劉慈欣の『三体』を読みました。
「とにかく面白い本がある」という前提知識だけしか持たず、あらすじも知らずに読んだので「えっ!こんな話だったのか!!」と、とにかく嬉しい驚きが何度もやってくる小説でした。
物語はあの文化大革命から始まって、そこのパートは陰惨極まりなく、本当にSF小説なのか…?と疑問に思うほど。
しかし、読み終わるとここが起点であったことを理解するというか、ここが起点でなければいけないと思う。
その章が終わってからは、エンタメの殴打が始まる。
なんて言ったって、エンタメが盛りだくさん。
「物理学」の否定から始まり、まるで『リング』のようなタイムリミットサスペンスあり、ヴァーチャルリアリティもあり、目まぐるしく舞台も変わり、そのときに提示される謎も変わり、読み勧めるごとに興奮が高まっていく!
半分以上読み進めると、色んな意味で超どでかいスケールな話であることがわかり「うへ~」と衝撃。
こんなにスケール広がって大丈夫なの?と心配になっても、まだ広がっていくスケール。
このスケールの広げ方に「これは作者の覚悟がマジなやつだ」と思い背筋がしゃんと伸びる。
しかし、一巻を読み終わって、まあ一巻だからですけども、それでも「いや、これ序章じゃん!!」と驚く。
ちゃんと「戦いはこれからだ!!」な終わり方もする。
肝心なもの、つまり広げたスケールのその先は、続く2巻と3巻。
一体どうなっちゃうんだろう!とわくわくしながら、読み終えたのでした。
しかし、「俺は馬鹿だからわかんねえけどよ~」なことを言うキャラとして新たな、そして最強なやつこと史強が最高だった。
『三体』の一巻、だいたいこいつが問題の芯を喰ったり、問題を解決していた。
がさつで嫌なことを言うけども、誰かが落ち込んでいたら、励ますのが得意…という、こんなの嫌いにならないわけないじゃん。
最後の「人間舐めんな!(by RHYMESTERのK.U.F.U)」な説得も完璧。こんなことを言われたら、頑張るしかねえよね~。
Netflixでドラマ化が決定…ってことですけども、陽子のあれとか、どうやって映像化するんでしょう。
船のあれとか、充分映像的な小説だけども、これが実際に映像化されるとなると、どうやってやるんだろうと思うようなものが多いので、それもまた楽しみになる、そんな小説でした。