 ということにやっと気がつけたのは布団の中で3ヶ月がすぎたくらいで、髪の毛はぼさぼさで、化け物みたいになっている。
 それからさらに三ヶ月はあっという間にすぎる。

 「杉山さんって同僚がいて、その人が飛び降りたんですよ」ってカウンセラーに話す。
 カウンセラーはうんうんとうなずく。
 そこで私はやっと涙がぽろぽろと溢れてきて止まらない。
 杉山さん、杉山さん、すぎやまさあああんと泣く。
 それほど仲良くなかったけども。
 それほど話していないけども。
 それほど好きじゃ無かったけども。
 それでも、死ぬことはなかったよ、杉山さん。
 私まで、地獄に耐えきれなくなったじゃないか、杉山さん。

 というわけでまだ、当分の間は布団の中で過ごしている。
 がああああああってラブレスを流している。
 ラブレスに収録されているsometimesという曲を口ずさむ。
 クローズマイアイズ。フィールミーナウ。
 瞳を閉じて、思いを巡らす。
 杉山さん、どうして地獄から降りちゃったの?
 何も死ぬことはなかったじゃない。
 杉山さん、私は今、凄く寂しい。
 仲良くなかったけども、寂しい。
 とても寂しい。
 なので、ずっとずっと、あなたのことを考えている。
 そんな人がいたっていいよね。
 そんな風に思ったっていいよね。
 クローズマイアイズ。フィールミーナウ。
 があああああああああああああああああああ。

 

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エモめな写真を見てほしい 神戸編

 BABY~君だけを見て~君だけを見てえっへ~導かれ~導かれっえ~なななな。とtofubeatsのBABYを口ずさみながらやってきたのは神戸。
 1年前の星野源オールナイトニッポンで神戸を代表するトラックメイカーtofubeatsがゲストでやってきたときに「イスズベーカリー」のミルクフランスがめっちゃ美味しいという話をしていて、うわっ絶対に食いてえ!!となって早1年。
 その間に休職やらになってしまった私は関西の実家でぼんやりと過ごしていた。
 その時に「あっ、今日は体調いいし、神戸に行こう」と神戸はイスズベーカリーに行くことにしたのでした。

 イスズベーカリーの本店はJR三ノ宮駅から徒歩5分ほどの場所にあって、昼時もあり結構な人で賑わっていました。
 さがすとミルクフランスはそこにあり、あっという間に確保して、会計を済ませて適当なベンチに座って食べてみると、うわっおいしー。ミルクの優しい甘さに舌鼓をYOSHIKIのドラムのごとく打ち鳴らしてしまいました。

その後も、ぶらぶらと神戸を探索したり、8番館という喫茶店に入って、一緒に行った後輩と生きづらいの~って話をしたり、最後は海を見に行ったりとなんだか休日(休職しているので休んでいる日々は休んでいる日々ですが)のような一日でした。


そんな日のエモめな写真です。

 

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そして相変わらず動き回った翌日は死に絶えていました。
体力ゲージがすぐに0になる日々、終わって欲しい。