にゃんこのいけにえ

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『パトリオット・デイ』を見た!

パトリオット・デイ」を見てきました。

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映画『パトリオット・デイ』予告編

監督はあの大傑作「バトルシップ」のピーター・バーグ。主演はマーク・ウォールバーグ
2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件の映画化。
めちゃくちゃ面白かったですよ!
事実は小説よりも奇なりとはいいますが、さんざんニュースで見たこの事件もこんなことになっていたなんて。
まず群像劇なんですけども、最初は出てくる登場人物の描き方がランダムといいますか、「こいつか重要ですよ!」みたいな描き方しないんですよね。
なので、誰がどうこの後絡んでくるのか全くわからないんですよ。
たとえば、あるカップルが出てくるんだけども、それがどのように事件に絡むなんてわからない。
それほど事件のにおいは最初はしないわけです。
でも、これって実際の人々だってそうだったわけじゃないですか。
誰も彼も自分がテロに巻き込まれるなんて思ってもみなかったわけですから。
というわけでカップルは朝絡め合った足を爆弾テロで失うことも全く予測なんてしなかったわけです。
それがテロの残酷さを浮かび上がらせてるなあと。
お前はテロで語りたい主義主張があるかもしれんが、私らに暴力をふるっていいわけじゃねえだろって凄く思った。
というか、主義主張があっても市井の人々に暴力をふるっていいわけじゃねえって!
絶対だめだって!
その上、犯人の人なりが途中でわかるんだけども・・・なんていうか・・・あの・・・いわゆるネトウヨな人らで・・・
この辺の描写でかなりげんなりしましたね。
うわー、周り全然見えてねえ奴じゃん!
こんな奴らに殺されるとかなんだよ!まじでなんだよ!
見終わったあと、感想を調べたら「19歳の犯人が捕まったときに警官を褒め称える市民の群れに恐怖を感じた」みたいな感想があったけども、いや19歳とか関係ねえって!なんの関係もない人々を爆弾で手足奪ったり、命奪ったりしてるやつなんて19歳だろうが10歳だろうが30歳だろうが90歳だろうが、まじで関係ないって!
で、そんなテロを起こしたやつが街にいるとなったらマジで怖いって!不安で夜も眠れねえって!
そんで警官が命張って逮捕したとなったらまじで褒め称えるって!
それこそ主義主張関係無いって!
それはシンプルな感謝だって!!
と熱くなってしまいました。申し訳なか。

で警官の一人は不安げに「このテロは防げたのか?」と問う。
それにマーク・ウォールバーグ演じる警官は「悪魔に唯一勝てるのは愛だ」と言う。
そしてエンディングでも映し出される姿は憎しみに狂う人々ではなく「愛」を信じ「愛」に救われた人々の姿だ。
テロは防げない。暴力は止めることができない。
それでも、こんな風な希望があることは覚えておきたい。
ワールド・ウォーZの原作のエピソードで、ある映画監督にインタビューを行う章がある。その監督が作ったドキュメンタリー映画は最新兵器がゾンビを徹底的に殺す姿を映したもので、大ヒットした。
しかし、そのドキュメンタリーには徹底して悲惨な現実はカットされていた。
なぜならば、人々にはある嘘が必要だったからだ。
悲惨で、救いのない現実を生きるための嘘が。
そしてその嘘を「希望」と呼ぶと。

この世界がどれだけ悲惨で救いがなくてもこの映画が提示した「希望」だけは忘れたくないと思いました。凄く好きです。

その他の感想。

・爆弾テロが起きるシーンの唐突さが本当に怖い。


オーバル型のめがねをかけたケビン・ベーコンが最高にかっけえ。オーバル型のめがねがほしくなったけども、オーバル型のめがねでここまでかっこよくなれるのケビン・ベーコンだけでしょ・・・

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・FBIがどちゃくそに有能すぎてびびる。というかテロ起きてから47分で出動ってどんな勤務体系してるんだ。

・監視カメラに写った犯人の映像を分析していくシーンのぞくぞく感!「42分頃はパン屋の前だ!」とかかっこええー。

・中盤の銃撃戦のシーンがまじで凄まじい。このシーンを見るためだけでも劇場で見る価値があり。一発一発が怖え。よく見る車のフロントガラスが割れる描写なのにのけぞりそうになるくらい怖かった。あ、これ、当たってたらやばかったんじゃね?な一歩間違えれば死んでいたと思わせる恐怖演出のうまさ。乾いた銃声が凄くいい。

・エンドクレジットで知って驚いたけども音楽はナイン・インチ・ネイルズトレント・レズナーアッティカス・ロス。デヴィッド・フィンチャーの「ソーシャル・ネットワーク」「ゴーン・ガール」の音楽コンビがまさかピーター・バーグ映画でも音楽を担当するとは。
不穏な音楽は「これこれこれ~!」と職人芸にうなりますが、エンドクレジットの優しい曲には泣きそうになりました。

・ボストン市民のボストン愛の強さに驚く。全員がウルフルズの大阪ストラット状態。ほかに比べりゃ外国同然。

・今回はテロが起きた瞬間が「うわああ」となりすぎてちょっと泣いてしまいました。なんでこんなことするの~と泣く26歳男性。子供の隣に爆弾置くとかもうあかんて・・・。

・子供の遺体を保全する無名の警官のシーンにも泣く。彼の敬礼はどんな言葉よりも重いですよ・・・。

・撃たれて死んだ警官のエピソードとかね・・・もうなんて言っていいのやらですよ・・・。みんな死ぬなんて思ってなかったから果たされなかった約束がたくさんあるわけですよ・・・


ピーター・バーグ監督のドキュメンタリータッチ演出、カメラも手ぶれしまくりなのに見やすいのはなんでだろう。教えて技術論。

オバマ大統領のアメリカの良心感凄かった。これはオバマ大統領がいた2013年の話なんだな。4年前だけどもいろんなことが変わってしまったような気がする。


言葉で映画すべてを包括するなんて無理だなー。
今回切り取ることができたのはここまでって感じです。