『ANEMONE 交響詩篇エウレカセブンハイエボリューション』を見た!
あらすじ
実験部隊「アシッド」が実行する作戦の要として、7年前に父が散った戦場でもある東京に降り立ったアネモネ。そこで彼女は、人類の敵である「7番目のエウレカ=エウレカセブン」と戦わなければならなかった。エウレカセブンによって追い詰められた人類はアネモネに希望を託すしかなく、アネモネはエウレカセブンの内部へと入り込むが・・・(引用元:映画.com)
めちゃくちゃ面白かったー!!!
なんだこれめちゃくちゃ面白かったぞ!とにかく、それをまずは書きたい。もうめちゃくちゃ面白かったのです。もうそれが書けたら充分ってくらい。
しかしまあ、何がどう面白かったって書くのも楽しい作業なので、何がどう面白かったかを書いていこうと思います。しかしこの複雑な物語を全て理解しているわけでもないですし、エウレカはテレビシリーズをちょろっと見て、映画版は一応今のところ全て見ていますが、いわばエウレカ弱者だと思っているのでその辺の立ち位置の人間だと思って頂けると幸いです。つまりのところは物語解説等は全くない感想となってますのでご了承ください。
以下、ネタバレも含む感想になってます。
当初は『ANEMONE』を見に行くつもりではなかったのです。前作に当たるハイエボリューション1を先日見たのですが、これが感想に困る作品でして。序盤のサマーオブラブのシーンやそこで鳴り響くHARDFLOORの音楽、そしてGet It By Your Handsのアレンジと随所に上がるポイントはあったものの、とても変わった総集編の作りというか、入り乱れた時系列や膨大な量の字幕と情報量過多なトリッキーな作りでとても面白い試みをしている作品であることは間違いないのですが、一本の作品として捉えると消化不良というか、判断が困る作品だったのは間違いないと思います。
しかしこのハイエボリューション1は壮大な助走だったことが『ANEMONE』で明かされるというか、『ANEMONE』でハイエボリューション1で描いていたことが全てがらっと変わってしまったというか、もっと言うとTVシリーズやポケットが虹でいっぱいもがらっと変わってしまったというか、なんていうかなんていうか・・・(まだ飲み込めていない部分)
つまりはエウレカセブンというものを「多元宇宙物」として捉え直すというのが、この『ANEMONE』でやろうとしたことみたいなのです。またトリッキーなことをやってるよ!と僕は客席で驚いてしまったのですが、それが効果的になっていたのが、アネモネがエウレカセブン内に突入すると画面のフレームが4対3の所謂昔のテレビのサイズに切り替わるのです。そして前回のTVシリーズの映像が使われるわけですが、その作りにめちゃくちゃ感心してしまった。今回登場するアネモネもTV版のアネモネではなく、石井・風花・アネモネになってるわけだけども、TV版のアネモネの戦闘の映像を流用しながら、エウレカセブン内での戦闘であると意味をまた変えて利用しているのです。またいうけども、トリッキーな作りだなあ。
このTV版の映像を再編集しながらも意味を全く変えるというのはポケットが虹でいっぱいやハイエボリューション1でもやっていましたが、今作が一番うまくいっていたのではないでしょうか。
そのうまくいっていた理由はなんだと考えると、今作のタイトルに戻りたいと思います。
今作のタイトルは「交響詩篇エウレカセブンハイエボリューション2」ではなく『ANEMONE 交響詩篇エウレカセブンハイエボリューション』と意図的に2という言葉を取り除き、そしてタイトルの先頭に立つのは『ANEMONE』であるわけです。
つまりはタイトルからして「アネモネ」の話であること、そして単独としても成立する一本の映画であるとも示唆しているわけです。
冒頭は幼少期のアネモネが街を駆け抜けていくシーンから始まります。(途中軍の扉を開くコードがTRー909で早速テクノ好きの心を揺さぶってくるのが佐藤大脚本のエウレカセブンだなーと思いながら)そして次に描かれるのはお父さんとのエピソードです。アネモネにはお母さんがおらず(死別したことが示唆される)、お父さんと二人暮らししていたことが携帯の映像で映し出されます。(ガリバーの着ぐるみに抱きついて、倒してしまうアネモネがめっちゃ良い)しかし、お父さんも亡くなってしまったことも判明し、次のシーンではアネモネは先ほどのあらすじにもあった作戦に参加しています。
そして早速始まる怪獣映画のような国連軍VSエウレカセブンと板野サーカス。そして、そしてですよ!そこに鳴り響く音楽がkagamiさんのTiger Trackなのです!!
ここでテンションばり高、最高、感謝。
Tiger Trackといえば、TVシリーズでも流れていた名曲ですけども、まさかここでも流れるなんて思わなかった!!劇場の大音量で聞くkagamiさんのTiger Trackたまんないものがありました。kagamiさんは2010年に亡くなっているのもあるので、ここで聞けるのがまた格別の思いがありました。
そしてアネモネがいよいよエウレカセブン内に入るわけだけども、入った瞬間に出てくるのが、ドミニク!はいきたードミニクきたー!あざます-!
しかし今作のドミニクは人工知能。つまりAIということになっています。それにめちゃくちゃ驚いたね。ドミニクのアシストの元、戦闘をこなしていくアネモネ。そしてついに人類は7年間続いた戦争で初めて勝利をおさめるのです。
しかしこの後提示されるのが様々な謎。アネモネがエウレカセブンの中で見る青髪の女の子の正体とは?ドミニクの正体とは?そしてそもそもエウレカセブンが東京に現れた理由とは?そしてレントンとは?
様々な謎が矢継ぎ早に提示されていきます。この辺のテンポ感や情報過多な感じがまた最高なのですが、疲れてきたので割愛。とりあえず情報量の多い台詞って最高だよねってことだけは言っておきたい。あと藤原啓治がデューイ・ノヴァク役で復帰しているのも見所の1つ。
で、アネモネは何度も出撃するのですが、その時にドミニクが自分のスマホに入っているコンシェルジュアプリのAIではないことに気がついてしまうのですが、その瞬間、攻撃にあってしまい、ドミニクはアネモネを救うために自爆してしまいます。
この瞬間、俺は絶望の淵にたたき落とされたし、そしてエウレカが登場するわけだけども、エウレカはエウレカでどうやらレントンが死んでしまった世界を回避するために様々な世界を作り上げているらしく、その過程でアネモネにもお父さんが亡くなった瞬間の世界を見せるのです。そして突きつけるのは「世界かお父さんの命どっちかを選べ」と。
そして東京には大怪獣が出現。もうどうなっちゃうの~と俺はなっていたら、画面上のアネモネも「どっちを選べばいいかなんてわからない・・・」と泣き叫ぶわけです。そりゃそうだよ!アネモネ元気いっぱいな子とはいえ、子供だよ!その子に世界と最愛の父の命の天秤って重すぎるぜ!
そのとき、アネモネは叫びます。多分、お父さんがアネモネに教えた秘密の暗号を。アネモネが子供の時にお父さんから教えてもらった、どうしようもなくなったときにそれを叫べば駆けつけると教えてくれた秘密の暗号。
その瞬間です。空に扉が出現して、そこから出てきたのはドミニクだ---!!!!
はい、俺この瞬間、号泣ーーー!!!!ドミニクが現実世界にも現れた瞬間号泣ーーー!!!
正直、理屈とかどうとかわかってないです。
でも、この瞬間、道理を超えた瞬間、つまり超越した瞬間に、もう涙腺はぼろぼろに崩壊してしまいました。
そうなのだよ!どうしようもなくなった時に駆けつけるといったお父さんの言葉は嘘じゃなかったのだ!そして駆けつけたのだ!ドミニクーーー!!!!会いたかったよドミニクーーー!!!!
現れたドミニクはアネモネの呪いを解く。それは同時にお父さんの願いを叶えるもの。
お父さんの願い。それは死ぬ前に最後にアネモネの姿を見たかったというもの。
その瞬間に連れて行き、そしてお父さんにその姿を見せる。
同時に、アネモネは決心する。お父さんの命を救うことではなく、多くの人々が勝ち取ろうとした未来を守ることを。
そして舞台は現実世界にまた戻る。
現れた巨大怪獣との最終決戦のために、またもドアから出てきたのがガリバー・ジ・エンド!!!ガリバーとロボットが合体したような、正直ガメラっぽい見た目の奴が現れた!!そしてこのタイミングで鳴り響くバレエ・メカニック!!!!!!!
またもや涙腺が崩壊ヒアウィゴーアゲイン!!!!!!
正直今回の鑑賞理由がこのバレエ・メカニックでした。バレエ・メカニックといえば坂本龍一が未来派野郎というアルバムに収録した名曲中の名曲ですけども、それを今回はやくしまるえつこと砂原良徳がカバー!!!!
そのニュースを聞いた瞬間、まじで叫びそうになった。なんだこの組み合わせは!!!
そしてそれが『ANEMONE』で流れると知って、慌てて見に来たのです。というか見に来るまでの間もずっとやくしまるえつこと砂原良徳版のバレエ・メカニックを聞き続けていた。多分、100回くらいは見るまでに聞いていたと思う。
それでも鳴り響いた瞬間、号泣した。
バレエ・メカニックがここで流れるのはTV版の名作エピソードとして名高い48話のサブタイトルがバレエ・メカニックで・・・とかはどうでもいい!
もう、とにかくここでこれを流すという演出に、そう演出にやられてしまったのだ!
ガリバー・ジ・エンドに乗り込んで、巨大怪獣と戦う。そのBGMがバレエ・メカニック!もうなんと素晴らしい組み合わせなんでしょうか。もうこの瞬間、思わず叫びそうになりました。「俺の好きな物しかない!!!」
放射されるビーム!それを板野サーカスで交わしていくガリバー・ジ・エンド!!鳴り響くやくしまるえつこの歌声!!!そして唸るギターソロ!!!
そして曲が最高潮の瞬間に、ついに決着がつきます。
でもまだここで終わりじゃない。アネモネは巨大怪獣の中に侵入し、そして見ます。
アネモネが生まれ育った巨大団地の中でたたずむエウレカの姿を。そこはアネモネの記憶を元に作られた世界でした。
「あんたなら救える気がする」とアネモネは言う。
「なんで」と返すエウレカにアネモネは「勘よ!勘!」と答えます。その姿は幼き日にお父さんがアネモネに言った姿とそっくりです。
その瞬間、その世界の崩壊が始まります。大量のガリバーによって。巨大団地のあらゆる扉からガリバーが出てきて、世界を食べ始めるのです。(そういえばですが、巨大団地が話の最終局面に出てくるのさすが団地団の佐藤大って感じがする。しかし映画って複合的に作られるものだからここで団地を出そうってなったのは誰の案なのかはわからない)
アネモネは「逃げよう!」と言います。エウレカは「どうやって?」と言いますが「私の記憶で作られた世界なら道は知ってる!」というのです。
そうです。オープニングのあの走るアネモネの姿を思い出します。
あの時は遠く離れるお父さんにさよならを言うために走った道を、アネモネはエウレカを連れて走って行きます。その後ろには無数の!というか山ほどのガリバー!!!
駆け抜けて、駆け抜けて、空とか飛んで、ガリバーに追いつかれそうになりながら、走って走って、そして重い扉を開いた瞬間・・・!
アネモネとエウレカはなんとか現実世界に戻ることができました。
エウレカはアクペリエンスによって殺してしまったレントンを救うべく、何度も世界を作り直そうとしたと言います。それによって、現実世界(多元宇宙なのでどちらも現実世界ではあるけどもアネモネの目線から見れば)に干渉したというのが真相のようでした。
何度も夢を見た。と言うエウレカに、ここならもう夢を見ずにすむとアネモネは優しく答えます。
そしてレントンが生きている気がすると。
そう観客とアネモネは一瞬見ているのです、泣きながら走って行くレントンを。それは胚エボリューション1のラストのレントンを。その瞬間だけ、フレームが現実世界と同じだったあの映像を。つまりまだ生きている可能性がある。そう知っている。
そのときです。二人は見ます。
巨大な卵を。その割れ目から顔を出すニルヴァーシュの姿を。
そしてそのころ、遠い世界のどこかでアミタドライブを手に空に掲げるレントンの姿がありました。
そしてエンドクレジットへ。
果たして、ハイエヴォリューション3は一体どうなるのか!というか今回ハイエボリューションに2がついてなかったのには意味があるのか!3はどんなことが待っているのか!俺はとにかくアネモネには不幸になって欲しくないって気持ちでいっぱいです。
あらすじを追いながらどうのこうの言っている間に5000字超えてしまいました。最近書いた中でも一番の長文になってしまった。しかも読みづらいことこの上ないものを書いたけどもいいのだ!とにかく思いの丈を全部ぶちまけたものが出来上がったからいいのだ!
正直、僕は何度も「今年ベストやんけ」と言っちゃう癖があるのですが、今回も「今年ベストやんけ」と言ってしまいました。いやだって、今年の映画で板野サーカスの後ろにkagamiが流れる映画あった?巨大怪獣とロボットがバトルするシーンにバレエ・メカニックが流れる映画あった?お前、音楽好きなだけじゃねえかと言われたらそれまでですが、音楽と映画が大好きな者としては、これほど幸せな映像体験はなかったんですよ!
正直、賛否がわかれるのもわかるというか、もの凄く癖の強い映画だと思います。
全てのエウレカセブンを全部壊してゼロになれ・・・な作りをしていますし、なんならハイエボリューション1とのつながりもわかったようでわからないですし。
それでもこのエモーショナルさ!そして熱さ!それに僕は完全にやられてしまいました。見終わって1日しか経っていませんが、もう2回目見に行きたいですもの。早くもう一回見たい!近々2回目に行きそうな気しかしていません。
中学生の頃、エウレカセブンに衝撃を受けたわけですけども、それを同じぐらい、いやそれ以上の衝撃がこの作品にはありました。溢れる音楽用語。鳴り響くテクノミュージック。見る快楽のような作画。そしてキャラクター達の魅力。最初も書いたように僕はエウレカ弱者だけども、音楽と映画が好きで本当に良かった。そしてたどり着いた作品が『ANEMONE 交響詩篇エウレカセブンハイエボリューション』で良かったと心から思いました。
2018年いろんなことがあったけども、生きてこの作品にたどり着けて本当に良かったなー!
僕にははじめとおわりがあるんだ。こうして長い間を空を見てる。音楽、いつまでも続く音楽。踊っている僕を君は見ている。
―バレエ・メカニック
本当心の底から大好きな作品!超大好き!!!