風邪を引いて暇なので即興小説サイトで書いた小説をここに載せておく。
時間は15分
お題は奇妙な水
蛇口をひねるとファンタグレープが
蛇口を捻るとファンタグレープのような色をした水が出てきた。
あららららと水道管が腐ったのかと思い、暮らし安心クラシアンに連絡すると14分で業者がやってきて「あーこれはファンタグレープですねー」と言い始めた。
水道管が混線してるのか?だからファンタグレープが流れるのか?と聞くと「いやいや、野生のファンタグレープですよ」と業者。
野生のファンタグレープ?
「あ、知らないんですか?ファンタって、野生なんですよ。自然由来」
知らなかった。
「液体っぽい形なんですけども、動物で。生きてて」
はあ。生きてるんですか。
「結構、捕まえんの大変なんですよ。その大変さゆえに結構海外だとスポーツにもなってて」
スポーツ?
「はい。レッドブル主催でやってたりすんですよ。お客さんテレビあんま見ないタイプですか?」
私の家のテレビは殆どBlu-ray再生機だ。
「この前、テレビでやってましたよ。日本人の半分以上が知らない事実つって。まあ知らねーって感じっすけども。」
彼は流れるファンタグレープをバケツに貯めていく。
心なしか、ファンタグレープはうごめいて見える。
「でも、お客さんが普段飲んでるやつってのはもう養殖なんですけどね。近大が養殖に成功したんすよ。やべえっすよね。」
彼はそのバケツを私に差し出した。
「なんで、まじ自然の珍しいんで、飼ったらどうっすか?」
それ以来私はファンタグレープを飼い始めた。
しかし餌もわからないし、相変わらず蛇口からはファンタグレープが流れ続けるし、手はべたべたするしであんまりいいことはない。
結局水道からは水道水が流れるのが一番なのだ。