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ダファー兄弟『ストレンジャーシングス2』を見た!

ダファー兄弟「ストレンジャーシングス2」を見た!Netflixオリジナルドラマ。全9話。

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 なんせストレンジャーシングス2である。あのほとんど期待されてない中、突如として現れ、そして瞬く間に世を席巻したあのストレンジャーシングス1の続編である。
 1の衝撃ったらなかった。スティーブン・キングが脚本を書いて、大友克洋が作画をした「マザー2」というべきようなドラマに俺の感受性は完全ノックアウト。
 毎日夢中になってむさぼるように見たのを覚えている。
 全8話というコンパクトさも素晴らしかった。
 その2である。全9話。またもやコンパクトですばらしい。

 


 では2はどうだったのか。
 27歳男性は完全降伏でした。
 めちゃくちゃおもしろすぎるでしょこれ。
 1から1年(ちゃんと劇中でも1年後という設定)、あの町で、またもや大事件が発生する!というもろ「続編」な話の始まり。
 そして「1」からの後の世界を丹念に描きこむ序盤の高揚。
 比較的きれいに話は終わっていた「1」であったけども「ああ、そういえば・・・こんな問題が残ってたよな・・・」と次々現れる。
 そして何よりも反対側の世界から帰ってきたウィルである。
 あの「1」の最後、一瞬見えた不穏な気配。
 1年後、その不穏な気配はさらに濃密になっていく。

 

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 マイク、ダスティン、ルーカス、ウィルというぼんくら少年団たちと新たな転入生のマックス、署長の元に訪れる新たな事件、亡くなったバーバラの罪悪感に苦しむナンシー、そしてイレブンの行方。
もうこの1話だけで「あの続き」が見ることができるという多幸感に満ちている。
そして、その多幸感は裏切られることも、低迷することもない。

 


ばらばらに展開していたそれぞれのピースが次第に一本の線になっていくストーリーテリングの見事さ。
そういったパズル的な面白さも素晴らしいのですが、キャラクター同士が新たな交流により成長していく様にも心を打たれる。
彼らはそれぞれは弱い存在であるし、何度も間違ったことをしてしまう。ぶつかり合うこともある。でも、彼らは乗り越えていく。そのなけなしの勇気を出す姿に27歳男性はぐっときてしまう。

 


今回、一番ぐっときたキャラクターはスティーブ。あの嫌みなジョックスがなんと男気溢れるキャラになることか!
一度は嫌みに描いたキャラクターをここまで立たせる制作陣の愛も素晴らしいし、そこには人は行動によって変わることができるというメッセージが込められている気もする。
あんなにくそ野郎だったのに、今度はくそガキたちを率いて守って、そして送り出すメンターになる・・・!こんなの泣きますわ・・・。

 


その一方でまんべんなくキャラクターを愛を持って描きながらも、容赦無く酷い目に遭わせるスティーブン・キング的な筆致も相変わらずだ。
今回もまじかよ・・・って展開があっていい意味で「酷い!」ってなってしまった。この容赦のなさも素晴らしい。
各キャラクターの濃密どはスティーブン・キング的であるけども、今回はそれに加えて「エイリアン2」や「エクソシスト」的な展開もあって、相変わらずのジャンルマッシュアップっぷりが素晴らしい。
個々の要素はどこかで見たことあるけども、あまりのマッシュアップの上手さに手触りは「ストレンジャーシングスオリジナル」としか言いようがない。そして表面的なマッシュアップに終わらず、個々のキャラクターとストーリーを描ききっているからこそ、オタクの趣味公開なドラマでは終わってないのだと思う。

 


徐々に徐々につながっていき、緊張感がピークに達して、そこであえての異質回の7話を挟んでのラスト二話のスピード感ったら!
もうこの二話を見ずに2017年のポップカルチャーを語ることはできないんじゃないでしょうか。
海外ドラマ黄金期と言われていますが、なぜ黄金期と呼ばれているかをはっきり示している二話だったと思う。
ドラマは映画と違って当たり前ですが長い。映画は1時間半で終わるのに、ドラマとなれば見終わるまでに9時間もかかる。
でも、長いというのは強みになるわけです。人物の描き込みは長ければ長い分描ける。ディティールも詰め込むことができる。
そして今回のストレンジャーシングスのラスト2話で感じたのは、映画だと最後30分のクライマックスが2時間に引き延ばされた場合何が起きるのか?という証明になっていると思う。
二時間クライマックスなのだ。もうどうにかなってしまいそうなほどの緊張感なのだ。
そのなかに9話分のあれやこれやがつめこまれている。伏線は回収され、あのときの台詞が響き渡り、傷ついたものは立ち上がり、最強の悪とついに対峙する。
そりゃもうあがらないわけがない。泣かないわけがない。
もう強く強く拳を握って二時間見続けた。
最高でした。

 


それからエピローグの素晴らしさも。この大騒動が終わって、それぞれに日常が戻ってくる。
子どもたちも成長している。楽しさも切なさも入り乱れる。
ポリスの「見つめていたい」が鳴り響く中、みんな少しだけ大人になる。その甘酸っぱさに僕はすっかりやられてしまって両手を天に突き上げてしまった。
この後味の良さこそ「アメリカ映画」だったなと思い出していた。

 


かつて井筒監督は「面白い2なんてバック・トゥー・ザ・フューチャーだけや!」と言っていたけども、ダファー兄弟もいろんな続編映画を見てきただろう。
面白い続編映画もあれば、面白くない続編映画はそれ以上に沢山あって、がっかりしたこともあっただろう。
「俺たちならばここはこうするのに!」と歯がゆく思っていたのかもしれない。
ストレンジャーシングス1が大ヒットして、自分たちが「2」を作れることになったとき、かつて見てきた続編映画が頭によぎっただろう。
「どんな続編映画があの頃見たかったか」
「どんな続編映画があの頃の俺たちを熱くしたか」
それからこう思っただろう。
「最高の続編作ってやろうや」

 


ストレンジャーシングス2は「ストレンジャーシングスシーズン2」ではない。
あくまでも「ストレンジャーシングス2」なのだ。
それはあの頃の続編映画へのリスペクトと「俺たちも最高の続編映画を作ってやる」という気概なのだと思う。
そしてその通りの続編を前作からたった1年で作り上げてしまったダファー兄弟にただただひれ伏すしかない。
2017年最高のポップカルチャー
最大級におすすめ。

 

 

それから。
今作の最高のキャラクターはなんといってもボブおじさん。
登場したときはあまりのさえなさに「えー」となるのだけども、劇中最大のヒーローはボブおじさん。
人をヒーローにするのは行動と勇気である。
それをボブおじさんから教えて貰ったような気がして、この先も生きていきたいなと思うのでした。

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