にゃんこのいけにえ

映画と音楽と本を中心にいろいろと。

軽い近況と「ホドロフスキーのDUNE」を見てきたという話。

近況を書こう。
というのもあいも変わらず、まだ僕は無職で就活中でまだ何者にもなってなくて。
そんなモラトリアム期間がまだ続いてる。
正直そんな期間も辛くてなんとか抜け出したいけども、抜け出しそうになった瞬間に、モラトリアムが終わることにも気がついてまた怖気づいて、そんな勝手な感情に振り回されてる。

不安ばかりだけども、でも進まねばならない。
そうっすよね。そうっすね。



ホドロフスキーのDUNE」を見た。
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ホドロフスキー監督による未完の大作「DUNE」をめぐるドキュメンタリー。
監督はフランク・パヴィッチ。出演はアレハンドロ・ホドロフスキーH.R.ギーガーニコラス・ウィンディング・レフン他。

シネ・リーブル梅田で見てきた。
アレハンドロ・ホドロフスキー監督の映画は未見だったけども、劇場でかかっていた予告編がとても魅力的だったので、これは見なければいけない映画じゃないかと思い、公開二週目に劇場へ。
お客さんの入りは7割ほど。
意外と多かった。

アレハンドロ・ホドロフスキー監督の作品は「エル・トポ」は名前をちらっと聞いたことがあった。
多分、「KILLER 7」や「シルバー事件」等のゲームディレクター須田51が自身の作品の元ネタとしてこの作品の名前をあげていたのが妙に印象的で、いつかは見なきゃなと思っていたのだった。
でも、いつか見なきゃいけないと思う映画ほど見ないもので、気がつけばこんな年齢になっていた。
そんな中でのこのドキュメンタリーと新作公開のニュース。
アレハンドロ・ホドロフスキー監督を見てみたいしその入口になるんじゃないか・・・という淡い期待もあったのも確かでしたし、その期待は外れていませんでした。


そもそもDUNEはフランク・ハーバートによるSF小説だそう。デイヴィッド・リンチが80年代に映画化しています。僕は未見です。
この原作のDUNEは今のところ6巻ほど出ているそうです。作者のフランク・ハーバートは6巻目を出した直後1986年に亡くなっています。死後彼の息子達が続刊を出したという話もありますが、詳しいことはわかりません。あと日本だとこのデューンはどうやら絶版になっているそうなので、読もうとしたら古本を漁るしかないようです。


そんなデューンですが、ホドロフスキーはその原作を「愛を持って犯した!」と劇中叫んでいます。
愛を持って犯したと製作者が「原作レイプ」を叫ぶ、その幻のDUNEとは何だったのでしょうか。

ホドロフスキーのDUNE」は前半このDUNEを作るまでの話が語られていきます。
ホドロフスキーがどのようにDUNEをつくろうとしたか。
DUNEをどのような作品にしようとしたか。
LSDのトリップ感を映画で作りたかった」
「世界を変える映画」
と何度も語られます。

ホドロフスキーさんに惹かれて多くの人が参加します。
メビウス、ギーガー、ダン・オバノンミック・ジャガー、ダリ、オーソン・ウェルズピンク・フロイド

誰も見たことない映画を作る。その理念を元に集まるメンバーの数々に「これ、一本の映画でまとまるのか…」と不安になってしまいました。
まあ、冒頭で語られている通りこの作品は結局中止になってしまうのです。
そして製作開始から中止に至るまでかかった年月は2年でした。

ホドロフスキーは誰も見たことがない映画が作りたいと語っていました。
その映画は僕達が知っている映画とは程遠いものだったのかもしれません。
というのも、映画スタジオから要求された上映時間は90分だったにも関わらず監督は頑として「12時間、いや20時間で作る!」と言い張っていたそうですから。
20時間の映画なんて無茶だよ!と思ってしまうのですが、見ている間にふと無茶だと思ってしまうその感覚をホドロフスキーは映画を通して壊したかったのかと思いました。


芸術で世界で変えたい。しかし芸術で世界は変わるのか?

実際変わったのだ。それはDUNEは作られなかった映画だけども、その想像力が後世の作品に影響を与えていることが紹介される。
ここのシーンはサスペンス映画のネタばらしシーンにも似た高揚感があるので、もし出来るのならば情報をシャットダウンして見ていただきたい。
それほど高揚感がある。

DUNEは作られなかったでも、その作品を元にしてホドロフスキーは漫画の原作を書いた。
DUNEが作られなかったあともホドロフスキーは想像することを止めなかった。

ホドロフスキーは大いなる志を持って生きることの大切さを語る。
そして想像することの大切さを語る。

それを見ながらライムスター宇多丸とドキュメンタリー作家想田和弘の対談での一節を思い出した。
日本では演劇等の想像することが軽く見られているといった内容だった。


創造することは軽んじられ、大事にされないどころか、大人になれば捨てなければならないものになっている。それが成長することなのか?
いや、そうじゃない。
ホドロフスキーさんを見よ。85歳とは思えないアグレッシブさ。
僕は素直にホドロフスキーさんのような老人になりたいと思った。
日本だと水木しげるさんのような。
要するに、何でもわかった気にならずにずっと想像し続ける大切さを知っている大人だ。
それは今のこの世の中だと難しいのかもしれない。
でも、それこそが大事だと教えてもらった。

ホドロフスキーさん。僕の志が決まりました。
僕はあなたのようにアグレッシブな人間になることです。
ずっと年をとっても、ずっと想像することの大切さを忘れない人間です。
できることなら自分の想像が誰かの想像の糧になったらいいな。
そのためには自分の想像をもっと豊かにしなきゃいけない。
ずっと想像し続けよう。それはできるはず。
だって想像に失敗なんてない。
それだけは真実。


ホドロフスキーのDUNE」めっちゃ良かった。本当オススメです。
そしてこの作品を契機に作られたというホドロフスキーの新作「リアリティのダンス」もぜひ見てみたいと思いました。
ホドロフスキーはどんな新作を叩きつけてくれるのでしょうか。
今から楽しみです。


・追記
見に行ったら森下くるみさんのトークショー付きで、本当得した気分になりました。
でも、ホドロフスキーは着地点がない、けど好きといった話をしていたのが印象的でした。
森下くるみさんとても美しかった。


映画『ホドロフスキーのDUNE』予告編 - YouTube

映画『リアリティのダンス』予告編 - YouTube