にゃんこのいけにえ

両目洞窟人間さんが色々と書き殴ってるブログです。

ザ・レイド見ました。

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遊んでいるわけではない1シーン。

 

ザ・レイド」見ました。2011年。インドネシア映画。ギャレス・エヴァンス監督作品。

 

やべえ!やべえ!やべえ!やべえ!

と映画を見終わってすぐに誰もいない部屋に向かってそう連呼してしまった。

そんな衝動に襲われるような映画体験いつ以来だろうか。少なくとも直近の思いつかないくらいだから随分とこんな感覚には味わってなかったのだろう。

ザ・レイドは名作と言い切ってしまおう。この映画は僕のような20代より少し上の世代にとってのジャッキー・チェンプロジェクトAやポリス・ストーリー級の作品だと思う。つまり全国の中学生はこの作品を見るべきだ。R-15指定?そんなの飛び越えてDVD借りちまいな!もちろん中学生マインドを忘れていない大人も見るべき。というか男子は全員必見!!!

 

死闘!死闘!死闘!

この映画のアクションはちゃんとアクション監督によって振り付けが作られたものである。そんな当たり前のことを忘れ去ってしまうほど、もっと言うとこの映画のアクションを見ている最中、脳裏に浮かんでいた単語は「死闘」。そして「殺し合い」。

映画に写っているのは全て虚構だ。そんなこと世界の物事に初めて触れた子供じゃないから分かってる。けどこの映画に関しては脳が、そして感覚がそう訴えていた。そんなことを感じる映画に2013年に出会えるなんて。ふあああ(うれしさ故に漏れるため息)

インドネシアの伝統武術のシラットがまずやべえ。監督のギャレス・エヴァンスさんは以前にこのシラットのドキュメンタリーを作ったことがあるそうです。そのせいか(見ていないのでそう判断するのは早いかもしれませんが)そのシラットがまず凄いよね!!というまるで感動を共有するかのようなアクションの見せ方になっています。

手持ちカメラの使用や、細かいカット割といった現在のアクション映画の主流に乗っかりながらも、その主流で多く見られるような「臨場感はあるのはわかるけども結局何をしているのかわからない」といった映像にはなっていないのがこの映画の特徴だと言えます。


The Raid: 4 On One (Score by Mike Shinoda, Joe Trapanese)

例えば上の映像でのシーンを見てもらえればよくわかると思います。

カット割りによるアクションの流れを断ち切るといったことが一切ないのがわかると思います。ケレン味のあるアングルからのカットも挟まっていますがノイズになっておらずむしろいいスパイスになっている。

この映画の撮影の前にアクションの振り付けを三ヶ月にわたって作り上げたそうだ。そしてその際に「ビデオストーリーボード」を作り、より効率的に振り付けを記録したとのこと。

その「ビデオストーリーボード」の効果が出たのかどうかわからないものの、臨場感がありつつも非常に見易いアクション構成になっている。

臨場感重視!なアクションも好きですけどもジャッキー世代としてはやっぱり殺陣の動きの面白さこそアクションの魅力だと思うわけです。もっと言えば見た人にそのアクションを真似たくなるものこそが最大限の魅力だと思います。

私はこの映画を見終わった後早速真似たくなりましたし、Googleで「シラット」と検索してしまいました。

この映画におけるシラットを用いたアクションの最大の魅力は何かと言えば、動きの美しさではなく相手を武装解除または相手を殺すことに注力を注いだその動きにあります。

武器を持っているやつの手を素早く打ち、武装解除。脚を蹴り、跪かせる。

それにプラスしてCGで書き足された血痕や血しぶきがアクションと相まって「死闘」という雰囲気を作り上げている。

CGでいえば銃撃のマズルフラッシュもCGで書き足されているそうだ。

極力お金を抑えるところは抑えているが、デジタル撮影の利点を用いて低予算ながらも並のハリウッド大作に負けない絵作りにも成功している。

その成功には音楽や効果音の力も大きいだろう。

インドネシア以外の地域での公開版の音楽はリンキン・パークのマイク・シノダが担当している。

それほどリンキン・パークを聞いているわけではないけどもこれはマイク・シノダのベストワークではないかと思うほどこの音楽は素晴らしい。

もともとのインドネシア版はロック色が強いらしいが、マイク・シノダが手がけた海外版ではあえて「エレキギター」の音を使わないようにしているそうだ。

ザ・レイドにおける高揚感はマイク・シノダによる音楽による力も大きいといえるだろう。

 終盤、ドラックを作っている部屋での音楽の高揚感は凄まじいものがあった。映画を見ながらアドレナリンが出ていると実感することがあるんだな・・・

 

いろいろとまとまりがなくなってしまったが、私が如何にこのザ・レイドに惚れ込んでいるかが伝わればそれでまずはいいかなとさえ思っている。

好きすぎるとかえって感想が書きづらいものですね。

あと、ザ・レイドの批評でたまにある「ストーリーがない!」とか言ってるのは無視していい。

ストーリーは無いわけではないよ。アクションを見せるための最小限のストーリーはあるし、しかもちゃんとそこに感情が流れるようにしている。

だからアクションに無理がないし、しっかりハラハラドキドキできるようになっている。

いくらアクションが凄くても、そこに感情が流れていなければそれはyoutubeで一杯流れている「演舞ビデオ」と変わらないだろう。

ザ・レイドが「演舞ビデオ」ではなく「映画」として素晴らしい作品に仕上がっているのはその部分の語りを疎かにしていないからだといえるだろう。

今後アクション映画はザ・レイド以前、ザ・レイド以降で語られるに違いない。そう思わされるだけの完成度を誇った作品であるといえる。

そして現在アナウンスされているザ・レイド2が今から楽しみで仕方ない。

アクション映画の新しいベースとなったこの作品を超えることができるのか。

僕はできるだろうと思っている。なんだってインドネシアという国からこんな力強い作品を作り出した人たちだ。今度も驚くものを作るはずだろう。

 

参考URL

リンキン・パークらしくない音楽を!マイク・シノダ、映画音楽に初挑戦! - シネマトゥデイ

http://www.cinematoday.jp/page/N0045373