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何度も「ふわ~お!!」って声をあげる映画!/『マジック・マイク ラストダンス』を見た!

マジック・マイク ラストダンス』(2023)を見た!スティーブン・ソダーバーグ監督作。チャニング・テイタム主演。

スティーブン・ソダーバーグ監督による『マジック・マイク』(2012)、グレゴリー・ジェイコブス監督による『マジック・マイクXXL』(2015)、それから8年後の新作、スティーブン・ソダーバーグ監督シリーズ復帰作がこの『マジック・マイク ラストダンス』です。(スティーブン・ソダーバーグは『マジック・マイク XXL』では助監督と撮影監督、そして編集に回っている。このあたりの話はアフター6ジャンクションでのスティーブン・ソダーバーグインタビューが詳しい)

マジック・マイク』シリーズはマイクという天才的なパフォーマンス能力を持つ男性ストリッパーの物語。
『1』では主演のチャニング・テイタムの実体験を元にした、ストリッパーとして頂点を迎えていた男がやがて失っていくまでの切ない物語であり、『XXL』では一度男性ストリッパーの世界から足を洗っていた男たちがもう一度打ち上げ花火を上げに行くストレートにアガる物語でした。
私は『1』を未見の状態で『XXL』を公開当時映画館で見て、あまりの熱量とダンスに超興奮したことを覚えております。
見終わって友達と思わずビールで乾杯なんてこともしてしまいました。
さてシリーズ三作目にしてラストダンスと銘打っている以上、多分最終作であるこの『マジック・マイク ラストダンス』はどのような話だったのでしょう。


『XXL』でも語られていたようにマイクは男性ストリッパーから足を洗って小さな家具屋を営んでいたのですが、それがこのコロナ禍で閉店を余儀なくされてしまいます。そして今はバーテンの仕事をして日々の生計を立てていたところ、たまたま仕事で行ったパーティ主催者であり資産家のマックス(サルマ・ハエック)に以前男性ストリッパーであったことがバレてしまいます。そして言うのです。「踊ってみてくれない?」と。
最初は渋々でしたが、踊るとなるとまさにマジック・マイク。あれよあれよのダンスにマックスも観客を「ふわ~お」と夢見心地。
そして一夜を共にし、そのベッドの中でマックスはマイクに「ロンドンに行かへん。あんたの才能を活かしたいんやけど」と言うのです。
「え~わし、バーテンの仕事あるんやけど……」と渋っていたマイクでしたが、結局ロンドンへ。
マックスは自身が所有する劇場でストリップショーを開くこと、その演出としてマイクが選ばれたことを言うのです。
「わし、演出なんてやったことないで」といいつつ、ダンサーを集め、慣れないながらもショーを作り上げていくマイクとマックス。
しかし、様々な困難がマイクとマックスを襲うのでした。
そしてマイクとマックスにも恋心が……。

とまあ、関西弁であらすじを書いてしまいましたが、なんていうか関西弁が似合う話というか、以外と「浪花節」じゃないか!と思ったりしたのでした。
クールな印象のあるスティーブン・ソダーバーグ監督の映画なのに「浪花節」とはこれいかに。
やはり浪花節が印象に残ったのは中心にあるのがマイクとマックスの恋愛だったからかもしれません。

舞台制作でトラブルが起きるといっても、よくあるメンバー同士のトラブルは一切ない。
制作についてマイクとマックスが揉めることはあっても、そこはあまり大きくありません。
むしろ、トラブルというのはマックスの元旦那があれこれ言ってきたり、行政的にトラブルがあったり、外部からです。
なので舞台を作る上での人間関係的な揉め事がほぼ無いので、ある意味では見やすい。
行政的なトラブルがメインって映画、そんなに無い気がする。
でも、行政的なトラブルはうるさくと、せっかく作り上げたショーも上演できない可能性が!
凹むマックス。それでもショーをやり遂げようとするマイクとメンバー達。
ショーは成功するのか!怒涛のクライマックス30分が君を待っている!!


クライマックス30分はもう圧巻も圧巻!
くそみたいな男二人からしか選べないって最悪じゃない!「ユニユニユニコーン!」と叫んで、魔法のマイク(マジック・マイク!!)でユニコーンに語りかけてから始まる怒涛のダンスと怒涛のエンパワメントに大興奮!
何度も「ふわ~お!!」って声をあげてしまいました。
この部分は実際に世界各国で上演された『マジック・マイク ライブ』が元になっているそう。というか、今作の成り立ちとして『マジック・マイク ライブ』に感動したスティーブン・ソダーバーグ監督が当時進行していたブロードウェイ版『マジック・マイク』の企画をやめて『ライブ』を取り込んだ三作目を作るってことにしたそうです。
というわけでラスト30分は『マジック・マイク ライブ』の凝縮版。
あまりの人体の動きに目がついていかねえ!けども高揚感はやべえ!感謝~!感謝~!ととにかくぶち上がりまくりでした。


でも何よりも今作のクライマックスはマイクのダンスでしょう。
舞台上に大量の雨を降らせてのダンス。
そこに編集で被さるマックスとの思い出。
そのダンスこそ、マックスのためのダンスであり『マジック・マイク』シリーズを通しても観客席にいるたった1人のために踊られるダンスなのです。
「あの日、ほんまはお前を抱き締めたかったんや!!!!」とKIMOCHIが詰まったダンス、そしてここまで辿ってきた道のりを遡るその編集は圧巻で心の中で一ドル札ばら撒きまくり!!
柄にもなく「人を愛するっていいものね……」と強く思ったりしたのでした。


しかしシリーズファン的に言えば一番アガるであろう楽曲「PONY」を使ったシーンをさらりと流す部分はびっくりしたり。
もっとアガるやん!と思うけども、このさらりと具合がソダーバーグ監督なのかなと思ったりする。
というかその直前の雨の中のマイクのダンスシーンが異例と言えるほど熱いシーンだったのかなあ。
それほど雨の中のダンス、その編集はとてもエモーショナルでした。
あとあの行政のおばあちゃんを結局懐柔したのがよくわからなかった。読解力不足だと思いますが、同時にあのバスのシーンもっとアガりそうでアガらなかったな…と不満もあったり。
キャラクターで言えばマックスの養子の娘が良かったですね。
ショーを見に来て大丈夫か!と思っていたら、執事が目を隠したりして、でも足でビートを刻んだりして、いいなーと思ったりしました。




全体的に『マジック・マイク ラストダンス』とても好きな映画でした。
『1』には切なさ、『XXL』には終わった花火をもう一度上げにいく熱さがありましたが『ラストダンス』には渋みがあるなあと思いました。
渋みを感じた理由としてはメンバーと共に作り上げるステージのアゲ感よりもマイクとマックスの不器用な恋愛という部分が濃かったからだと思います。
ダンスというものが、人の心と心を結びつける。
それは劇中でも語られますが、強く信じていないと描けないようなクライマックスに確かに私は浪花節を感じ、渋みを感じたりしたのでした。


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