突然だが私は絶賛就活中でございます。いやや、いやあと嫌がる声を幼児の様にあげて、モラトリアムを延長したい一心で「すいませんモラトリアム延長でお願いします後おしぼりください」なんて思ってもそんなこと誰に言えばいいのか、まるでそれらは無駄な思考のように感じ、私はついに諦めて就活をしておる。
一旦就活をし始めると自分の生まれ育ったシティーから離れることもある。先日、何の縁かとある企業のエントリーシートが通り「本社にまで来てほしい、あっ因みに交通費はお前持ちな」と私は頼まれたものだからいそいそと準備をし向かったのであった。
場所はそう、頭狂<TOKYO>
4時間かけて頭狂に行き、自然とスクラッチされているかのような口調とシャッフル再生される脳みそを最大限に生かした20分程度の一次面接を終わらせた後、私は落ち込むことを忘れるために、少しばかり観光しようと思い立った。
普段、いくら部屋の中でゴマアザラシのように寝転がってばかりいるような、インドア派とはいえ、せっかく頭狂に来たのだからとこの時間を有効に使おうと私には珍しく前向きな気持ちになり観光を始めた。
ブラタモリやモヤモヤさまぁ~ずが好きな私はぶらぶら歩きはじめた。
あれらの番組のように1人、丹念に歩きはじめた。丹念に六本木から新宿まで歩こうと思った。
近いと思っていた。
しかし30分歩いても六本木から出られない。
何故出られないのだ。真木蔵人氏が言っていた通りTOKYOは穴掘りすぎて重力がおかしくなっているのか?だから出られないのか?
私は現代人らしくスマートフォンのアプリを立ち上げた。距離を計ることができるアプリ。まさかここで使うことになろうとは。備えあれば憂いなしと、無駄にスマホの容量を食っていただけではなかったのだ。
立ち上げ六本木から新宿までの距離を調べる。6km。徒歩で2時間。
私はRADWIMPSが一生の一度のワープをキミのために使うよと「やりちんなりの口説き文句」を一々歌にしてたなと思考を至らせながら、六本木から新宿までワープを使うことにした。金額にして200円の大江戸線を使ったワープ。ワープは素晴らしく短時間で私は新宿に到着することが出来た。
そもそも新宿に向かっていた理由は帰宅するための夜行バスの集合場所だからであった。新宿についたのは18時、夜行バスが到着するのは22時。
4時間。
突如出来た4時間の空白の時間に対し、私はまたもや思考を至らせた。せっかくの凍狂。何もしないという選択肢があるまいか。いや。せっかく来たのだから観光をしなければいけない。田舎者の俺がそう叫んでいる。「おい、アルタ見ようぜ!タモリの空気吸おうぜ!」
しかし私は先程も言った通り生粋のインドア派。正直精神は擦り切れていた。中学生が初めて見たAVくらい擦り切れていた。
人人人人。
人という漢字を連ねるとテトラポットのように思える。
思考が散文化してきた。このままでは私こそ頭狂になってしまう。なにか静かな場所、静かな場所は無いか…。
私は彷徨える難民が如く、あるビルの階段を降りていた。折しもそこは映画館になっていた。気がつけばチケットを片手に、スクリーンの前に座っていた。
というわけで「キャビン」を観て来ました。
映画『キャビン』 - オリジナル予告編 (日本語字幕) - YouTube
あらすじは上の予告編で。ネタバレになっているのでポスターと日本版の予告編は見ちゃ駄目。見たらぶん殴る。
観光よりも何よりも「関西で終わってしまった映画が東京では見ることができる」という感動に打ち震えていた私の感動をキャビンは打ち消すことは一切なかった。
「キャビン」という映画が持つドライブ感に私はやられてしまった。
監督と脚本がLOSTやクローバーフィールドのドリュー・ゴダード。
キャビンは映画として親しみやすい奴なのだ。
私は「トレマーズ」「マーズ・アタック」「ミッション:8ミニッツ」がとても好きだ。
なぜならサクッと見ることが出来る上に、映画を見たという感覚に陥らせてくれるからだ。
じゃあ私が感じていた映画とは何なのだろうか。それは一種の日帰り旅行のようなものなのだろう。
90分程度のちょっとした非日常。旅行と同じで長ければ長いほどいいというわけではなく、短くても人生観が変わる旅行だってある。
キャビンは90分の間、非日常の旅に連れて行くのがとても上手い映画だった。
山小屋ホラー映画と知り尽くしていると思った映画でこんな旅ができるなんて。
それはある土地に知り尽くしているつもりでいった観光客が現地のコーディネーターに「あなた達が行きたいと思っている場所よりもっと面白いものありますよ」とどんどん紹介されるが如くであった。
結果、ガイドブックにひいたアンダーラインなんかよりももっと面白く、そしてその場所に対して愛着がわくそんな映画だった。
またコーディネーターが喋り上手ってのもよかったね。
軽妙なギャグが終盤思わぬ展開の伏線になっていたり、小道具をそう使うか!と観客が嬉しくなるようなサービスが本当に上手だった。
勝手な想像だがドリュー・ゴダード氏が旅のある程度の行程を決めて、ジョス・ウェドン氏が間の肉詰めをしていったでは無いかと思っている。
とりあえず私はこの二人の作品はこれから追っていこうと思った。
観光地に来たにも関わらず結果としてそれほど観光はしなかった。
しかし「キャビン」は提案した非日常のへのガイドはあまりにも巧みでそして上質だった。
私はとんでもない旅をしてしまった。キャビンを見終わった直後、まだどこにも行っていない新宿を余韻からどこに行くでもなくふらついて、気がつけば高速バスの時間前になっていた。
どこにも行かなかった。しかし胸には満足感を秘めたまま私は高速バスに乗った。
就活と東京とホラー映画。一日で味わうには濃い密度であったと余韻に浸りながら、バスは関西へ向かっていった。
・キャビンのここのシーンが良かったという話を書く。ネタバレあり。
・冒頭。えっ?これ何の映画?と不安になるほど中年的な会話をする二人の男。そしてそこからのタイトル!あのタイミング最高。
・からのいかにもな大学生集団。
・あのタンブラー型吸引器ええなー。と思っていたらあんな使われ方するなんて
・いかにもな田舎のじじい。電話での若干自分に酔ってる会話が最高。
・どのモンスターが出るかなトトカルチョ!
・ここのシーンはぜひともBlu-rayでホワイトボードに何が書かれているか確認したいなー。
・地下室!からのゾンビ!
・ゾンビめっちゃ強い。
・しかし実はこの辺はやきもきしていた。強いゾンビも出てくるしハラハラドキドキもするけども、何か突き抜けたものがないなーと思っていた。
・その抑制が後半あんなに聞いてくるなんて…
・トンネル爆破できるできないのハラハラ感。僕は頑張れサラリーマン系映画に弱いので手に汗握りましたよ。
・次々と死んでいく仲間たち。ジョックスな彼が死ぬところのダチョウ倶楽部感というか「おい!まじでダメだって!それダメだって!」感は異常。
・そしてガリ勉君の死に方が1番事務的な処理だった。
・女の子がびったんびったんされている映像を見ながら祝杯。
・からの電話の流れは素晴らしかった…ピリッと作品のフェーズが変わる瞬間。
・ヤク中のバカが!!!!!!!!!!ああ言うキャラクターがいるいないって大きいよね。だからもう戻ってきた時のうれしさたるや。
・そして地下室へ。
・次々出るモンスターにわくわく。
・追い詰められる主人公たち。システム解除ボタン。「パーティの始まりよ!」こういう台詞大好き!
・エレベーターのチン!って音からの大虐殺!パーティー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
・ここからの上がりっぷりは凄まじかった。
・ユニコーン!ってお前そんなモンスターだったっけ?笑
・阿鼻叫喚の地獄絵図がある映画は5億点。
・わたしは真悟的な工業用ロボットの奴が好き。
・あとヘルレイザー。早速階段で吊り上げていた所に仕事のマメさを感じる。
・ただぞっとしたのは顔全体が口のバレリーナの女の子が瀕死の人間に何をするでもなくただ後ろからついていくところ。ああいうの逆に怖い。
・サラリーマンサイドもめちゃめちゃ戦っているのもよかったなー。
・ゾンビに囲まれる→自爆!のお約束だけども大好きですわ。
・煙の中からゆらゆらと現れた…HANGYOJINだー!!!!!!!!!!!!
・こういうのがあるからこの映画大好きですね!
・推しメンに殺されるとか最高!
・そしてさらっと食われた女性職員。
・さらっと刺されたサラリーマン…無念…。
・そして現れるシガニー・ウィーバー。説得力がすごい。
・しかしそんなシガニー・ウィーバーも斧の女の子には敵わなかった。ここで片腕の伏線も回収するのが上手い。
・あのラストシーンは遊星からの物体Xを連想しました。無常感も漂いつつ、でもウェットになりすぎていないところ。
・三角絞めさんの感想ではっとなったのですが、これウォッチメンのオジマンディアスがやったことに対する「確かにお前のやっていることはわかる…しかし俺は納得できねえ!」なロールシャッハさん的な立ち位置な話だったのかもと思いました。三角絞めさんの感想は面白くて素晴らしいですので是非。
http://kamiyamaz.blog55.fc2.com/blog-entry-30.html
・ラストの切れ味最高ー!
・ラストのNine Inch NailsのLastは鳥肌もんやで…。
Nine Inch Nails- Last (lyrics) - YouTube
・改めて書きだして思ったけども俺この映画超大好き!
・というわけでBlu-rayが出たら買う。