にゃんこのいけにえ

両目洞窟人間さんが色々と書き殴ってるブログです。

ビデオドロームを見ました。

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テレビとセックス!!
 
 
 
暇を持て余した高校生の頃、TSUTAYAの本コーナーで何時間も潰すなんてのはよくあることでした。特にお気に入りの雑誌は映画秘宝とクイック・ジャパン。ずっと立ち読んでいました。桐島の前田くんなんてちゃんと買ってたのにね。あいつやっぱ偉いね。あとこの二冊で潰した時間を勉強に回していたら多分一浪することはなかったろうに…。
 
そんなことはさておいて映画秘宝で特に好きなコーナーが映画評論家町山智浩氏による「イエスタデイ・ワンス・モア」というコーナーでした。過去の映画作品をその作品意図からその時代背景、過去作との関連から未来に与えた影響まで徹底的に解説するといったコーナーでそれは並のミステリー小説を読むよりスリリングでドキドキしながら読んでいたものです。
 
そのコーナーをまとめた本が「映画の見方がわかる本」でそれが図書館にあると知り直ぐに借りに行き、その続編「80年代アメリカ映画カルトムービー篇ブレードランナーの未来世紀」が出ると知るとその発売日にはすぐに本屋に向かいました。
 
そして購入したその本は何度も何度も何度も何度も読んだなあ。今思えば、その収録されている映画をみずにその本だけを読んでいたのでした。その状況はやっていないゲームの攻略本を読むといったものだと思っていただければいいでしょうか。
 
町山智浩さんの文章力、構成力があまりにおもしろくてその本だけでも十分満足するのですが、結果としてその映画を見ていないのはいかがなものか、映画を見なければ見なければと思いながら気がつけば大学生も3回。あしがけ5年ほどかかりましたが、やっとこの度決心がついたのでこの「ブレードランナーの未来世紀」の一番始めに収録されている「ビデオドローム」を借りてきたのでした。
 
まあこの「ビデオドローム」を借りてくるのはどきどきした。何しろ町山智浩さんが「80年代でもっとも難解な映画」と言っているのだから!
 
 
 
あらすじ
 
ローカルTV局の社長が「ビデオドローム」と呼ばれるスナッフビデオをみたら幻覚に襲われるわ、陰謀に巻き込まれるわでてんやわんや。
 
 
 
見ました、ビデオドローム。凄い映画でした。そりゃカルトにもなるわと納得するくらい。
 
僕は90年代に生まれて、00年代にかけての技術の進歩によるとんでもない映像を浴びるようにみながら育っていきました。そのせいか、もう人間の想像できる範囲の映像って全て作られてしまったのかな、想像力の限界にもうぶち当たっているのではないのだろうか。と少しだけ絶望していました。こう書くと大学生のモラトリアム感がギンギンに出てて気持ち悪いですね。そんなことはさておいてビデオドロームを見た時に感じたのは「想像力」に限界なんてないんや!人の持つ「想像力」ナーメテーター!byタマフルということです。
 
正直、ストーリーを解説できるほど理解はしていません。やっぱり理解するのが困難な部分が多かったのも事実です。しかしもうそんな己の理解力なんてどうでもよくなるくらいこの映画が観客に向けて投げかけてくるイメージの数々は魅力的だった!
 
電流が流れる濡れた粘土の壁がある部屋で行われる拷問ビデオの撮影。
 
ビデオの中で生き続ける教祖。
 
テレビを人に見せ続けることが救いであると唱える宗教。
 
体に空いた穴に差し込まれる脈打つビデオ。
 
血管が浮き出るテレビ。そしてそのテレビとのセックス。
 
テレビとのSMプレイ
 
がん細胞を撃つ手と一体化した銃。
 
内蔵を吐き出すテレビ。
 
異常としか言い様のないビジュアルの数々に私はすっかりやられてしまいました。
 
デビッド・クローネンバーグ監督には何かしらの哲学や思想があってそれをフィルムにたたきつけているのではないか。そしてその結果がこの異常すぎるビジュアルなんだと思っています。
 
その哲学、思想を知るためにもデビッド・クローネンバーグ作品を見て行かないと…今からでも追って行かないと…と強く思わされるほどこのビデオドロームには力強いものを叩きつけられたのでした。
 
 

Death to videodrome long live the new flesh [Uncut]
 
にしてもこのシーンはグロい。しかし今なおフレッシュな死に方。
 
断末魔の叫びがずっとマイクで拾われているという描写も素敵。
 
 
 
誰でも薦められるといった映画じゃないけども、カルトムービーに興味がある方だったり他に類似品が無いような映画が見たい人にオススメ。