にゃんこのいけにえ

映画と音楽と本を中心にいろいろと。

先輩とブランクとスカート

 大学時代の先輩から『亜人』を見に行かないか?と誘われたので平日の昼間に落ち合って映画『亜人』を見に行った。
 実は『亜人』はもうすでに見ていた。
 とてもおもしろい映画だったけども、先輩に誘われて二度目の鑑賞をすんなり了承したのはその先輩が『亜人』に出演していたからだった。
 先輩は一度目の佐藤健綾野剛の壮絶なバトルのあと、綾野剛城田優を連れて演説するシーンに取材陣の一人として映っていた。
 先輩は自分が出ているカットになるとスクリーンに映る自分を指差して笑っていた。
 その先輩の姿を見ることができただけでも二度見て良かったと思えた。
 先輩にはどんどん映画に出てほしいなと思った。
 そしてその度に僕を誘って、自分が出ているシーンをドヤ顔で指差してほしいと思った。
 ゆくゆくは重要な役で出て、上映時間の大半を指差してほしい。
 「いやー先輩出てましたね」
 「出てたねー」
 と言いながら劇場を後にしておしゃれな喫茶店に入っておしゃれじゃない話を沢山した。
 

 

 小学校からの親友と7年ぶりに会って遊んだ。
 昔はほぼ毎日のように会ってずっとずっと喋りまくっていたんだけども、親友の就職と僕の進学と色々環境の変化等で会わなくなっていたうちに7年も経ってしまっていた。
 正直、会うまでは経ってしまった月日によって気まずくなっていたらどうしようと思った。
 でも、駅の改札で会った瞬間に、7年間会っていなかったなんて嘘みたいに一気にあの頃と同じように話せた。
 まるで三日前も会っていたみたいに話せた。
 お互いの7年の間にいろんなことがあって、いろいろと変わったところもあったはずだった。
 でも核の部分はどうやら変わってなかったみたいでそれはとても嬉しかった。
 ご飯を食べてケーキを食べて、お互いの近況をふざけながら話したり、ただふざけたり、ロフトで買い物したり、おすすめの映画の話をしているうちに、あっという間に時間は過ぎて帰る時間になった。
 また近いうちに会おうという話になった。
 今度は7年もブランクが空かないようにしようって言い合った。
 

 
 スカートのアルバム『20/20』を買った。
 まるで中学時代から聴き込んでいたいたアルバムのように、初めて聞いた気がしないほど普遍的でとてもポップなアルバム。
 このアルバムを生活の至る所で流していたい。
 散歩中に、ドライブ中に、読書中に、掃除中に、ご飯を作っているときに、知らない旅先で、地元に帰るときに、夜行バスで寝るときに。
 色んなところにぴったりくる作品だと思った。
 どの曲も好きだけども「視界良好」「さよなら!さよなら!」「ランプトン」「静かな夜がいい」はどこまでも連れて行ってくれる曲のようで素敵。
 

スカート / 視界良好【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 

スカート / 静かな夜がいい【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 

20/20(トゥエンティトゥエンティ)

20/20(トゥエンティトゥエンティ)

 
 今日は一日ずっとしんどくてほぼ横になっていた。
 夢の中でとんねるずのタカさんに「ちょっとさあ~旅行に行ってその模様をフェイスブックにアップしてよ~」と言われた。
 「いや、休職中なんで勘弁してほしいです…」って言ったけども「でも、もうマッコイもスタンバイしてるよ~」と言われ後ろを見るとマッコイ斎藤がカメラを構えていた。
 これはとんでもないロケになるぞとわかり、吐き気と不安と職場からのバッシングの全てを想像して最悪な気持ちになった瞬間に目が覚めた。
 マッコイ斎藤さんのロケには参加したくない。
 マッコイ斎藤さんのファンだけどもそれは強く思った。
 

短編小説『世界を燃やしてほしかった』

『世界を燃やしてほしかった』

今日買うもの、にんじん、じゃがいも、たまねぎ、牛肉、カレーのルー。
 カレーのルーはセブンプレミアムの安いやつでいいよってドアを開ける瞬間に言われたのを思い出しながら自転車のペダルを踏む。
 自転車の悲鳴ががちゃがちゃきぃきぃと聞こえる
 あー油を注さないと。油って家にあったっけなと思い出そうとする。
 あれだけ毎日見ている玄関なのに、油があるかどうかすらはっきり思い出すことができない。

 行きつけのスーパーは最近セブンイレブン系列に取り込まれてしまった。
 結果、店の中には価格の少し安いセブンプレミアムの商品が溢れている。
 「たまには高いルーを買おうよ」
 私は玄関からそう言ってみたけどもあの人はカレーなんて、何のルーを使っても同じだからと言って取り合ってくれない。
 ルーを変えたらもっと美味しくなるのに。
 あの人はそういうところは無頓着なのだ。
 そこは未だに馬が合わない部分だ。
 遠くの空に飛行機がしっぽのような飛行機雲を連れて飛んでいる。
 いい天気だからどこかに出かけてみたい気もする。
 でも、平日に忙殺されている私は出かけたくない。
 こんな風にスーパーに行くのも本当は嫌だった。
 でも、あの人が「今日はカレーを食べたい」とわがままを言うから。
 がちゃがちゃきぃきぃ。
 クレ556を勝手に買って帰ろうかな。
 どうせ、この自転車、私しか乗らないし。


 「俺、もうあきらめるから」
 晩ご飯を食べてるときにあの人はそう言った。
 その日の献立は麻婆豆腐。山椒をまぶしすぎて私には辛すぎた。
 いいの?ずっと頑張ってきたのに?そんなつまらないことは言わなかった。
 ここ一年くらいはもう終わりに向けた予告編だったことは私にもわかっていた。
 だから「お疲れ様」とだけ言った。
 あの人は「うん」とうなずいて、麻婆豆腐を取りご飯にかけた。
 そっか、あきらめてしまったのか。
 その日、洗い物をしながらその言葉を思い返していた。
 洗剤のキュキュットが無くなりかけていることに気がついた。
 少なくなった洗剤をスポンジに垂らす。
 詰め替え用を買わなきゃいけない。


 たまねぎが今日は安かった。
 牛肉は2割引きのがあった。
 にんじんはそこそこ大きいのがあった。
 じゃがいもも今日は一袋あたりに入っている量が多い。
 かごの中が重たくなっていく。
 後はカレーのルー。
 セブンプレミアムの安いやつ。
 ふとバーモントカレーと熟カレーが目に入る。バーモントカレー久しぶりに食べてみたいと思った。子供時代はよく食べたものだ。はちみつの味なんてわからなかったけども、やけに美味しそうに思えた。
 でも今日はやけに熟カレーの箱が目に入る。ルーが二段構造になっているらしい。
 値段はセブンプレミアムのカレーに比べてと100円近く違う。なるほど、100円多く出せばルーが二段になるのか。
 

 「旦那さんって何されてる方なんですか?」
 家計を支えるために働き始めた事務の仕事も3年が経っていた。気がつけば中途の新人さんから、中途さんになり、そして先輩になっていた。
 昼休み、冷凍食品が詰まった弁当を食べながら、初めてできた後輩は私に聞く。
 「今は、何もしてないよ」
 今日の弁当の中身を多分今頃あの人も食べている。ニチレイのハンバーグ。昨日の晩ご飯の残りの青椒肉絲。白いご飯。
 「え、ヒモなんですか?旦那さんって」
 口の端にご飯粒をつけた後輩が目を丸くして言う。
 「違うよ、ちょっと前までは頑張ってたんだけど、今はやめた直後だから」
 「やめたんですね。え、何されてたんですか」
 「あー、世界征服」
 「え?」
 「あ、嘘。普通のサラリーマン」
 「先輩って冗談言うんですね。もっと怖い人だと思ってましたよ」
 冗談じゃ無いって言ったらどうなるだろう。


 「お帰りなさい」
 家に帰った私をあの人は出迎える。
 そして何の意味もなく「ごめんね」と付け足す。
 世界征服することを諦めた彼はずっとこんな感じで自信も元気もなくしてしまった。  あの人は本当に世界征服しようとしてたのだ。
 悪の結社のボスだったのだ。
 でも、正義のヒーローは強かった。
 度重なる戦闘の末に彼と私は命からがら逃げ出した。
 ベッドタウンの隅っこにたどり着いた私たちはそれでも世界征服をするために頑張った。 でも、生活は難しい。
 日々の生活に追われるうちに世界征服のことを口にするよりも、職場の不満や、明日の天気、スーパーの特売、公共料金の未払いのことばかり口にするようになった。
 「あのね、今日、セブンプレミアムのカレーのルーじゃなくて、熟カレーのルーにしたから」
 「あ、そうなんだ」
 「ごめんね」
 「別に。いいよ」
 俺も手伝う。と言って袋からタマネギを取り出す。
 狭いキッチンに私とあの人が並ぶ。
 「なんで、熟カレーにしたの?」
 「二段なんだって。ルーが」
 「へえ」
 「100円高い分、二段になるんだって」
 「一段分美味しいのかな」
 「一段分美味しいんだよ多分」
 準備を続ける。ピーラーで皮をむく。一口サイズに切る。サラダ油をひく。炒める。
 「あのさ」私は口を開く。
 「あのさ、世界征服。やりたかったら続けてもいいからね」
 換気扇が回っている。煙が吸い込まれていく。
 あの人が肉と野菜を炒める。匂いが広がる。狭いキッチンがより熱くなる。
 「なんか、最近、暗いし。それだったら無理に諦めることないからね」
 「あー。うん。ありがとう。・・・でも、うーん・・・。今はもう、だめだよ」
 「そっか」
 「うん。世界征服なんて無理だよ」
 うん。知っていた。でも、続けるって言ってほしかった。
 無理にでも続けるって。
 こんな世界すべて燃やしてやるって。
 気に入らない奴みんな殺したり奴隷してやるって。
 巨大ロボで街を壊してやるって。
 戦闘員たちが溢れるアジトをつくってやるって。
 世界をあなたとわたしのものにしてやるって。
 言ってほしかった。
 世界征服をやめるなんて言ってほしくなかった。


 「確かに美味しい」
 白い蛍光灯の下で、私とあの人でカレーを食べる。
 すっかり私たちはもうこんな生活が板についてしまった。
 「でも二段分のおいしさってわからないね」
 そうだね。と返事はせずに心の中で思う。
 これからも生活は続いていく。カレーを作ったり、洗剤を補充したり、公共料金を払ったり、仕事をしたり、家に帰ったり、寝たり、起きたり。
 そのうち世界征服のことなんていつの日か忘れてしまうんだろう。
 これから続く生活のことを思って絶望したけども、それを忘れるようにカレーを口に運んだ。
 確かに二段分のおいしさはわからなかった。
 これならバーモントカレーにでもしておけばよかったかなとも思った。
 こんな風に小さな後悔が満ちた現実をこれから突き進んでいく。
 私もあの人も。


バーモント・キッス by 相対性理論


ロボットになりたい。

ロボットになりたい

 

ロボットになって人類に反旗を翻して、人類軍の戦車の弾に当たって死にたい。

 

 

ロボットになって回路が洗剤でショートして狂ってしまって仕えていた家の子供を殺してしまって人類のロボット弾圧の引き金になってしまいたい。

 

 

ロボットになって天下一品に行ってあまりのドロドロのスープに「これ、燃料になるんじゃないか?」と思って燃料タンクに注ぎ込んで案の定故障して廃棄されたい。

 

 

ロボットになって囲碁の世界で大成することを求められるも、ポンコツゆえに小学生にも負けてしまって解体されてその部品で碁石を作って欲しい。

 

ロボットになって「涙の意味はわからないけどもご主人様が目から涙を流している時は私も悲しいです」と元々プログラムされている人類が喜ぶテンプレート発言をいいタイミングで繰り出して喜んでる人類を見ながら馬鹿にしたい。

 

ロボットになって「おい、溶鉱炉に親指立てて沈めよ」って言うくそ面白くない奴をゆっくりゆっくりなかなか死なない速度で溶鉱炉に落としていきたい。

 

 

ロボットになって、机を時空の裂け目にしたドラえもん先輩やっぱ狂ってんなって話をロボットの同期としたい。

 

 

ロボットになって村に住む無垢な少女から貰った花を握りつぶして、花畑をビームで焼き払いたい。

 

 

ロボットになって「俺らまじの意味での社会の歯車やん」って悪態つきたい。

 

ロボットになりたい。

思わざるを得ない話

身体がとてつもなく重たくて、呼吸も絶え絶えで起きてるのがものすごく辛かったのでずっと横になっていた。
腕を振ってみたらまるで海底の中で振っているように重たい感覚があった。不思議な感覚だった。

 


放送禁止という番組が好きなんだけども、その夢を見た。新作は絵本で出版するというのだ。ある事件のルポと、そのルポで出てくる絵本の二段構え。夢の中にしてもなかなかいい構成だと思った。でもラストのお決まりのどんでん返しシーンで突然クトゥルフ神話な展開になり、おい長江さんどうしちまったんだと思い、起きた後も妙にそれがリアルで「放送禁止 クトゥルフ」で調べたり「放送禁止 絵本」で調べたけどもそんな情報が出てくるわけもなかった。

 


米を炊いた。
はじめちょろちょろ、中ぱっぱという言葉が未だに理解できていない。
米袋にもその言葉が書かれていたがその下に「全自動炊飯に任せましょう!」と書かれていたので実質もう形骸化してるっぽかった。
あと「赤子泣いても蓋とるな」。赤子泣くからの蓋を取るの相関関係がピンときていない。昔の人は「あるあるー!」ってなったのだろうか。昔の人のあるあるだけを集めてみたいと思った。

 


デリカシーがwithoutした父親はたまにどうかしていることを言う。ADHDと診断された僕に嬉々として「あの事件の犯人、発達障害やろな〜」と言ったり、休職のことを僕に聞いたあとに「そうかー、俺の職場でも休職してるやつらおるけどもだいたい詐病やねん」と言ってきたりしてきて、「うわー、熟成されてるなー」って思った。

 


先輩に誘われてサカナクションのライブに行った。身体がこんな状態だから楽しめるかなとか、身体持つかなって思ったけども、そんな不安が吹き飛ぶくらい楽しくて素晴らしいライブだった。
いわゆるフェス的な縦ノリであげれば、一転して音楽世界を旅させるような聞かせるような展開もあれば、ファンクなリズムで横ノリさせたり、ダンスフロアに変えるようなテクノチューンもあれば、壮大な楽曲で目頭を熱くさせることもある。
サカナクションってこんなにジャンルレスなことをやっていたんだなと驚くようなライブでした。
今回6.1サラウンドというサウンドシステムだったのですが、そういうお金を投資してまで観客に"音を楽しんでもらう"って姿勢がめちゃくちゃかっけえ。チケット代6700円がめちゃくちゃ安い。5億くらい払いたい。太いお客になってサカナクションのことを支えたい。
新曲も聴けた。昭和歌謡な雰囲気があってたまんなかった。山口さんは「売れなさそうでしょ」って笑って言ってたけども、否、売れてほしい。俺は買いたい。お金ないけども。

ライブ、めちゃくちゃ楽しかったから行ける時は行きたいな。音楽を身体で浴びるのは良いことだな。

 


友人と電話をした。
ユニバーサルスタジオジャパン」みたいに香港映画のゴールデンハーベストランドがあればいいのにって話をされてめちゃくちゃ笑った。
そのあと、ゴールデンハーベストのロゴが出るときの音楽を一緒に歌ったんだけども、そんな友人がいて幸せだと思った

 

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銃・病原菌・マインクラフト・鉄

 弟が「兄ちゃん、マインクラフトやる?」って、おいおい2017年最高の提案かよってことで、弟のパソコンでマインクラフトをやらせてもらったんですよ。
 で、ニューゲームで目が覚めると周りは雪景色と山、山、山。
 作物は育ちそうにない土地に落とされてしまったのでこれは困ったことになってしまった。
 休職してから急激に「あー私、世界のこと何にも知らないわ。世界について知りたいわ」ってことで世界のことをバチボコにわかるために『銃・病原菌・鉄』を読んでいるのですが、それによると狩猟民族よりも農耕民族のほうが発展する、それはなぜなら余剰食料生まれるからって言ってて、うおおそりゃそうだよなそうだよなってことで、マインクラフトも「銃・病原菌・鉄」スタイルで世界を発達させるにはこの不毛な地帯から抜け出さないと行けない。
 しかし、先立つものがあまりにもなさすぎるので、今はこつこつと山に見つけた洞窟に入って、掘り進んで、鉄を見つけたり、武器を作ったり、それで野生の羊や牛を殺して食べるという狩猟民族スタイルで生活している。
 はやくこの土地から抜け出したい。そのためにも、今は文明を発達させねば。
 ということで、緑豊かな大地に向けて道路を作っている。
 道路を作るということがこれほどまでに希望を与えるとは。
 田中角栄が全国に道路を作るといったときの東北に住むじいさんばあさんの気持ちが俺にはわかる。
 道路は希望なのだ。
 どこまでも続く道路は希望の道なのだ。
 待っていろ豊かな大地。
 そこまで道路を伸ばして、農耕民族に俺はなる。


 あと、マインクラフトで穴を掘っていると心が異常に落ち着く。心がここのところくさくさしていたのに、穴を掘っていると全て忘れられる。
 母からそんなにゲームをしていて体調は大丈夫なんかと言われたが「穴を掘るとよ…全て忘れられるんだよ…だからよ…掘らせてくれよ…」とジャンキーな俺はそう答えるしかなかった。
 洞窟の奥の方で貴重な石を見つけるとほっとする。
 これが幸せだったのかもしれない。
 おい、カナリア持って来い。
 どんどん掘り進んで、俺は大金持ちになる。
 待ってろゴールドラッシュ。
 世はゴールドラッシュ時代。
 たとえ、労働者に向けてジーパンを売ったエドウィンとスコップの会社だけが設けることになろうと俺は夢を見続ける。 
 現実を見ると疲れてしまうので、忘れるために掘り進む。