にゃんこのいけにえ

両目洞窟人間さんが色々と書き殴ってるブログです。

言葉で日常を踊らせて。

 

今週はずっと体調が悪い。ずっとずっと悪くて、ありゃありゃありゃと不眠と過眠と自律神経の乱れと気持ち悪さとからだのだるさとその他諸々が全て襲いかかってきている。
カレーを作っているだけで、僕は疲れ果ててしまって、布団に潜り込んで、寝てしまう。
ずっとずっと寝てしまって1日のうち起きているのが3時間で後はずっと寝ていたとか。
逆に寝れなくて気がついたら1日半起き続けていたとか。
そんな感じの日々でございます。

なので、外にもほとんど出ていない。しんどいので出れない。
家でご飯を食べては寝る生活をしていたら、太ってしまった。余計にしんどい。
病んで、太って、眠ってというメンヘラ三大要素を凄い勢いで駆け抜けていく。みんな俺についてこい。この道の先を見せてやるよ!!

と勢いよく言っても、この先に何があるかわかんないで、皆様(そんな人がいるのか?俺の言っている皆様って一体誰なんだ?)にはきらきら上昇志向な人について行って欲しい。
俺はもうだめだ。と今週は何度もなったりした。
人と喋ってるときはそこそこ元気なのですが、一人でいると辛さがぎゅんぎゅんぎゅーん!と襲いかかってくるこの現状をなんというませふ。
言葉にできないなら言葉にするまでだけども、そんな言葉も思い浮かばないので、私はふらふらふらと言葉を書き綴るのみ。周辺を黒く塗りつぶすような言葉使い。

佐々木中さんの本を読んでいたら、言葉が芸術であり、音楽であり、踊りであると書いてあった。
私はその言葉が好きだ。僕は踊りたいのだ。本当は許されるなら四六時中音楽を爆音で流していたいし、頭も身体も振り続けたい。
でも、まあ、体力がその、無いんだ今は。
というわけで踊れない。ので、今は言葉でダンスをする。
言葉で踊り尽くそうとする。
ダンスミュージックを説明するときに、ここは音楽的にどうだっていうのなんて、そんなのダンスミュージックじゃない。
踊ったことを言葉にしなきゃいけない。
言葉をできる限り踊らせなきゃいけない。
そのためには言葉をしらなきゃいけないくて、それはステップを知るように、身体の動かし方をしるように、気持ちいいベースラインの作り方をしるように、心臓の貫くキックの音を知るように、言葉を知らなきゃいけない。

しんどいので、身体を動かすことがままならない。
でも、それでも、なんとか、僕は、僕にしかできない踊りってやつをやってみたいと思う。
思うのです。
というわけで、今日も明日もなんとか踊る。
布団に寝転びながら踊る。
スマホの液晶を見ながら踊る。
作り置きのカレーを食べながら踊る。
ラジオのラジオショッピングを聞きながら踊る。
50音の殺し方をあれやこれや考えながら踊る。
二種類の抗うつ剤を飲みながら踊る。
友人に会いながら踊る。
喋りながら踊って、踊りながら喋って。
自分の言葉が相手を踊らせれるようになったらいい。
かっこいいテクノミュージシャンがイントロのキック音一つで観客をわかせるような。そんな音を見つけられたらいい。
その日まではとにかく日常を踊り尽くさなきゃいけない。
そんな気持ちを忘れちゃいけない。

 

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50音の殺し方「は行」

50音の殺し方「は行」

 ・・・今日も皆さん来てくれましたね。昨日のことがありましたから、皆さん来てくれるかどうか不安でしたけども。まずは来てくれたことに感謝致します。
 え、「ば行」と「ぱ行」はどうしたって?
 倒しましたよ、もちろん。
 どうやってって、簡単ですよ。
 ほら。
 これ、なんだと思いますか。
 正解です。゛と゜ですね。
 濁音と破裂音の主となるコアの部分はここです。
 ここ、テストに出るので注意しておいてくださいね。
 ここを取れば奴らなんて、簡単に倒せます。
 今の若い子の言葉でいうところの「秒」ってやつです。
 では、残った「はひふへほ」の殺し方を、今日は習っていきましょう。


 「は」は、接続詞であることを利用して、いつも通り単語と単語を接続している間に右部分と左部分をそれぞれロープをつないだフックを引っかけて、ジープで一気にぎゅんっ!って加速したらばらばらになって死ぬ。

 

「ひ」は上から大量の水を流し込んだら、その構造故に中央部に水がどんどんたまっていきそのままおぼれて死ぬ。

 

「ふ」は左右の小さい二つを部分をお菓子でつって誘拐。残った中央の奴に身代金を要求したりするけども、結局殺すという極悪非道なことをすれば悲しみにくれて「ふ」はふでいることに耐えられなくなり死にます。

 

「へ」は適当な公園に置いておいたら、子ども達が滑り台と勘違いして滑り始める。そのうちに滑られることになれていった「へ」は五十音としての自覚をなくして滑り台に変容する。

 

「ほ」は強敵ですね。接続詞のはと、構造は近いですが、「ほ」はそんな隙をみせてくれません。ではどうするか、簡単です。左側を掴んで、そのフックになっている部分で右側をぶっさす。これでなんとかなります。

50音の殺し方「な行」

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では今日もやっていきましょう。にしても昨日から妙に外が騒がしいですね。なにか不穏な空気さえする気があります。でもそれでも勉強を続けましょう。殺さなきゃいけない50音はまだまだありますから。

今日は「な行」です。前半戦もこれで終わりですね。一息つく前に一気に殺し方を学んでしまいましょう。

 

 

「な」は中心にハンドスピナーを置いて回すと四方に散らばって、その後自力で復元不可能になって死ぬ。

 

「に」は、あれ?右側にこがいますね……まさか、双子の弟…。すいません、まだ殺してきれてなかったやつがいたなんて…。もう一度ここでも殺しておきましょう。

 

「ぬ」は操縦桿です。巨大ロボットの操縦桿です。その形ゆえに操縦桿に見えますので巨大ロボットの操縦桿にそっと付け替えておけば、巨大怪獣との戦争に巻き込まれて爆死します。

 

「ね」は玉城ティナみたいな女子からの「なんかさ、スカパー受信できそうだよね。欧州サッカー見たいな」の一言で屋上にアンテナとして放置される運命を受け入れて死ぬ。

 

「の」はさいごの部分をもう少しだけ伸ばして繋げてやると、自分が円環の理に閉じ込められたことを知って、死と生を永久に繰り返し絶望の中、ただの何も考えない生物に成り下がって「の」としては死ぬ。

 

 


「あかさたな」までは殺しつくしましたね、

 ではここからは「は」に行きましょう…どうしましたか?外が騒がしい?なんでしょうか…。
あっ!あれは!!
あれは「ば行」と「ぱ行」です!!
殺されつくしたあかさたなが情報を流したみたいです。まさか、奴らの方から殺しに来るなんて……

…みなさん落ち着いてください。
ここは先生に任せてみんなは逃げてください!

……なに、大丈夫ですよ。
先生は50音の殺し方を知りつくしています。
今更、ぱとば行が増えたからって、なにも痛くありませんよ。
…では、明日もいつも通りここで待っています。
みんなが無事に授業が行えるように、ば行とぱ行の死体を持って、明日は私もここに来ようと思います
では、みなさんは逃げてください!

 

……さあて、ば行、ぱ行……かかってきなさい!!

短編小説『旧地下鉄線路内の水上マーケット』

 元々はここは地下鉄のと呼ばれる場所だったらしい。
 でも、今ではここは水上マーケットになっている。
 地上から降り注ぐ、雨水や雪解け水はこの地下鉄の線路をひたひたにしている。
 そして、ひたひたになり、水路になった線路の上を何百という船が行き来する。
 「安いよー。安いよー」
 「ラーメンどうですかー」
 「アクセサリー。ほら、バイオコードアクセサリーだよー」

 「2148年度のカレンダー売ってますよ〜」
 私たち載せた人工筋肉で出来た船がゆっくりと平泳ぎしながら運んでいく。何千の声がノイズになって耳に飛び込んでいく。川の色は緑色。色とりどりのレインコート。天井からはずっと雨が降り続けている。ひたひたひたひた。ざわざわざわ。

 

 私が蔵くんに今日は休日なので、どっかいく?って聞いたら久しぶりに水上マーケットにでも行ってみようという話になった。
 蔵くん曰く「食べてみたい料理があるのだ」とのこと。「魚が食べたい。本物の」
 それにはそそられなかった。私はあんまり料理には興味が無い。
 蔵くんが嫌がる人工パンも私は大好きだ。
 人工パンに人工イチゴジャム、人工卵の目玉焼きさえあれば、私の休日の朝は完成する。でも、どれも蔵くんはお気に召さない。
 「昔の人は、ちゃんと小麦でできたパンに、自然にできたイチゴ、そして動物から生まれた卵を食べていたんだ」とのこと。
 だから、どうしてもたまには本物の動物が食べたくなるのだと。
 それが人間本来の姿だから、なんてことを人工イチゴジャムをべったり塗った人工パンを食べながら私に提案した。

 

 「あれ。見てみてよ」と白色のレインコートを着た蔵くんが私に話しかけて、指さした先には電話ボックスを船の代わりにした紫色のレインコートを着たスキンヘッドの男がぷかぷか浮かんでいる。

 雨漏りが酷くて、みんなレインコートを着ている。色とりどりのレインコート。今年のはやりの色は黄色。私はもちろん黄色を着ている。木を模したボタンがかわいい。木なんて、生まれてこの方見たこと無いけども、とてもかわいいものだったんだろうな。
 紫のレインコートを着たスキンヘッドの男の手には大きな中華鍋が握られていて、ぱちぱちぱちぱちと音が聞こえてくる。
 「なんか、揚げてる?」と私が
 「あっ!!あれ!」と蔵くんがとても興奮して指さすと、スキンヘッドの男は赤色の小さな魚を中華鍋に投入した。昔あった中華という国で作られた鍋。その鍋はとても大きくて黒くて深々している。
 「金魚をあげてるよ!うわー!すごいな!初めて見たよ!あー!食べたいなー!!」と蔵くんは楽しそうにしている。
 でも、私はそうでもないから、ふーんとから返事をして、流れる川を見ていた。
 等間隔に立ち並ぶ、蛍光灯がみっちり船で詰まった川を照らす。
 濁った水は近づくと変な匂いがする。でも、それ以上にこの水上マーケットの匂いが混ざって、最終的に私の鼻にたどり着く頃にはいつもと同じくオイルの匂いと、人工筋肉の乳酸の匂い。
 船の隙間の川底に片目の無いフランス人形が流れていく。フランス人形だと気がついたのは私が古本を読みあさっていたからだ。昔あった国の一つ。その国の女の子を模した人形は緑色の川を流れていく。ごんごんごんと船と船と船にぶつかる。
 私たちの船にフランス人形が近づいてきたので、私はその人形を掴んだ。穴ぼこになった片目から、緑色の水が流れ出る。その水もオイルの匂いがした。


 「金魚三匹買っていい?」と安物の人工牛の人工右目がじっと虚空を見つめる人工牛革の財布を取り出しながら蔵くんは私に尋ねる。どう言っても、買いたいし、食べたいのだ。
 私は「今日だけだからね」とおきまりのことを言う。
 蔵くんはお礼の言葉もそこそこに、それよりも大きな声で、金魚揚げのスキンヘッドのおじさんに話しかける。
 「三つ!三つね!」

 


 「いいよ、私はいらない」
 とさっきから拒否しているけども、蔵くんは私に食べさせようとしている。嫌じゃ無いけども、食べたいわけでもない。
 「美味しいよ。ああ、いいなー。昔の人たちはこれを簡単に食べれたんだろ。本当うらやましい。いいなー」
 と二つの金魚を食べて満足げな蔵くんをぼんやり見つめながら、人工筋肉に命じて、もう少し先まで進ませる。
 船と船の間をすり抜けながら、私たちの船は進んでいく。
 何でも売っている。この水上マーケットでは何でも売っている。
 売っていないものは自分自身とさえ言われるほど、何でも売っている。
 食器、楽器、武器、兵器、食べ物、乗り物。
 命も奪えるものから、作れる物まで。何でも。かんでも。
 でも、そんな怪しげなものが欲しいわけじゃ無い。蔵くんは人工物じゃないものが食べたいだけで、私は蔵くんの喜んでる顔が見たいのと、なんとなく、来たかっただけだ。


 人工筋肉が進んでいった先に、開けた空間がある。
 滝だ。
 まだ緑になっていない水がじょばじょばじょばあと流れてくる開けた場所。それの水が勢いよく流れている場所に出た。滝になっているからか船も少ない。人工筋肉船は水の勢いに飲み込まれないように器用に身体を動かす。
 その開けた場所は昔は何かの場所だったみたいに整理されている。椅子。タイル張り。装飾。でも今じゃ雪解け水と雨水の滝でその整理されている場所に立ち入ることはできない。
 「多分、ここ、駅だよ。むかしの地下鉄の駅」
 蔵くんがそう話す。何か駅を示すものを見つけたらしいけども、朽ち果てているそれが、私にはどう何がつながるかなんてわからない。
 「へー。じゃあ、ここから生活が始まったんだ」
 「うん。そうだね」
 「ここがなかったら、私たちも今は生きてないのかー」
 「うん。そうだよ。この駅様々だね」
 と私たちは話す。
 水がじょばじょばじょばあと流れ出しているものをよく見ると、階段になっていることに気がつく。ということはあの先には地上があるのかもしれない。
 「久しく、地上出てないねー」
 「前の旧奈良旅行以来行ってないね」
 「今度は新熱海に行こうよ」
 「何があるの」
 「人工温泉と人工女将」
 「だから人工物は嫌いだって」
 蔵くんは人工女将のすごさをしらない。荒れ果てた旧熱海から、自身にプログラミングされていた旅館の切り盛りを必死に守って150年かけて熱海を再建した人工女将のすごさを知らない。
 でも、そのすごさを教えることはしない。
 私たちはお互いのわからないことがあって、わからない好きなものがあって、わからない嫌いなものもあって、とにかくわからないだろうなと思う物がある。
 蔵くんには人工女将が。私には金魚がわからないのだ。


 「あっ」と気がつく。滝の近くで、老人が傘をさしながら古本屋船を開いていることに。人工筋肉に命じて、船を進ませる。
 「あやのさんさ、本買ってあげるよ」と蔵くんは言ってくれる。
 「え、本当」
 「うん、本当」
 じゃあ~と船の上にある本をじっくり眺める。今時、紙の本なんて誰もよまないから本当に安値だ。
 するといい本が見つかる。
 「じゃあこれ」と私は店主の傘をさしている老人に頼む。
 しわくちゃでよれよれでかすれた表紙にはロシアの地下鉄。と書かれた本。
 「なんで、それにしたの」
 「ふふふ、出会いだよ出会い。ここでこの本と、私が出会ったわけだよ」と私は蔵くんに言う。
 「あー、俺の金魚みたいなもんか」と手の袋に入った揚がった金魚を意識しながら蔵くんは言う。
 そう、多分そう。


 私たちは小一時間の水上クルージングを終えて、人工筋肉船を返して、地下27階の我が家まで戻っていく。
 人工パンと、人工イチゴジャムと、人工卵のある家へ。
 私は部屋の隅っこで青白い光の下でロシアの地下鉄を読んで、蔵くんはぼんやり引き込んだ有線ラジオ放送を聞いている。
 その真ん中のテーブルの上に乾かした、片目の無いフランス人形をちょこんと置いて。
 片目が空洞なのがかわいそうだから、ガーゼで眼帯を作ってあげる。
 ロシアの地下鉄の本を読む私と片目の無いフランス人形と有線を聞きながら最後の金魚を食べる蔵くん。
 ただなんかいいなと思う空気が漂って、その空気が残ったまま、休日の日は過ぎていった。 

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50音の殺し方「た行」

50音の殺し方「た行」

 

 50音の殺し方も「た行」まで来ましたね。「た行」は前半部の中では最も複雑で、冷徹で、慈悲を許さず、素早くことを済ませることが必要な行といえるでしょう。

 でも、ここまで付いてこれているあなたたちなら確実に殺(で)きるでしょう。

 それにしても外が少し騒がしいですね。何かあるのでしょうか…。

 

 

50音の殺し方「た行」

 

 「た」は、あー、これはもう死んでいます。これは十字架を背負わされた「こ」です。私たちはすでに死んだ言葉を目にしていたわけですね。

 

「ち」は、お前の形「ソ連の国旗に似てるな」って50年代のアメリカで言えば赤狩りが始まるので、「ち」は国外に追放されてしまい、虚無に襲われる中、その短く激しい人生を閉じることになります

 

「つ」は競馬場の近くに置いておくと、馬の蹄鉄と勘違いされるので、そのまま馬の蹄に取り付けられて1レース終わる頃には命終わってます。

 

「て」も雪山に置いておくとスノボーハーフパイプと勘違いされるので、ハーフパイプとしてその後の生涯を過ごすことになるでしょう。レッドブルを飲んでは滑る若者にその身をスノーボードで削られているうちに「て」としては死にます。

 

「と」は二画目に斜めに刺さっている一画目を力強くぐん!って押すと、そのまま喉仏を突っ切って呼吸困難のうちに死にます。

 

 

 という感じでしょうか。にしても、外が騒がしいですね。少し、用心が必要かもしれませんね…