にゃんこのいけにえ

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腹をくくれ、もう君はネオ昭和から逃げれない!!!/ゲーム『ふりかけ☆スペイシー』を遊んだ!

ゲーム『ふりかけ☆スペイシー』を遊びました!

たまに「これはどう考えても、自分が大好きなやつだ」という作品に出会うことがあります。
予告編や写真やキャッチコピーを見て「ああ、もうどう考えても、絶対に好きなやつだ」と確信して、実際に見たり触ったりして「大好きすぎる!!」と叫んでるような作品。
『ふりかけ☆スペイシー』は発売の半年前に知人からその存在を教えて貰いました。
その衝撃というか一見して「あ、これは絶対に好きなやつですわ」となり、初めてsteamのウィッシュリストを使い、発売をぼんやりと待っておりました。
そして遂に発売となり、発売週に買い、遊び初めて10分で「これはもう大好きというか、大好きが詰まっている!」と大興奮し、その興奮はクリアするまでの少し長い時間、ずっと続くのでした。


『ふりかけ☆スペイシー』はよんとんトマチン制作によるいわゆるノベルゲームです。
画面をクリックして、テキストを読み進めていくタイプのゲームで、途中、いくつかミニゲームはあれど、基本的に分岐などは無い一本道になっています。
そう、ただ読み進めていくだけ。
そうなるとテキストの面白さがめちゃくちゃ大事になるのですが、安心してください、テキスト超面白いです。
ブリ耳を頭に付けて、ゴス服に身を包んだ二浪の女子"さぁたん"が故郷のシャドウガ島(金山とトキが有名)を歩いていたら、突然穴に落ちてしまい、気がつけば、噴水からどっぱーん。
案の定、異世界転生。ただ、ファンタジー世界ではなく、ネオ昭和だったのです。
ネオ昭和?
ネオ昭和とは・・・となりますが、劇中での説明によると「元号」ではなく「そういうムード」だそうです。
ますます謎は深まりますが、そこで躓いているやつは置いていくぜと言わんばかりに、海外のロックマンのパッケージに出てくるような警察官がやってきたり、手塚治虫な絵柄になったり、さぁたんが突然空飛ぶスクーターに轢かれたり、かと思えば、女子高生かがみにエリマキトカゲと宇宙人がいるトカゲ小屋に保護して貰ったり、そう思ったら大量のアルコールランプが引火して爆発したり・・・
と書いていて、何がなんだかですが、これがまだ第一章の中盤に入る前くらいなのだから驚く。
とにかく高密度でハイテンポで縦横無尽な物語が展開されていくのだ。
高密度ハイテンポ物語に耐えられそうにない?
腹をくくれ…!

物語は章立てで区切られていて、それぞれの章で恐竜とラップバトルをし、地獄に落ちてバズる動画を作ろうとしたり、体内に入って左翼のウーパールーパーと戦ったり、宇宙テニスをしたりします。
はぁ???って感じなのですが、本当にそうなのだから仕方ない。
その上、数クリックごとにボケやパロディネタがぶち込まれる。
開発者曰く、パロディネタはあまりに多いので数えるのをやめてしまったそうですけども、それでも400強はあるとのこと。
多すぎるよ!
それが数クリックごとに出てくるのだから、脳が凄い勢いで熱くなっていくのを感じます。人間の情報処理能力に挑むかのようなゲーム。誰もネオ昭和から逃れられない!腹をくくれ・・・!!
パロディネタも「ふふふ」と笑える物から「やべえよ・・・やべえよ・・・」とビビるものまで。とりあえず中抜き6割してくる「おでん通」という単語に笑ってしまったあなたは買う価値があるし、本気で怒っちゃう人には向いてないってことだけは伝えたい。
ここまで制作者の頭の中を見たい作品もなかなか無いというか、よくぞここまでネタを詰め込めたなと思うし、もう制作者出がらしになってるだろうと思う。
人生で得てきた全てのいらない知識を詰め込んだようなゲーム。
このゲームは幾度か発売延期がされたそうですが、それも納得するほどの高密度。それと同時に結構細やかな部分まで気が配ってある。
キャラクターは結構細かく表情が変わり、いちいち動いたり、効果音がつく。
その上、随所で一枚絵も出てきたり、その上、アニメーションやら実写やらも出てくる。
多種多様な表現方法が出てくるという意味では『スパイダーマン:スパイダーバース』や『ぼっち・ざ・ろっく!』を思い出す。
問題はその表現が幾分か乱暴なことで・・・・・・。ひやひやするパロディネタに笑って良いのかどうかわからなくなる瞬間も多々あるぞ!



ただパロディだけのゲームではなく、個性豊かなキャラクター同士の掛け合いがちゃんと面白い。だから全然パロディネタがわからなくても充分楽しめると思う。
ハイテンポで、ゴスロリ二浪女と異常女子高生とエリマキトカゲと性悪お嬢様と宇宙人と地獄の娘と右翼女子の会話が繰り広げられるのだ!その他、やばすぎるキャラクターがつぎつぎ出てくるぞ!会話を読んでるだけで脳が疲れてくるぞ!


でも、私はこのゲームをやりながら、あまりの自由奔放な物語と掛け合いに超悔しくなったのも事実。なんて面白いんだ~うお~ってなったものね。
私はこういう話が書きたいんだ~うお~って何度も思ったもの。
逆に言えば物語ってこんなことしていいんだ!って喜びが沢山ある。
どこまでもめちゃくちゃで、どこまでも高密度で、どこまでも飛ばすことができるんだ!って感動がありました。(ただ感動するようなゲームじゃ一切ないことも書いとくね。泣けるシーンは皆無だ!熱いシーンはちょっとだけある!)


中東的な響きを持つ耳に残るオープニング曲や、アイドルをプロデュースするゲームで聞いたことがあるようなメロディを持つBGMや、スラップベースが際立ちまくりな戦闘中の曲など、音楽はめっちゃいいです。
近いうちにサウンドトラックも出るそうなので楽しみ。
私はオープニング曲が好きで、それを聞くためだけにオープニングをひたすら見たりしています。
ちなみにオープニングは何故か実写で、あちこちの風景に紙人形のキャラクターがいるというものになっていて「なぜ実写・・・・・・?」「もしかしてこのゲームの起動が重たいのはこのせいか・・・・・・?」と想像させてきます。
エンディング曲も最高だよ。令和にその音楽ジャンル!?と驚いてしまいました。まさにネオ昭和!誰もネオ昭和から逃れられない!腹をくくれ!!



あまりのパロディネタの多さだったり、5~6章で扱っている人物(ほぼ日刊で活動している丁寧な言葉使いを仕事にしている人)への言及が結構ヤバかったりと、そんなこんなでswitch等に移植されない気配はめっちゃあるけども、私が使っている激弱なノートPCでも平気で動いたくらいなので、PCを持っている人はぜひsteamにて購入して頂きたい。
値段も1500円とお安い。正直、この密度の作品で1500円はめっちゃ安い。

ゲーム的には無意味かつ、激やばなネタが次々と出てくる「占いモード」だったり、いわゆるtipsかつ用語解説だけどもそれにしても量はあるしそこでもボケやネタをぶっ込んでくる「ネオ昭和用語辞典」や第4章で出てくる「宇宙テニス」の正体(令和にこのゲームを真正面でやらせるゲームがどこにある!)などどこを切り取っても超濃厚な『ふりかけ☆スペイシー』。
けども、一度プレイしてしまえば、ネオ昭和からは逃れられないのです。
好き嫌いは別として、ネオ昭和からは誰も逃れられない!
腹をくくれ・・・!

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