にゃんこのいけにえ

両目洞窟人間さんが色々と書き殴ってるブログです。

短編小説『The victim』

部屋で私はただただ横になり続けていた。ぼんやりと床を見つめている。ほこりが床の数センチ上で舞う。少しの空気の流れに乗ってほこりがただよう。私がほこりに息を吹きかけてやるとほこりは舞い上がって、窓から差し込む陽の光に照らされて光ったが、陽の光に目を細めた瞬間どこに行ったかわからなくなって、また床を見つめることにした。
腕に埋め込まれているLEDディスプレイは「充電率27%」と青い文字で知らせる。
へそに挿した充電コードを指で弾きながら、こんなことならもっと長い充電コードでも買っておけばよかったと考えていた。
病院から貰った充電コードじゃ短すぎて、充電中は何もできやしない。
私は寝転がりながら、充電が溜まるのを待っている。今、27%ってことはあと3時間くらいかかるな。
あくびをする。今の時間で寝ていようかな。
せっかく三時間あるわけだし、映画でも見ようかな。いや、本でも読んだり、もしくは音楽聞いたり、勉強でもいいな。
やりたいことはやまほどあるけども、充電中はあんまり動かないでくださいねと言われてるのもあって、気持ちと行動の釣り合いが取れない。
そのうち、どうでもよくなって目を瞑った。

 


長い病名を告げられたのは今年の夏のことだった。
「なんか、むかしのスペインの将軍みたいな病名ですね」と私は冗談を言ったけども、医者は真面目な顔を崩さなかった。
風邪だと思っていた症状はあれよあれよとあちこちの科を移動させられた。
そして最終的に名医でございな顔をした医者とその医者がコーディネートしたんだろうなってのがわかる白色で統一した器具が揃っているのに妙にごてごてした印象を受ける大げさな雰囲気の科に回された。
そこで私は自分の病気が風邪ではなく、また別の病気であることを知った。

身体の機能を動かし続けるために毎日充電をし続けなければいけない奇妙な病気は世界中で徐々に広がっていて、テレビのドキュメンタリーでも何度か特集されていた。

そしてその病気にどうやら私はなったみたいだった。

かぶとまちさん、すぐに対処が必要です」と
その日のうちに手術が始まり、麻酔から目が覚めた私は腕にLEDディスプレイがつけられ、へそに充電ポートが加えられていた。

 


「とにかく、かぶとまちさんに覚えていて欲しいのはこれから充電を絶対に忘れないこと。充電さえしておけば、普通の生活は必ず送ることができるから」
いつまで、充電はし続けないといけないんですか?
「それはわからない。ただ、かぶとまちさんの頑張り次第になってきます。一緒に頑張りましょうね」

頑張り続けないといけないんですか?

「ええ。頑張るって言っても充電を切らさないようにするだけですよ。そのほかは今までと同じようにしててください」



先生が言うように私の病気は日常生活に充電が入るだけだ。
家に帰って、寝る前に充電コードをへそに挿して充電しながら寝て、外で充電が切れそうになったらモバイルバッテリーを使用して充電をすればいい。
「要はスマホにやってあげていることを自分の身体にしてあげるだけです」
医者が説明していたように、私はスマホを扱うように自分の身体も扱った。誰も電池が50%以下の状態でスマホを持ち歩きたくないのと同じで、私も電池が50%以下で外に出たくない。

 


充電はうまくいっていた。毎日欠かさず充電をして寝るし、モバイルバッテリーも持ち歩いていた。携帯を持ち歩くようになって充電をすることを日常的に意識するようになったように、私も日常的に自分の身体に充電を行うことを意識するようになっただけだ。

全ては万全だった。ただし充電という意味だけ。

 


その日は全てが上手くいかなかった。なにもかも上手くいかなかった。朝からミスばかりしていたし、その日は消費電力がなぜが多く充電のゲージもみるみる減っていき、私は何度か席を外して充電しなければいけなかった。
「ちょっといい?」と仕事が終わってから私は上司に捕まった。
あなたのことで話があるの、あなたを思ってのことなの。

 


二時間にも及ぶ上司からのお話会から解放された時、LEDディスプレイには25%の数字が光っていた。
これまで通りだったら家に帰るまでは持つはずだった。
でも、その日はどうしようもなかった。

 

"あなたが大変な状況ってはわかってるけども、それに対してあなたは感謝の気持ちって持ってるの?"

"あなたはそういう状況なんだからこそ人一倍頑張らなきゃいけないんじゃないの?"

"このままじゃあなた、本当にダメになるよ"

 

頭の中でリフレインする言葉をかき消すように駅の売店でお酒を買った。なるべく早く消えるようにアルコールの強いやつ。

「あの、この病気は身体の動作とリンクするからね。だからなるべくお酒は飲まないようにしてね」
医者が言っていた言葉が少し頭を漂ったけども、私はお酒を煽った。その瞬間、電車が通過していく。通過する電車の窓ガラスに映る私のLEDディスプレイの数字が24%に減った。

 


最寄りの駅にたどり着いた時には7%になっていた。でももうこのまま0%になってしまったらいいと思っていた。
私が今死んでしまったら、あの人はその後取り除けないような重荷を背負ってくれたりするのだろうか。
もう何を食べても味がしないような人生を送ってくれるのだろうか。
そう思うと死んでしまってもいいと思った。
でも、道を歩いていると途端に地面が沼に変わってしまったような気になった。
足は重たくて、視界は平行を保てない。
腕の数字は5%を切っていた。
LEDディスプレイから金切り音のような警報が聞こえ省電力モードに切り替えますと表示が出る。
その瞬間、視界がモノクロに変わる。
音も遠のく。私の鼓動だけが大きく聞こえた。
足が思うように動かなくなって、その場にへたり込んだ。
私は鞄の中から、モバイルバッテリーを出そうとする。
でも、突然面倒になって私は探すのをやめる。そして、うなだれる。
音も色もない世界なので少し心地がいい。

 


目が醒めると病院で、あまりのありふれた状況に泣きそうになってしまう。
名医は私に言う
「道端で倒れていたのを助けてもらったんですよ」
「充電が切れると本当死んでしまいますから、本当注意してくださいね」
「もっと自分を大事にして。ね、死んじゃだめですよ」
はい、わかりました。と言って病院を追い出される。
私が眠っている間にLEDディスプレイ関係がアップデートされていて、緊急通報モードが入っていることを知らされる。今まで入ってなかったのかよと思うけども、なにせあちら側もさぐりさぐりみたいだった。
でも私は使わないだろうなと思う。

 


会社から「数日間、休むように」と連絡があった私は床に寝転んでいる。
目を覚ましたとき、LEDディスプレイの表示は57%に変わっている。
喉が妙に乾くので水を飲もうと思い、動こうとするが充電ケーブルが短くて動けない。
だから、充電ケーブルを抜いて、水を飲みに行った。
水を飲みながら、ぼんやりしていた。
LEDディスプレイの表示は56%に切り替わっている。さっきの57%は低い方の57%だったか。呆れた気分が胸に広がる。
部屋に戻った私は充電ケーブルをへそに挿そうとするが、寸前でやめる。
その充電ケーブルを放り投げて、それから床に横になる。
ただ眠るだけ。刺さなくても死にはしないよ。
そう思ってるどこかで、このまま死んでしまってもいいのかと思っている。
でも、それはやっぱり嫌だとどこかで思いながらも、私は充電ケーブルを挿し直すことなくまた目を瞑った。

そうしてすぐに眠りに落ちた。

 

 

音が次第に遠くなっていく。

でも、それが夢のことなのか現実のことなのかわからない。

同じリズムで刻む心拍音が徐々に大きく聞こえ、その音に耳を傾ける。

その音が心地よくて、私は目を開けようとはしない。

 

 

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27歳男性は不安定。

 今日はメンタルクリニックに行く予定だったんだけども、あまりにしんどくて動けなくてキャンセルしてしまった。薬が切れてしまっているので不安。

 

 あまりにしんどくて動けなくてキャンセルしてしまったを「あまりにしんどくてうごけなくてキャンセルしてしまった!」とエクスクラメーションマークをつけるとなんか初期ナンバーガールっぽくないですか?透明少女のイントロ聴こえてきませんか。きませんか、そうですか。

 

 

 あまりにもしんどすぎたので出前を頼んだ。最近の出前ってAmazonのアカウントで支払いが出来るんですね。驚いちゃったよ。

 バーミヤンで出前を頼んでパクパク食べた。

 メンタルがヘラってる割に食欲はあるのでどんどんぷくぷく太っていく。

 食べれるだけましなのか、それとも何食べたんだてめえって話なのか、わかんないけども。

 

 

 徐々に不安に取り込まれていって、気がついたらお酒を買いにコンビニへ行っていた。散々節約しようって言っていたのにお酒を二本とつまみをアホみたいに買って1300円。

 店を出てすぐに酎ハイを飲み始めて、家に帰って山ほどのつまみを食べ始める。 

 アルコール度数9%の酎ハイにも手を出して、ロング缶の半分くらいを飲んだあたりで、吐き気が止まんなくなった。

 「もう!無理!!無理!!!無理!!!」と叫んで「ああああ!」とか近所迷惑な音量で叫び続けた。バカだと思った。

 

 

 不安に取り込まれた時はどうしたらいいんだろうか。アイアンマン3だったならば、何かを作って逃げていたけども。

何か手を動かすべきなんだろうな。

追いかけて来る不安があまりに大きくてそれに取り込まれたら何もかもが虚しく思える。それに立ち向かうべきなんだろうけども、そんな元気も湧きやしない。

 

 

とにかく今日は元気があるならば掃除と洗濯をして人間性を回復しようと思った。

 それしか自分をひとまず保てる方法がない。

 

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カレーとびわ湖わんわん王国とジ・アート・オブ・シンゴジラ

 冷蔵庫を開けると、じゃがいもにんじんたまねぎ、そしてすき焼きのたれがあったので、豚肉を買ってきて肉じゃがを作ってみたら全然美味しくなかったからびっくりした。

 肉じゃがなんて誰が作っても美味しくなるもんだなんて思っていたけども、どうやらそうではないみたいで、肉じゃがを舐めていたことをまじ反省。

 しぶしぶ残ったものを食べていたんだけども、美味しい肉じゃがができる前提でたくさん作りすぎたのでバブル崩壊後の不良債権のように鍋に沈殿する美味しくない肉じゃが。

 ひたすらに虚しくなっていたら肉じゃがのリメイクとしてカレーにすればいいという情報を得たので、カレーを買って投入したらさっきまでの不良債権が嘘のように美味しく出来上がってペロリと食べてしまった。

 カレーは凄い。無から有を生み出すことができる。

 

 

 今日はまたもやしんどい方で一日中苦しい苦しい〜言うてのたうち回ってたんだけども、そんな中ぼんやり見ていたTwitterで凄いものを見てしまった。

https://youtu.be/lwDJgl-D4Vg

 

CASIOトルコ温泉という方の『びわ湖わんわん王国』という曲。

やべえやつらがやべえ曲やってるって感じで最高。

何より好きなのは「犬が犬を愛でる永久機関」というフレーズ。こんな切れ味のあるフレーズ、何を食ったら生み出せるんだ。

 

 

 

昨日の放送から一晩経ってもまだ熱が冷めやらぬので前に買っていた『ジ・アート・オブ・シンゴジラ』をぱらぱらとめくっていたら、庵野監督がこの作品を作るに当たって1年半は勉強をしまくってそのおかげで想像力が広がったとも言っていた。

 この本には最初期のプロットも入ってるんだけども、そのプロットの悪い意味でのアニメっぽさなんて本当見てられないほどなんだけども、それから1年半で今私らが触れている作品の原型が出来上がったと思うと、めちゃくちゃインプットの大事さを思い知る。

アホみたいな行動力でアホみたいにいろんなことを知って、アホみたいに何かを作ってみたい。

 

 

 

 晩御飯を作る元気がなかったので、ミートソースを温めてご飯にかけて食べた。

 明日はちゃんとご飯を作ろうと思った。

 

 

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魚の骨を取り除くのが上手な尾頭さん

地上波でシンゴジラがやっていたので見ていたら、市川実日子演じる尾頭さんの学生時代が気になってきて映画どころじゃなくなってしまった。

 

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大学生の頃の尾頭さんは一体どんな人だったのだろうか。残念ながら映画本編にはそんなシーンは一切ない。

しかし、我々には想像力がある。

つまり尾頭さんの学生時代を想像できる。

なので私は想像してみた。その結果が以下の文になる。

 

 

研究のため1万円近くする学術書を何の躊躇もなく買ってしまった結果、生活費がなくなってしまったのでもやしだけで1週間生活していたことがあるが、そんな食生活にも関わらず本人は至って平然としていたので周りが逆に慌ててしまった尾頭さん。

 

 

焼いた食パンの面積に対してあまりに小さい量のジャムでも全然大丈夫な尾頭さん。

 

 

学生時代はアパートの大家さんに譲って貰った馬鹿でかい変速がついているおんぼろ自転車に乗ってあちこちフィールドワークに出かけていたせいでちょっとした体育会系よりも体力が実はある尾頭さん。

 

 

夏でも熱いお茶を飲む尾頭さん。

 

 

部屋着が高校時代のジャージの尾頭さん。

 

 

好きなおにぎりの具を聞かれて「塩おにぎりです」と答える尾頭さん。

 

 

生まれてこの方じゃんけんで負けたことがない尾頭さん。

 

 

好きな映画は子供の時に町内上映会で見た唯一の映画であるE.T.の尾頭さん。

 

 

ペットを飼ったことは無いが、家の近くにいる猫に餌付けをしている姿が目撃された尾頭さん。

 

 

引っ越しするときに自分で軽トラを借りて引っ越しをした尾頭さん。家具は後輩に手伝ってもらって詰め込んだが、後にその後輩は「あんなに家具が少ないとは思わなかった」と供述される尾頭さん。

 

 

考え事をしていたら三駅歩いていた尾頭さん。

 

 

冬は効率を考えて一人で鍋をする尾頭さん。思ったよりも食べきれない尾頭さん。

 

 

フィールドワーク先でご当地マグネットを買う尾頭さん。

 

 

生態系の調査のために行ったフィールドワーク先でラフティングをすることになったが、ずっとほぼ無表情で川を下る学生時代の尾頭さん。さぞかしお気に召してなかったのかなと思いきや「とても楽しかったです」と無表情で語る尾頭さん。

 

 

昼食は自分で持ってきたお弁当だけども、立て込んでいる時は学食の200円のうどんを凄い早さで食べる尾頭さん。

 

 

近道が得意な尾頭さん。

 

 

電車に乗ると眠たくなってしまう尾頭さん。

 

 

 

正直なことを書くと尾頭さんの学生時代のことを考えていたら「これはほんとうに尾頭さんにあったことなのか?俺の妄想を押し付けているだけなんじゃ無いか?」と思い始めた。いや、ほんとうにそうなんだけども。ほんとうにそうなんだけど、うん。

 

 

話は変わりますが改めて市川実日子さんのファンとしては尾頭さんブームとても嬉しかったなと思いました。だってみんながみんな市川実日子さんの話をしているんですよ!こんな日が来るなんて!

そう思っていたら来年のドラマ「アンナチュラル」のTwitterアカウントにこんな写真が掲載されていた。

 

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市川実日子さんを世界遺産に認定してほしいと強く思った。



 

 

ロロの『父母姉僕弟君』の感想は書けなかった

 ロロの『父母姉僕弟君』を見たらものすごく良かった、ものすごく良かった、死ぬほど良かった、うわうわまじで、超まじで、あ、この感覚はこの世に残しておかなきゃと思い立って感想を書き始めるも、全くまとまらず、既に3000字ほどの塊が2つ転がっている。うぎゃあ。

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 そもそも舞台自体がまとまったものではないのに、なぜ私の感想はまとめなきゃいけないんだとぷんすかしてみるが、そうなると怒りの表現で"ぷんすか"ってなんすかって、ぷんぷん怒ってるってどういうことなんですかって思考が飛んでいく。

 多分、ぷんぷん怒るのぷんぷんって怒りで呼吸が絶え絶えになってるあれの時、あのヤクザが息を整えながら仇を撃ち殺す時のあの呼吸音がぷんぷんなんでしょ。ぷん、ぷんなんて書くからダメなんだ。本当は「ぴゅ、ぅぅ、ぴゅ、ぅうう」みたいな音なのに、デフォルメしちゃって、もう。

  ではぷんぷん怒るってことの謎が解決したので、ここらでロンググッドバイ決めるかと思って、場末のバーで濃いめのバヤリースオレンジでも貰おうかなったら、よくよく考えたらロロの感想が書けないって話でございましたね。

 ロロの作品を見た後はいつもこうで、感想を書いてなんとかこの気持ちを世の中には伝えたいと思うんだけども、その感想を生む事ができない。

 言葉に表す事ができなくなってしまって、面白くない冗談を言っては廃墟になったおもちゃ屋の潰れた棚に置かれたファービーみたいな笑い方しかできなくなる。

  この作品も、例によってボロボロになるまで泣いてしまったのですが、最前列に座っていたのに鼻水を垂らす勢いで泣いてしまって、こんな客がいるまえで世界観を作り込む役者ってすごいなと思って、鼻水を垂らして泣いている私なんぞは耳鼻科の吸引機に入ってるあのガスがサリンに代わってしまえばいいんだと凹んでしまう。サティアンに行くときはカナリアを忘れずに。帰るまでがオウム真理教です。

 

 ロロの感想ですよ。そんな冗談はええのですよ。

 思い返してもなんで泣いてしまったかわからないシーンがいくつかあって、ずっとなんで泣いていたかを考えてたのですが、大卒の私はわかってしまいましたよ。めちゃくちゃロジック立てて説明できますからね。

 多分ね、ロロの皆さん、魔法使ってますね。

 俺それで泣いたと思うんです。じゃないとウィーアーザワールドが流れる中、泣くってことがないでしょ。アフリカの子供でも笑って聞いてたウィーアーザワールドで泣くなんてありえないでしょ。

 なのでロロの皆さん、絶対に魔法使ってる。それだけは断言する。大卒だから。

 

 色や匂いや体温を忘れないように、10くらいしかない語彙力で描写する。ってセリフがあって俺はそれをボロボロ泣きながら聴いてたわけだけど、それを実行しようと思って全てを忘れないように忘れないように感想を書いていたら、冒頭5分に行くまでに3000字を超えて、しかも時系列もあちらこちらに飛んでロロの感想に俺の人生が差し込まれるはちゃめちゃエモーショナルな構成になってたんだけども、そこまで書いて俺の頭の中のヤナギブソンが「誰が興味あんねん!」って叫んだので没シュート。てれてれてーん!!と世界不思議発見が鳴り響いたところで俺の最近思ってることなんですがトットてれびの後にトットちゃん!を作ろうって言い出したやつ、絶対サイコパスでしょ。倉本聰の後枠でプレッシャー大きすぎて、巨大なやつしか扱えなかったとはいえ、サイコパスでしょ。

 

まあ見てないのに文句を言うという21世紀消費者のあるべき姿を体現して、このままでは死後ろくな扱いにならないと思いつつ、それでもロロの感想を残したい。

 

 あまりにも全てが全てが全てが好みだった場合、全ての愛を書き連ねて行くとそこには形骸化した言葉しか残ってないことが多く、そうしているうちに自分の中にあった感情も色褪せてしまった気がした悲しくなってしまう。

 なので今回はこんな風な感想にしている。これを感想って言いながら自己表現をしているくそやろうと思われたら申し訳ない。でも、今回はこれしかできない。

 今日はずっと一日疲れて横になりながら「さー、ロロの感想をなんとか書くぞー書くぞー」と意気込み、今、深夜四時というか朝だ。

 吐瀉物以下かよと自分にダメージを負わせながらも、こんな私の過去と現在と未来に思いをはさてみる。

 過去に比べて今は…とか、今の自分に比べて昔は…とかとかく言いがちだけども、そうじゃないんだってことを『父母姉僕弟君』が教えてくれた。

 過去も現在も未来もただあるがままに存在していて、そこにあった愛も楽しいことも幸せも残り続けるんだということ。

 

 

 先日7年ぶりに友人と遊んだのですが、そのブランクが無くてまるで3日前にも遊んでいたみたいな空気になったんですが、多分それはその7年前の楽しかった過去がそのままずっと残っていたんだと思う。

 そしてその日また凄く楽しくて、その瞬間もまたあっという間に過去になってしまったけども、それも残り続ける。

 この間、大学の時の友人と遊んだ時の楽しい時間もその場に残り続けているだろうし、社会人になって、他社の忘年会でがんばった結果女の子にハグしてもらって「うわ!幸せだ!」って思った瞬間の幸せな感情もそのまま残っているはず。

 でも怖いけど忘れてしまう。大事なことも忘れてしまう。だからこそ、くだらないことでもいいから覚えていたくて、描写をする。

 くだらない冗談でもいいから描写をする。残して行く。

 

 

この間地元に帰ったら雑貨屋が潰れていた。

その雑貨屋はポケットピカチュウがめちゃくちゃ流行った時にプレミア価格ってことで1万円近くの値段で売りつけようとしてきた。くそやばだった。

 そんな雑貨屋は潰れてデイサービスセンターになっていた。でもその近くにあった中学の友人のケーキ屋はまだ残っていた。

 その友人は元気でやっているだろうか。多分、休職27歳男性よりは大抵のthe peopleは元気なんだろうと思うけども、それでも気になってしまう。

 

 

 小学校の時の同級生が結婚したらしい。

 高校の友人はこの間結婚した。部活のバンドのメンバーで子供を見に行ったらしたそうだ。

 みんな、どこかで知らない誰かと出会ったりしている。

 私はこれまで出会ってきた人たちがみんな幸せになっていたらいいなと本気で思っている。って書くとサイコパス感あるな。嘘です。

 

でも、出来れば幸せな話とか聞きたい。

 どういう人に出会ったとか、どういう人生を歩んでるとか、そっちはどうだいうまくいってる?とかこっちはこうさどうにもならんよとか。

 たまに今まで出会った人が全員同じ場所にいって、その人たちに手を振って「ばいばーい!」と言えたらなと思うことがある。

 そういう風に一区切りをつけて別れて、また次の日からを生きていけたらと思う。

そんな風にちゃんと一度別れを言えてたらなと、なんか、さよならも言えないよじゃなくてさよなら言ってなかったよってことがあまりに多いぞ。

 

 

 だから、とにかく僕はこれからの人生でなにかを感じたらそれを書かなきゃいけなくて、それを言葉にしなきゃいけなくて、それを伝えなきゃいけなくて。そうすれば残るかもしれなくて、いくら10しか語彙力がなくても、色を音を体温を感覚を感情を残さなきゃいけない。

 

 

 主人公キッドを演じた亀島一徳さんの佇まいの良さ。表情から発声までめちゃくちゃにかっこいいんだ。前見たいつ高ではただの高校生にしか見えなかったのに、役者ってすごいね。

 島田桃子さん演じる天球!すぐ死んでしまって、あとは天使になってふらふらしていて、意外とすぐに怒りっぽくて、透明感があって唯一無二な雰囲気。もう島田桃子さんがはまり役で役者さんってすごいね。 

 基本ロロメンバーは最高というか、役者さんは全員最高で、望月綾乃さんの一人二役のシーンのうまさとかめちゃくちゃ笑ったし、篠崎大吾さんのえせ大阪弁ツッコミを繰り返しているうちに気がついたら俺が泣いていたシーンとか最高だったし、森本華さんの芸達者ぶりとか、多賀麻美さんの朝ドラに出て欲しい陽性っぷりとか北村恵さんのいい感じの癖の強さとか、その他猫になった人とか、弟とか、ボールを待ちすぎたとか最高最高最高。

 みんなで集まって曽我部恵一書き下ろしの音楽を奏でるシーンでは涙が溢れて仕方なかった。

 あんな風にバラバラの生き方、バラバラの性格、バラバラの人間たちが一緒に一つの音楽を奏でる瞬間がこの世界にはあるのだ!わー!!

 そんな瞬間は数多くないけども、でもその瞬間はたしかにあって、そしてその瞬間に起こったことは確実に捉えないといけなくて、捉えることが出来たら、それはハイパーロマンチックタイムなんじゃないだろうか。

 

 

 そんなハイパーロマンチックタイムを捉えれるように。

 その後にもう二度と再会できないかもしれないけども、そのハイパーロマンチックタイムな過去はずっとずっと残り続ける。それはまた現在にも未来にも波状のように影響を与え続けるから。だから幸せになることを諦めてはいけない。人と触れ合うことを諦めてはいけない。忘れてしまうことを諦めてはいけない。好きになることを諦めてはいけない。歩み続けることを諦めてはいけない。旅を続けることを諦めてはいけない。

 

 

 「いまここにはあらゆる挨拶があるからさ、だから、全部言わなくちゃいけないね。 おはよう こんにちは おやすみ あいらーびゅー はうあーゆー はじめまして ひさしぶり またね ばいばい」

 

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